PASON
PASON
M&A 事例・コラム

債務超過とは?赤字との違いや債務超過に陥る原因・解決策を解説!

最終更新日:2024-03-30
債務超過

債務超過とは?赤字との違いや債務超過に陥る原因・解決策を解説!

「債務超過」という言葉をよく耳にしますよね。はっきりとした意味は理解できていなくても、多くの人が「マイナスの印象がある言葉」と認識しているはずです。

「会社が良くない状況にある」というイメージはできても、詳しく説明できなかったり「債務超過は、どのように確認すれば良いのだろう?」「赤字と同じ意味なのではないか?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

債務超過に陥ってしまうと、経営にさまざまな悪影響を及ぼすことはもちろん、最悪のケースでは倒産してしまう可能性もあるのです。

そこで今回の記事では、債務超過とは?赤字との違いや債務超過による会社への影響、解決策に至るまで詳しく解説していきます。債務超過について深く理解できる内容となっていますので、最後までお読みください。

債務超過とは?

債務超過とは、会社の資産(預金・売掛金・土地や建物など)よりも負債(借入や買掛金)の方が多くなってしまった状態のことを指しています。資産となり得るものをすべて現金化して返済に充てた場合でも、借金が残ってしまう状態です。

負債の方が多くなってしまうと「すぐに倒産してしまうのでは?」と考えてしまうこともあるかもしれません。しかし、債務超過になったからといって、すぐに倒産するわけではなく「債務を支払うことができない」場合に倒産に陥ってしまうのです。

ただし、すぐに倒産するわけではないからといって、危機的状況であることに変わりはありません。特に、債務超過の期間が長期化するほど、倒産する可能性が高くなります。

債務超過の際には、当然、金融機関から信用されにくくなるでしょう。融資も受けられないことも多くなりますので、しっかりと会社の経営状況を把握することが大切です。

債務超過の赤字の違いとは?

「債務超過」と「赤字」は、どちらも経営状態が芳しくなく、利益が出ていないという点では同じです。しかし、根本的な意味は違ってきます。

債務超過は、貸借対照表の純資産がマイナスであり、経営状態や財務の安全性が低下している状態です。一方で赤字はというと、損益計算書の当期純利益がマイナスであり「その年」の収益悪化を表しています。

切り離して考える言葉ではなく、赤字経営が続いてしまうと、債務超過になる可能性が高まるといえるでしょう。

債務超過は倒産危機?黒字でも倒産する可能性あり

会社の決算書や会計が「黒字」だと安心してしまう経営者の方も多いはず。しかし、実は「黒字倒産」する企業は、非常に多くなっています。東京商工リサーチによって2019年に行われた調査によると、最新の決算書が黒字だったのにもかかわらず倒産に追い込まれた企業は、驚きの47.16%でした。

これは、債務を支払うことができなくなったことにより、事業を続けられなくなる状態を言います。黒字倒産が起こる原因は、損益自体が黒字だった場合でも、現金化できる資産がないため支払いができなくなってしまうのです。

例えば、売掛金や受取手形が多くても、現金にできなければ債務を支払うことはできません。

黒字倒産しないためには、過剰な在庫を抱えないことや無駄な在庫の処分、売掛金比率を下げて買掛金比率を上げるなどの対策を取るようにしましょう。

債務超過によって及ぼされる影響

債務超過になってしまうと、さまざまな悪影響を及ぼします。倒産するリスクが非常に高くなるのはもちろん、それ以外にも事業を継続できなくなるような危機的状況に追い込まれることとなるのです。債務超過になった場合のリスクは、大きく分けて2つあります。

  • 上場廃止になる
  • 金融機関からの融資が受けにくくなる

それぞれ確認していきましょう。

債務超過によって及ぼされる影響①:上場廃止になる

その一つ目が「上場廃止」になること。上場している企業にとって、上場廃止は大きなダメージとなります。

取引先からの信用問題にも関わってきますし、従業員のモチベーション低下にも繋がるでしょう。上場が廃止になる期限は、市場によってさまざまです。「日本取引所」のケースを挙げると、1年以内に債務超過を解消できなければ、上場廃止となってしまうことを把握しておきましょう。

債務超過によって及ぼされる影響②:金融機関から融資を受けにくくなる

2つ目は「金融機関から融資を受けることが困難」になることです。債務超過になることにより、返済能力がない企業と見做されるのは仕方がありません。

しかし、債務超過になった場合でも、金融機関から融資を受けられるケースもあります。その条件は、以下の5つです。

  • 債務超過から3年以内である
  • 資産価値が高い不動産を持っている
  • 利益を上げている年が近々にあった
  • 融資を受けることで経営回復と利益の増加が見込める場合
  • 社内の人間からの債務である

この中の一つでも該当する場合は、金融機関からの融資を受けられる可能性があります。しかし、債務超過に陥ることは、決して良い状況とは言えません。早めの対策を心がけ、債務超過を解消するようにしましょう。

債務超過に陥ってしまう3つの原因とは?

債務超過になってしまう原因には、どのようなことが考えられるのでしょうか?主な要因として考えられるのは、以下の3点です。

  • 赤字状態が続いている
  • 起業して間もない
  • 特別損失の計上

それでは順番に確認していきましょう。

超過債務に陥ってしまう原因①:赤字状態が続いている

赤字経営が長期化することで、超過債務に陥ってしまうことが多く見られます。赤字経営は、純資産が減少し続ける状態です。それによって、資産よりも負債の額が上回ってしまいます。赤字経営になるきっかけはさまざまですが、その理由として「大型投資の失敗」が挙げられるでしょう。

新たな分野に進出するための投資、事業の効率化を目指して購入した設備投資などが、失敗に終わってしまうのです。想定していた成果を上げることができず、思ったような収益に満たないケースも少なくありません。

債務超過に陥ってしまう原因②:起業して間もない

債務超過になる原因として、起業して間もないため、事業が軌道に乗っていないケースも考えられます。起業してまだ時間が浅い場合は、初期投資や設備投資に多くの資金がかさむこととなりますので、損益が安定していません。

また、少額の資本金で会社設立を果たす企業が多くなっているのが現状です。事業をスタートさせてから軌道に乗るまでに時間がかかってしまうと、赤字を積み重ねてしまい、あっという間に債務超過に陥ってしまうでしょう。

債務超過に陥ってしまう原因③:特別損失の計上

債務超過になる原因として、特別損失の計上も挙げられます。特別損失とは、事業活動以外の損失を表しており、自然災害や新種のウイルスなどで発生した損失です。

予測できない台風被害や豪雨災害などでの損失であっても、その期間も出費は続きます。この際に特別損失を計上することとなり、債務超過となってしまうこともあるでしょう。

債務超過の6つの解決策

それでは、債務超過に陥ってしまった場合は、倒産を免れることはできないのでしょうか?決してそんなことはありません。ここからは、債務超過に陥ってしまった際の6つの解決策について解説します。

  • 経営見直し、または立て直し
  • M&Aで事業を譲渡する
  • 増資をする
  • 会社更生法や民事再生法を適用する
  • DES(デット・エクイティ・スワップ)の実行
  • 債務免除をお願いする

ひとつずつ見ていきましょう。

債務超過の解決策①:経営の見直し、または立て直しをする

基本的なことですが、債務超過に陥ってしまった際には「経営の見直し」を行うことが大切です。売上を回復させ、利益を出すことが第一となります。

それと同時に、コストの削減も実施しましょう。人件費や経費を再確認し、少しでも支出を減らすことが重要となります。売上を伸ばし、無駄な支出を省くことで、経営の立て直しを目指しましょう。

債務超過の解決策②:M&Aで事業を譲渡する

債務超過に陥った場合に、M&Aを行い事業を譲渡したり合併することで解決することも可能です。

「赤字続きで債務を抱えている企業に対して、手を差し伸べてくれる企業なんてないのでは?」と考えてしまいますが、合併に応じる可能性のある企業にもデメリットばかりではありません。

技術力や知識、ノウハウを魅力に感じてくれるケースもありますし、シナジー効果が生まれると予測できる場合はスムーズにM&Aが成立するかもしれません。

この時に注意しなければならないのが、自社の経営状況を包み隠さず伝えることです。

当社では、M&Aに特化したサービスを提供しています。事業譲渡の進め方やポイントを、無料で相談することができるので安心です。

業界最低水準の料金で「売り手側」「買い手側」どちらのお客様にも、満足いただけるサービスを提供しています。成功報酬もありません。売り手のお客様は、月額利用料無料!全案件について財務情報が検証済みのため、安心して交渉いただけるでしょう。

PASON(パソン)を介したM&Aであれば、買収後のトラブルも未然に防ぐことができます!M&Aを実施しようか悩んでいるという方は、ぜひ1度ご相談下さい。

売り手側の企業様:✉︎PASONに無料で相談してみる
買い手側の企業様:PASONに無料で会員登録してみる

債務超過の解決策③:増資を行う

債務超過の解決策として「増資を行う」のもひとつの方法です。これは、資本金を増やすことを指しています。増資を行う方法として、下記の3つの方法が挙げられますので、順番に確認していきましょう。

  • 公募増資
  • 株主割当増資
  • 第三者割当増資

公募増資とは、現時点での株主や第三者だけでなく、広い範囲で一般の投資家たちに新たな株式を発行します。その上で、資金を調達する手法です。

株主割当増資とは、新株を発行することによって資金調達する方法。新株式の割当権利を、既存の株主に与えることで増資を行います。新規株主に比べて、既存の株主は買取に応じてくれる可能性が高くなっているのが特徴です。

最後に、第三者割当増資について。これは株主か否かに関わらず、特定の第三者に対して新株を発行し、増資を行う方法を表しています。自社の役員や取引先に権利を付与して、新株を発行することが一般的です。経営状況が悪化し、株価が低迷している際に使われる方法のひとつとなっています。

債務超過の解決策④:会社更生法や民事再生法を適用する

債務超過で資金調達が難しくなってしまった場合に、会社更生法や民事再生法を適用するのも良いでしょう。事業の再構築を図り、会社の債務を減免し、支払いの猶予を得ることができるのです。

会社更生法と民事再生法の大きな違いは、会社の規模によるもの。会社更生法は、大手企業が再建への手続きをします。また、民事再生法は、中小企業の再建手続きとなるのです。自社の規模によって、手続きを行う法律が異なってきますので注意しましょう。

会社更生法を行う上で、もっとも気をつけなければならない点は、経営陣が撤退しなければならないことです。新しい会社では、それまでの経営陣が退くこととなり、手続きにも多くの時間を費やすこととなります。

一方で、民事再生法は、会社更生法に比べると手続きも簡単でスムーズです。経営陣も引き継ぐことができますので、そのまま経営を続けることが可能となります。

債務超過の解決策⑤:DES(デット・エクイティ・スワップ)の実行

債務超過を解決するための方法5つ目は、DES(デット・エクイティ・スワップ)を行うことです。DESとは、債務を株式と引き換えにすること。債権者である金融機関などが、債務者である企業に対して、株式を負債に振り替えることです。

これにより、債務者である企業は、株式を振り替えた分の「資本金」を得ることができます。

DES(デット・エクイティ・スワップ)は、株式利益の支払いはあるといっても、債務超過の解決策として、非常に有効的な方法のひとつです。注意点として挙げられるのは銀行が債権者のケース。

この場合、発行株式の5%しか保有することができないと決まっています。

債務超過の解決策⑥:債務免除をお願いする

債務超過の解決策、最後は「債務免除をお願いする」ことです。債務免除とは、債権者に対して、債務を放棄してもらうことを指しています。債権者側からすれば「債権放棄」を取ることになるのです。

債務者と債権者の間で話し合いが持たれ、債務免除に合意してもらえる場合があります。債務者側は「支払うべき債務を返済しなくても良い」ということになりますので、経営状況の回復が見込め、負債も減るのです。

また、債務免除は「相続税対策」を目的として行われるケースもあります。

債務超過を防ぐための対策

債務超過に陥ってしまった場合の解決策を紹介しましたが、肝心なことは「債務超過に陥らない」経営状況を確立することです。債務超過の解決策を実施した場合でも、必ずしも成功するとは限りません。

日頃から、健全な経営に取り組むための細心の注意を払うことが必要です。ここからは、債務超過を防ぐための対策について解説していきます。

  • バランスシート(貸借対照表)を定期的にチェックする
  • 専門家に問題分析やアドバイスをもらう

それではひとつずつ見ていきましょう。

債務超過を防ぐための対策①:バランスシート(貸借対照表)を定期的にチェックする

債務超過を防ぐためのひとつ目の対策は、バランスシート(貸借対照表)を定期的にチェックすること。損益計算書を日頃から確認する企業は多くありますが、それだけでは不十分です。損益計算書のチェックだけでは、債務超過の危機を見逃してしまう恐れがあります。

しかし、バランスシートのチェックを習慣化しておくことで、些細な兆候でもいち早く察知することができるのです。例えば「不動産の価値が徐々に下がってきている」「純資産が減少してきた」「予想より、負債が膨らんできている」といったことも早い段階で把握することができます。

気づいてすぐに対策を取れば、大きな負債へと繋がることは少なくなりますし、経営に大ダメージを与えることはないでしょう。バランスシート(貸借対照表)を上手く活用できる体制を整えて、債務超過に陥らない経営を目指すことが重要です。

債務超過を防ぐための対策②:専門家に問題分析やアドバイスをもらう

「会社経営が軌道に乗らない」「問題点が把握できない」といった悩みに直面する経営陣も少なくありません。社内でさまざまな対策を行っても、一向に回復の兆しが見えないときには、専門家に相談することをおすすめします。

自分たちでは「どこを改善すれば良いのかわからない」という場合でも、適切なアドバイスをもらえたり、打開策を提案してもらえるでしょう。

経営に強いコンサルタントだけではなく、税理士や公認会計士に問題分析してもらうのが得策です。第三者の視点から、自分たちでは気づかなかった弱点について指摘してもらえます。

「経営が苦しいのに、相談料を払うのは厳しい」と感じる方も多いかもしれません。しかし、債務超過に陥ってしまえば、相談料とは比較できないほどの損失が出てしまいます。早い段階で専門家に相談することで、債務超過の危機から逃れることができるでしょう。

まとめ|債務超過に陥らないために定期的な経営状況のチェックを習慣化させよう

今回の記事では、債務超過とは?赤字との違いや債務超過に陥ってしまう原因、解決策や未然に防ぐための対策について詳しく解説してきました。

もし、企業が債務超過に陥ってしまうと、会社経営にさまざまな悪影響が出てしまうということがわかりましたね。債務超過に陥った場合でも、すぐに倒産するわけではありませんが、上場廃止になったり金融機関からの融資が受けられなくなることも。会社が危機的状況にあることは間違いありません。

債務超過には、多くの解決策がありましたが、やはり「債務超過にならない経営をする」ことが何よりも重要です。経営が軌道に乗らず不安材料がある場合には、日頃からバランスシート(貸借対照表)を確認したり、早い段階で専門家に相談するなどの対策が必要となるでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

監修者情報

板井 理
板井 理

2018年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後3年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、2023年に共同代表である笹本 拓実と株式会社PASONを設立。代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。