バイアウトの意味とは?4つの種類やイグジットとの違いを徹底解説!
最終更新日:2024-03-06会社経営では、さまざまな壁にぶつかることがあります。軌道に乗ってきたというときに、大きなトラブルに見舞われたり、思わぬきっかけから経営がうまくいかなくなるというケースも。
業績が悪化した場合、企業は経営の再建を図ります。この時に用いられる方法のひとつが「バイアウト」です。
しかし「バイアウトという言葉は聞いたことはあるけれど、正確な意味がわからない」「イグジットとバイアウトの違いは?」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、バイアウトの意味や種類、イグジッドとの違いやバイアウトによるメリット・デメリットなどを解説していきます。バイアウトについて、理解を深められる内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
バイアウトの意味とは?
バイアウト(Buy out)とは、企業の業績が悪化した場合や社員の不足、後継者の不在などが原因で会社の存続が難しくなった事業及び企業を立て直す目的で買収する手法です。
主に経営陣が、企業の株式の全て、または半数以上を買い取って経営権を取得することを指しています。これは、アメリカで頻繁に行われていた手法で、近年では日本でも数々の「バイアウト事例」が見られるようになりました。
バイアウト(Buy out)は、日本語で「買収」または「買い占め」を表す言葉です。バイアウトの反対の意味を持つ言葉は「セルアウト」で、日本語では「売却」を表します。
バイアウトの4つの種類とは?
バイアウトには、4つの種類があります。「誰が買収するのか?」という観点で、4つの種類に分類されるのです。
- MBO(マネジメント・バイアウト)
- EBO(エンプロイー・バイアウト)
- LBO(レバレッジド・バイアウト)
- MEBO(マネジメント・エンプロイー・バイアウト)
それでは順番に確認していきましょう。
バイアウトの種類①:MBO(マネジメント・バイアウト)
MBO(Management Buyout)とは、企業の経営者が買収(バイアウト)を行う手法です。経営陣が資金調達をし、株主から自社株を買い取って、経営権を持つことを表しています。
MBO(マネジメント・バイアウト)の最大のメリットは、後継者不在の問題を解決できる効果がある点です。経営陣が企業の株式を押さえているため、スムーズに「後継者の指名」ができます。
またデメリットには、資金調達が難しく、さらに経営が悪化してしまうケースもあることです。さらに、株式の買い取りに応じない株主がいる場合もありますので注意しましょう。
バイアウトの種類②:EBO(エンプロイー・バイアウト)
EBO(Employee Buyout)とは、従業員が企業を買収して、経営権を獲得する手法です。主に、経営者が従業員に事業を継承したいときに使われる方法となります。
このEBO(エンプロイー・バイアウト)の最大の注意点は、従業員が資金調達しなければいけないということ。自社株の全て、または半数以上の株式を取得するためには、多くの資金が必要不可欠です。
EBO(エンプロイー・バイアウト)のメリットは、従業員が経営を受け継ぐ形になるので、取引先や社員から納得されやすく、事業継承をスムーズに行うことができること。後継者不在問題にも効果的です。
資金調達に課題はありますが、取引先からの信頼を損なうことなく、従業員からの理解も得られやすいでしょう。
バイアウトの種類③:LBO(レバレッジド・バイアウト)
LBO(Leveraged Buyout)とは、企業の将来性や資産価値を担保として、金融機関から融資を受けます。その融資を元に株式を買い取る手法のことです。融資された「借入金」は、キャッシュフローから返済することとなります。
LBO(レバレッジド・バイアウト)の大きなメリットと言えば、少額で大企業の買収ができる点です。LBOは「ローリスク・ハイリターン」であることから「てこの原理」という意味で「レバレッジド・バイアウト」と呼ばれています。
また、LBO(レバレッジド・バイアウト)の特徴として挙げられるのは、経営者が社外の人物になるということ。この点は、MBOやEBOと大きく異なります。
バイアウトの種類④:MEBO(マネジメント・エンプロイー・バイアウト)
MEBO(Management and Employee Buyout)とは、会社の経営陣と従業員が協力して、企業の所有者から株式や事業などを買収する手法です。企業存続を続けるために、経営陣だけでなく、従業員の積極性が大きなポイントとなります。
MEBO(マネジメント・エンプロイー・バイアウト)のメリットは、従業員が経営に大きく関わることとなりますので、モチベーションの向上に繋がる点です。
しかし、MEBOは協力する従業員の数が少ない場合、非常にハードルが高くなることがデメリットと言えるでしょう。
バイアウトとイグジットの違いとは?
バイアウトとイグジットの違いには、どのようなことがあるのでしょうか?バイアウトは、4つの種類に分かれていましたが、企業の内部にいる人物が自社株式を買い占める手法でした。
一方でイグジットは、日本語で「会社売却」という意味です。イグジットは「ハーベスティング(Harvesting)」という別名もあります。これは「収穫」を表し、投資家が資金を回収すること。イグジットは、バイアウトを含め「株式を売却し、資金回収を行うこと」を広い範囲で指す言葉です。イグジットの方法のひとつに「バイアウト」があるということになります。
バイアウトとM&Aの違いとは?
バイアウトとM&Aの違いについても確認しておきましょう。バイアウトは、経営陣や従業員などの会社内部の人が、経営権を獲得するために自社株式を買い占める方法でした。経営難に陥ったり後継者不在問題に直面した場合など、会社が危機的状況の際に「自社の人物が、会社継続のために自社株を買収する」手法です。
一方でM&A(Margers and Acquisitions)は「合併」と「買収」を合わせた意味を持ち合わせています。M&Aは「企業の合併と買収」を表しており、複数(2つ以上)の企業が、お互いの会社の利益・拡大のために協力し合うのです。
主に、買収に協力した他の企業の利益が拡大することが多くなっているのが特徴と言えます。
バイアウトのメリットとは?
バイアウトには4つの種類がありましたが、それぞれのメリットについて確認していきましょう。
バイアウトの種類 | メリット |
---|---|
MBO(マネジメント・バイアウト) | 長期経営が可能となり、従業員からの理解も得られやすい。意思決定も迅速且つスムーズに行うことができる。 |
EBO(エンプロイー・バイアウト) | 企業の経営方針や社風を、そのまま引き継ぐことが可能である。従業員に事業を継承させるので、信頼のおける人物を指名できる。 |
LBO(レバレッジド・バイアウト) | 少ない投資額でも、大きな利益が生まれる可能性がある。節税効果も期待できること。 |
MEBO(マネジメント・エンプロイー・バイアウト) | 経営陣と従業員のリスクを分散することができ、従業員のモチベーション向上にも繋がる。 |
このように、それぞれの手法によってメリットはさまざまです。企業の資金状況や従業員との関係などをしっかりと把握し、どの手法でバイアウトを行うべきなのか、見極めることが大切になるでしょう。
バイアウトのデメリットとは?
バイアウトには、数々のメリットがありましたが、デメリットがあることも忘れてはいけません。ここからは、それぞれのバイアウトについて、デメリットになり得ることを確認していきましょう。
バイアウトの種類 | デメリット |
---|---|
MBO(マネジメント・バイアウト) | 上場企業の場合、MBOを実行することによって上場が廃止されるので、資金調達が困難になる。経営に変化が少ないこと。 |
EBO(エンプロイー・バイアウト) | 自社株式を買い占めるのに、多額の資金が必要となること。指名された後継者の資金力に左右されやすい。 |
LBO(レバレッジド・バイアウト) | 借り入れの金利が高くなり、経営する上での自由度が下がってしまうこと。 |
MEBO(マネジメント・エンプロイー・バイアウト) | 社員の同意を得ることが非常に困難であること。業績が悪化した際には、株式価値の低下や、従業員の賃金引下げになるケースも。 |
4種類のバイアウトによるデメリットについてまとめてみました。資金の調達が難しくなるケースや、企業の運営にスムーズさが欠けてしまうケースなど、さまざまなデメリットが確認できます。
しかし、デメリットばかりに目を向けてしまっては、企業再建へのチャンスを逃してしまう可能性も。バイアウトのメリット・デメリットだけでなく、今置かれている会社の状況なども考慮して、正しい判断をするよう心がけましょう。
まとめ|バイアウトを上手に取り入れ、会社経営に役立てよう
今回の記事では、バイアウトの意味や4つの種類、イグジットとの違いやそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説してきました。バイアウトは、近年日本でも、数多く取り入れられている手法です。
バイアウトは現在、企業の経営が悪化した場合や後継者不在問題に陥ったときに、欠かせないものとなっていますね。バイアウトには4つの種類がありましたが、それぞれ「誰が買収するのか?」ということがポイントとなっていました。
バイアウトのメリット・デメリットをしっかりと理解したうえで、今後の企業経営に役立てていきたいものです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。以上参考になると幸いです。