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会社法とはどんな法律?目的や種類・商法との違いについて徹底解説

最終更新日:2024-03-30
会社法とは

「これから新しく会社を設立するけれど、気をつけるポイントは?」「経営者として知っておくべきことはどのようなことだろう?」このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

会社設立の際や経営者だけに限らず、法務を担当している方にも大切になるのが「会社法」です。

会社法の内容やルールを理解しておくことで、今後の経営に大きく役立ちますし、いざというときにも柔軟で冷静な対応ができるでしょう。

しかし実際に、会社法についてどの程度理解できているのか不安が残ります。会社法は、これから経営をスタートさせる上で、正しく理解しておきたい法律です。

そこで今回の記事では、会社法とはどのような法律なのか?目的や会社の種類、会社法と商法の違いなどについて詳しく解説していきます!

会社法について、深く理解できる内容となっておりますので、ぜひ最後までお読みください。

会社法とはどんなもの?

会社法とは、会社にとってさまざまなルールがひとつにまとめられている法律で、設立や運営・解散や資金の調達などの詳細が記載されたものになっています。

これから会社を立ち上げ、経営をスタートさせようと考えている方にとって非常に大切な法律となっており、そのルールを守らなければばりません。

会社法が制定されたのは意外にも、2000年代に入ってからです。2005年に制定されて、2006年から施行。そして2023年10月現在、何度か一部内容の細かい改正が実施されています。

2014年には「社外取締役・監査役の要件厳格化」、また2021年には「株主総会で提案できる議決権に制限を設ける」などといった点に変更がありました。

会社法が制定される以前は、会社についての詳細が1つにまとめられた法律が存在しませんでした。そのため「商法」や「商法特例法」また「有限会社法」の3つの法律に基づいて会社の経営が行われていたのです。

会社法と商法の違いとは?

会社法と商法にはどのような違いがあるのでしょうか?会社法は、会社を設立するときに必要となるルールをまとめたものであり「会社にのみ」使用される法律となっています。

一方で商法とは、会社を経営していく上での事柄も記載されていますが、個人事業主などの「商行為」も含めた法律となっているのです。

元々、商行為に重点を置いて作られた法律であり、会社に特化したものではありませんでした。そこで、商法では補い切ることができなかったルールや内容を整備し、会社法が作られたのです。

商法が施行されたのは1899年。これは明治34年に作られた、長い歴史のある法律となっています。施行されたのが明治時代の法律にも関わらず、約100年近くの間、見直されることがなかったのが特徴です。

しかし1990年以降は繰り返し改正が行われるようになり、会社法が制定された2005年には、大規模な改正がされました。

商法は会社に関する内容も多い法律となっていますが、会社法が制定された後には会社法が優先されるようになったことも事実です。

一言で「法律」といっても、その中での優先順位があり、会社に適用されるものは主に「会社法」「商法」「民法」となります。会社法は、会社に関する細かい内容やルールが記載された法律ですが「会社」に特化しているため範囲が狭くなっているのが特徴。

それよりも広い分野で記載されているのが「商法」であり、さらに一般的な内容が記されているのが「民法」となります。

会社法の目的とは?

会社法の目的にはどのようなものがあるのでしょうか?主な目的として挙げられるのは、法律によって会社経営を健全なものにする枠組みを作ることです。これにより会社側はもちろんのこと、取引先や顧客など、関係者の権利や役割を明確にしスムーズな運営が可能となるでしょう。

取引先や顧客は「利害関係者」のことであり、これには株主も含まれています。会社法では、企業における情報の開示が定められていますので、利害関係者である顧客や株主・取引先相手は、企業の現状を把握してリスクを回避することができるのです。

また商法よりもさらに具体化された法的なルールがありますので、会社内で起こり得るトラブルに対応できるのはもちろん、利害関係者との問題を抑制できる効果もあります。

会社法における会社の種類とは?

続いて、会社法の種類について解説していきます。会社法は大きく分けると2つに分けることができ、そこからさらに細分化できるのです。

  • 株式会社
  • 持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)

順番に確認していきましょう。

会社法における会社の種類①:株式会社

会社法における会社の種類1つ目は、株式会社です。「株式会社」とは、株式を発行して株主から資金を調達しながら運営をする会社のことを指しています。会社を経営していく上で、最も代表的な型となっていると言えるでしょう。

「株式会社」の最大の特徴といえるのが「経営と所有の分離」です。これは、出資してくれる出資者の大半が「利益配分」を目的としており、会社の運営には興味が薄かったり、経営に関する器量が低いことが多いためです。

多くの出資者たちから資金を集めて、会社の運営自体は、経営に特化した人物に業務全般を任せるのが一般的。これを「経営と所有の分離」といいます。

また「有限責任制度」も、株式会社の特徴として覚えておくべき内容のひとつです。先に述べた通り、株式会社は出資者から資金の調達を行い運営していきます。

いわば「株主(出資者)からの出資がなければ経営を続けられない」とも言えるでしょう。ここで、会社存続の危機に陥ってしまった場合(赤字や借金、経営を続けられないほどの大きなトラブルなど)は、出資者に責任が及ばないようにするというルールが定められています。

出資者は、あくまでも「自分が出資した金額」のみに責任を負うことになるのです。会社が作った借金などの責任について、出資者は無関係となります。有限責任制度は、リスクを負う範囲をしっかり定めたものであると言えるでしょう。

会社法における会社の種類②:持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)

会社法における会社の種類2つ目は、持株会社です。持株会社をさらに細分化すると、合名会社・合資会社・合同会社の3つに分類することができます。

持株会社とは、出資を行った社員が自ら経営に携わる型を取っている会社のことです。ここでいう「社員」の意味は、会社の従業員(企業から雇われている人物)のことを表しているわけではありません。これは、会社に出資を行い「会社の持ち分を所有している人」を意味しています。

会社法における「有限会社」について

会社法でもうひとつ気になるのが「有限会社」についてではないでしょうか?会社法が施行された2006年までは「有限会社法」というものが存在していました。しかし、この有限会社法は、会社法が施行された際に廃止となってしまったのです。

しかし、2023年現在でも「有限会社」を目にすることは少なくありません。実は、今でも見かける「有限会社」の全ては、2006年の会社法が施行される以前に作られた会社のみとなっています。

この理由として挙げられるのは、株式会社を設立するハードルが低くなったことにあると言えるでしょう。会社法が作られる前までは、従業員の人数や店舗数・支店など、大規模な運営を行う会社が「株式会社」でした。一方で、個人経営など小規模で事業を行う会社は「有限会社」だったのです。

株式会社を設立するハードルが低くなったというのは、資本金の額が「1円」まで引き下げられたことにあります。これによって、株式会社と有限会社を別々にする意味がなくなってしまいました。会社法が作られてからは、有限会社自体が廃止となり「株式会社」のみとなったのです。

それまでは、株式会社の定義付けとして「資本金が1,000万円以上であること」や「監査役の人数は3名以上であること」などといった大きな壁があったのです。

その点、有限会社に至っては「資本金は300万円以上」であり、且つ「取締役が1名」で作ることができました。現在、有限会社における詳細な取り決めは、会社法の「株式会社」と同じ内容のものが適用されています。

会社法が施行されたときに、有限会社には2つの選択肢が用意されていました。そのひとつ目が「株式会社」に変更するための手続きをすること。そしてもうひとつが「有限会社の名前を残したままにする」ことです。この「有限会社の名前を残す」選択をしたケースを「特例有限会社」と呼びます。

特例有限会社にはいくつかのメリットが存在しているため、会社法が施行されて「株式会社一本化」が行われた後も、有限会社を目にする機会が多いと言えるでしょう。主なメリットは次の通りです。

  • 決算を公告する義務がない
  • 役員の任期に制限がない
  • 「資本金300万円以上」という証明ができる

このようなメリットを考慮した上で、株式会社へと移行することなく、有限会社のまま経営を続けている企業が多くなっています。

特に「資本金300万円以上の証明」に関しては、株式会社設立のハードルが一気に下がり「資本金1円から」となっている現在、設立時に300万円の資金を所有して会社を作ったという信頼度アップに繋がるのです。

最後に有限会社の注意点として、一度でも「株式会社」に移行してしまうと、二度と有限会社に戻ることはできなくなっています。現在は、新しく「有限会社」を立ち上げることもできませんので、株式会社への移行を考える際には慎重な判断が必要となるでしょう。

会社法人番号について

ここからは、会社法人番号について詳しく見ていきましょう。どのようなときに使うものなのか?忘れてしまった時の調べ方などについて紹介していきます。

会社法人番号とはどんなもの?

会社を設立するにあたって、さまざまな手続きが必要となりますよね。その中のひとつに「登記」についての重要性が挙げられます。

会社法人番号とは、商法登記法に従って登記手続きを行い、個別の番号を取得することです。この時に記載する内容は、会社の所在地や設立日・どのような事業を行うのかといった基本的なものとなります。

会社を識別するために必要な12桁(+1桁)の番号が、会社法人番号です。これは、法務局に登記されることとなります。

会社法人番号はどんなときに必要となる?

会社法人番号はどのような場合に使用することになるのでしょうか?これは、企業によって大きく異なりますが、主に「行政手続き」や「税金関係の申告書提出」の際に使われることになります。

行政手続きとは、社会保障や不動産登記のときには必ず必要です。意外にも、使用される機会は多くなります。

会社法人番号の調べ方とは?

会社法人番号の調べ方は、3つあります。

  • 登記簿謄本によって確認できる
  • 登記情報サービスから調べられる
  • 国税庁が運営しているサービス「法人番号公表サイト」で確認できる

登記簿謄本は、法務局に行けば600円で誰でも取得することが可能です。

その他、身分証明書などの必要書類などは一切要りません。また、実際に法務局へ出向くのが困難な場合には「郵送」または「インターネット」からでも請求することができるので便利です。

法務局の営業時間は、平日の8:30から17:15となっています。土日祝日や深夜に取得することはできませんので、注意してください。

登記情報サービスはWEBサイトですので、実際に受け取りに出向く手間は省けます。最初に登記簿謄本を取るためには「会員登録」が必要となり、その際に「登録料」が発生するケースも。

また、WEBサイトといっても1通あたり335円の費用がかかりますので気をつけてください。営業時間は、平日の8:30から21:00までとなっています。

※一部、料金がかからないケース有り。

最後に、国税庁が運営している「法人番号公表サイト」です。会社法人番号を調べる方法の中で、1番おすすめなのがこの方法。なぜなら、この調べ方のみ、費用がかからないからです。

また、面倒な会員登録も不要となっていますので、ぜひ利用してみてください。

まとめ|会社法のルールを守って健全で円滑な経営を行おう

今回の記事では、会社法とは一体どのような法律なのか?会社法と商法の違いや目的や種類・会社法における有限会社の位置づけなどについて詳しく解説してきました。

会社法とは、会社を運営していく上で、詳細なルールや手続きなどが記載された法律でしたね。これから会社を立ち上げようと考えている方には、非常に重要な内容となっていますので、事前に把握しておく必要があるでしょう。

また、会社法における会社の種類や商法との違いなどを覚えておくことで、仕事の質が向上したりスムーズに作業を進められる効果もあります。会社法に沿った運営ができなければ、多くのリスクが付きまとうこととなりますので、しっかりルール守って経営を行ってくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

監修者情報

板井 理
板井 理

2018年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後3年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、2023年に共同代表である笹本 拓実と株式会社PASONを設立。代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。