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M&A 事例・コラム

飲食店における事業承継の現状とは?問題点や手順について解説!

最終更新日:2024-03-30
飲食店 事業承継

数多くの飲食店が抱えている問題。それは、後継者不足です。個人で経営しているお店も多いため、会社の存続に頭を悩ませているオーナーも多いのではないでしょうか。

後継者不足の理由はさまざまですが、大きな要因として挙げられるのは「少子化問題」や「将来性の不安」などがあります。

そんな飲食店の事業承継に関する現状や課題、解決策などが気になるところです。そこで今回の記事では、飲食店における事業承継の現状や注意点・解決策まで詳しく解説していきます。

飲食店の事業承継について深く理解できる内容となっておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

飲食店における事業継承とは?

飲食店の事業承継で1番の問題点は、経営者の高齢化です。中小企業においても経営陣の高齢化が深刻になっている現在、個人経営の飲食店では、より大きな問題として立ち塞がっているのが現状です。

以前は、自分の子どもや親族を後継者にすることが一般的でしたが、今では親族以外へ経営を引き継ぐケースが多くなっています。

飲食店を経営している場合、事業承継をする方法は、大きく分けると以下の3つです。

  • 親族内承継
  • 親族外承継
  • M&A(第三者承継)

ひとつずつ確認していきましょう。

親族内承継

親族内承継とは、経営者自身の子どもや兄弟などの身内(親族)に、事業を引き継いでもらうという方法です。以前は、親族内承継が一般的であり、もっとも多く使われてきました。

事前準備に時間がかけられる点や、経営方針やルールなどについてもじっくり話し合うことができることがメリットと言えるでしょう。その一方で、相続税や贈与税の負担が大きくなってしまうことがデメリットです。

親族外承継

親族外承継とは、会社で働いていた従業員に事業を引き継いでもらうという方法です。親族外承継を行うメリットは、なんといっても「会社について深く理解している」点となります。

長年、経営者の側で働いてきた従業員であることが多いため、引き継ぎもスムーズに行うことができるでしょう。また、個人経営の飲食店の場合は「常連客」が多いもの。既存の従業員が経営を引き継ぐことで、常連客離れも防ぐことにつながります。

その一方、会社を引き継ぐことになった従業員が、事業承継で必要となる資金を準備しなければならないというデメリットもありますので注意が必要です。

M&A(第三者承継)

M&Aを利用して、親族や従業員以外の第三者へと事業を引き継ぐ方法もあります。

M&Aは、後継者不足の問題や従業員に会社を継いでくれる人材が見つけられないといったときに活用されるものです。「長年頑張ってきたお店を残したい」と考える経営者は少なくありません。そんな悩みを解決してくれるのがM&A(第三者承継)となります。

後継者不在の問題を解決してくれるだけではなく、売却益を獲得できるというメリットも。その一方「この人に会社を引き継いでもらいたい」という人材を見つけるのに時間や手間がかかってしまうことや、所得税がかかってしまうなどのデメリットもありますので気をつけましょう。

飲食店における事業承継の現状と問題点

2023年現在、飲食店における事業承継は深刻化しているのが現状です。まず一つ目が経営者の高齢化問題。特に個人経営の飲食店では、経営者の高齢化が浮き彫りとなっています。

なぜ、年々経営者の高齢化に拍車がかかっているのでしょうか?これは「後継者不在の問題」につながっているのです。

本来であれば、信頼のおける従業員や自分の身内に経営を引き継ぎたい年齢であることは間違いありません。しかし、子どもが親の会社を継ぐことを拒否するケースや少子化問題なども影響し、高齢になっても自身が経営を続けているのです。

子どもが親の会社を継がない理由はさまざまですが、大きな要因のひとつとして「将来性を感じない」と言った意見が多くなっています。

飲食店の経営を行うためには「調理師免許」が必要になる場合があります。親族内継承を行う場合、経営を引き継ぐ者が調理師免許を取得する必要があれば、非常に多くの時間がかかることになるのです。

飲食店のノウハウを身につけたり質の良いサービスを提供するためには、準備期間だけで10年前後かかることも。早い段階から準備を進めることが大切です。

また、経営者の問題だけではありません。飲食店で働く「従業員」の数も不足しています。人手不足が深刻化してしまった要因として考えられるのは、大きく分けて下記の3点です。

  • シフトが不規則である
  • 土日祝日や年末年始も休めない
  • 営業時間外の作業も多く、労働時間が長い

シフトが不規則になってしまう理由は、24時間営業の飲食店が多いことも挙げられます。三交代制などのシフトでローテーションされている場合には、生活リズムが乱れてしまうのも無理はありません。

また、土日祝日や年末年始などは飲食店にとって「書き入れ時」であるため、休みを取るのも難しいのが現状です。

仕込みや後片付け・清掃業務などの「営業時間外の仕事」が多いので、自ずと長時間労働になってしまいます。多くの飲食店が「人件費の削減」に力を入れていることもあり、一人ひとりの従業員にかかる負担が非常に大きくなるのです。

飲食店が事業承継を行う際の手順

飲食店が事業承継を行う際の手順について確認していきます。流れは大きく分けて5つです。

  1. 後継者候補を選定すること
  2. 会社の経営状況や資産・負債の把握
  3. 事業承継計画を作成しスケジュールを決める
  4. 後継者を育成する
  5. 事業承継を進める

順番に見ていきましょう。

後継者候補の選定

事業承継を行う際には、まず第一に後継者を見つけなければなりません。自身の身内や親族などが会社を引き継いでもらえるのであれば問題ありませんが、後継者が不在の場合には「M&A(第三者承継)」を考える必要があります。

後継者を探す方法としては、M&Aの専門業者に依頼することや「公的な支援機関」であるマッチングサイトを利用することなどがあるでしょう。

会社の経営状況や資産・負債を把握する

事業承継を行う前に、会社の引き継ぎがスムーズに行えるよう、会社の経営状況や資産・負債などの正確な情報を把握しておくことが大切です。

会社を万全の状態に整えておくことは、親族内承継や親族外承継の場合に円滑に事業承継が行えるというメリットだけではなく、M&A(第三者承継)のケースで多くの売却益を獲得できる可能性に繋がるでしょう。

事業承継計画表を作成しスケジュールを決める

事業承継には多くの時間が必要です。これは、手続きに時間がかかるわけではありません。会社を引き継ぐ「後継者の育成」に長い期間を要します。

それぞれの飲食店の規模や後継者の資質・能力などによっても異なりますが、一般的には「5年から10年」必要だといわれているのです。そのため、事業承継のスケジュールは大まかにでも事前に決めておく必要があります。

事業承継計画表を作成し、経営者が退任するタイミングを決定しておくのが良いでしょう。「退任日」をゴールに設定して、株式や資産を譲渡するタイミングを決めたり、後継者育成のカリキュラムを作成します。

後継者を育成する

事業承継計画表を作成し、大まかな流れやスケジュールが決まれば、後継者の育成に必要なスケジュールを作りましょう。

飲食店の経営において、必要となるのは「料理の技術」だけではありません。どれだけ腕に自信があっても、経営がうまくいくとは限らないのです。

季節に合わせたメニューを考えることや接客の基本、回転率や新規のお客様を獲得する方法などの「経営スキル」も必要です。経営者の退任日までに、しっかりと育成できるよう綿密なスケジュールを立てましょう。

事業承継を進める

後継者の育成ばかりに気を取られてしまうと、肝心の「事業承継の手続き」がおろそかになってしまいます。

育成と同時に、事業承継に必要となる手続きも進めていきましょう。事業承継を行う際には、専門家へ相談し、細かいアドバイスをもらいながら進めていくのが一般的。PASONはM&Aに特化したマッチングプラットフォームです。

徹底したサポートで、より多くの買い手と交渉することができます。料金は業界最低水準!ご相談は無料で行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

飲食店で事業承継を行う際の注意点とは?

飲食店での事業承継の際に、注意しなければならないポイントについて解説していきます。事業承継を成功へと導くために、注意すべき点は大きく分けて3つです。

1つ目は、綿密な計画を立ててから取り組むこと。上記でも説明した通り、事業承継は非常に時間がかかります。したがって、しっかりと計画を立てて一つ一つ取り組んでいくことが重要です。

後継者に伝え忘れていることはないか、会社の資産や負債で確認し忘れているものはないかなど、細かい点も気をつけましょう。

2つ目は、情報が漏洩してしまわないよう細心の注意を払うことです。例え年齢(高齢化)が原因の場合でも、お客様にとって「経営者が変わる」ことは良いイメージを持たれるものではありません。

どれだけ熱心に後継者を育成しても、情報が漏れてしまえば、常連客が離れてしまう可能性もあるのです。また、具体的な内容が決まるまでは、従業員にも伝えないのが一般的。従業員から常連客や取引先に事業承継の事実が広がるケースもあります。

3つ目の注意点は、後継者と従業員の関係にも気を配ることです。新しい後継者になった場合、長年勤めていた従業員は、不安になったり不満を感じる場合もあります。

突然経営方針が変わってしまったり、勤務形態の変更など、納得できないことが起こり得る可能性もあるのです。

後継者と従業員の関係が悪化してしまうと、退職者が続出してしまうかもしれません。そうならないためにも、後継者の育成にはしっかりと時間をかけて取り組む必要があるのです。

飲食店の事業承継にはM&Aをうまく活用することがおすすめ

「後継者不在だから、このまま店を閉じてしまおう」と悩んでいる経営者の方にはM&Aの専門家への相談をおすすめします。

長年守ってきたお店を残したいという思いだけではなく「廃業」するにも大きな費用がかかるからです。事業承継には多くの時間が必要となりますが、思いの詰まったお店を継続できるだけでなく、売却益も獲得できるのがM&A。

専門家への依頼で、手厚いサポートが受けられるだけでなく、スムーズに事業承継を行うことができます。

中には「企業の売却は、大企業が行うものではないか?」と思っている方も多いかもしれませんが、個人経営の飲食店でも買い手が見つかれば事業承継を行うことが可能です。

また、親族内承継や親族外承継をお考えの方でもサポートしてもらえます。

どれだけ人気店であっても、事業承継には法律に関することや税務の手続きなどがあり、後継者の育成と同時に自分1人で行うのは難しいかもしれません。信頼できる専門業者をみつけて、二人三脚で事業承継に取り組みましょう。

まとめ|飲食店の事業承継には課題が多い!専門家の力を借りて取り組もう

今回の記事では、飲食店の事業承継とはどのようなものなのか?問題点や手順・注意点などについて詳しく解説してきました。

後継者不在の問題や経営者の高齢化が深刻なだけでなく、飲食店で働く従業員の数も不足していることがわかりましたね。また、飲食店の事業承継は、後継者の育成に時間がかかることもあり長期化することが予想されます。事前にしっかりと計画を立てることが大切になるでしょう。

後継者不在に悩んでいる経営者の方は、専門家に相談することがおすすめです。M&A(第三者承継)を活用すれば、思い入れのある店を残すことができます。

また、親族内承継や親族外承継をお考えの方のサポートにも対応していますので、安心ですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

監修者情報

笹本 拓実
笹本 拓実

2016年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後5年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、株式会社Joblabにて管理部長に就任、コーポレート部門全般を管掌。2023年に共同代表である板井 理と株式会社PASONを設立。
代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。