イグジットの意味とは?目的や種類・メリットやデメリットについて解説!
最終更新日:2024-03-30イグジットという言葉を聞いたことはあるでしょうか?日本語で「出口」という意味で広く知られていますが、ビジネスにおけるイグジットの意味が気になるところです。
「どのような種類があるのだろう?」「なぜ経営において、イグジットが重要になるのか?」といった疑問をお持ちの方も多いはず。
ビジネスにおいて欠かせない戦略のひとつとなっていますので、詳しい内容を知っておきたいところです。
そこで今回の記事では、イグジットの意味や種類、メリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。イグジットについて、理解が深まる内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
イグジットの意味とは?
M&Aにおける「イグジット」とは、ベンチャービジネスや企業再生などで創業者や起業家などが株式や会社を売却して、利益を回収する手段のことを指しています。利益の回収を「出口」と定めているといえるでしょう。
ある程度の期間会社を運営していくことで、企業が大きく成長し、それに伴って株価も上昇するのです。
この場合、起業した際の資本金を遥かに上回る「企業価値」になっていることが多く、売却益で利益を獲得することが可能となっています。
一般的にイグジットは、株式を売却する「株式譲渡」が多く見られますが、稀に「事業譲渡」で行われる場合もあるのが特徴です。イグジットを実行して、その売却益を元手に新規事業を始める経営者も多くなっています。
イグジットの目的とは?
イグジットを成功させるためには、多くの時間と手間が必要となります。なぜ、イグジット戦略を実行する必要があるのでしょうか?
上記でも解説してきた通り、イグジットを行う理由や目的には「企業の売却」があり、売却益を獲得することで資金調達を考えているケースが多く見られます。また、それ以外にも「企業の上場」が目的となる場合も。
経営を続けて行く中で、会社が軌道に乗り拡大していけば、上場を検討する機会に直面するかもしれません。上場には、数多くのメリットが存在しており「資金調達がスムーズになる」ことや「信頼度が向上する」点、また「多くの人に知ってもらえるようになる」などが挙げられます。
上場は非常に厳しい審査が必要となりますが、企業価値が大幅に上がるので、イグジットを行う際にも有利に働くこととなるでしょう。
イグジットの種類
イグジットには、大きく分けると5つの種類があります。中でも「IPO」と「M&A」が主に使われている戦略となっているのが特徴です。
- M&A
- IPO
- MBO
- EBO
- LBO
それぞれひとつずつ確認していきましょう。
M&A
M&Aとは「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」を略した言葉となっており、企業においての合併や買収を表す言葉です。複数の会社(2つ以上)が一つになるケースや、ある会社が他の会社を買い取ることを指しています。
経営者及び出資者によって事業(会社)を売却し、資金を獲得する手法です。M&Aによってイグジットが行われる場合には「株式譲渡」と「事業譲渡」があり、株式譲渡が主流となっています。
IPO
IPOとは「Initial Public Offering(イニシャル パブリック オファリング)」を略した言葉となっており、日本語で言い換えると「新規公開株式」と呼ばれています。
まだ上場を行っていない企業(非上場企業)が、新たに証券取引所に株式を上場することで、市場へと流通させるイグジットの手法です。
このときに、経営者や出資者がそれまで保有していた株式を手放し(売却する)ます。売却した株式を、一般の投資家に購入してもらう形になるのです。
IPOについての詳しい内容は、IPO(Initial Public Offering)の意味とは?メリット・デメリットや上場との違いについて解説!の記事で解説しています。
MBO
MBOとは「Management Buyout(マネジメントバイアウト)」を略した言葉となっており、現在の経営陣によって、出資者が所有している株式を買い取ることです。
このときに必要となる費用に関しては、金融機関からの融資や投資ファンドからの出資金で行われるのが一般的となっています。
MBOでイグジットを行うメリットとして、会社の所有者と経営陣が一緒になるので、トラブルが起きにくくなることが挙げられるでしょう。
MBOに関しての詳細は、バイアウトの意味とは?4つの種類やイグジットとの違いを徹底解説!の記事で紹介していますのでチェックしてみてください。
EBO
EBOとは「Employee Buyout(エンプロイーバイアウト)」の略であり、従業員によって、創業者や出資者が保有している株式を買い取る手法です。
EBOによってイグジットを行う大きなメリットは、後継者問題の解消が挙げられ、大企業ではなく主に中小企業で用いられる戦略となっています。また、デメリットは「資金調達が非常に困難である」ことです。
LBO
LBOとは「Leveraged Buyout(レバレッジドバイアウト)」の略であり、融資(借入金)によって、事業を買い取る手法です。
レバレッジには「てこの作用」という意味がありますので、小さな資金でも大きな企業を買収することができる方法になっています。
自己資金が少額であっても買収できる点がメリットと言えるでしょう。一方デメリットは、売り手側に経営権がなくなってしまうことや、場合によっては非常に大きな借入金の返済を背負ってしまうことです。
LBOについての詳しい内容は、レバレッジドバイアウトとは?メリット・デメリットやMBOとの違いを解説の記事で解説しています。
M&Aにおいてのイグジットのメリット3選
ここからは、イグジットの戦略として代表的な「M&A」と「IPO」のメリットやデメリットについて詳しく紹介していきます。まず初めに、M&Aにおいてのメリットは、大きく分けて3つです。
- 持株を現金にできること
- 短い期間で実行できること
- 業績が悪い場合(赤字経営)でもイグジットできること
順番に見ていきましょう。
持株を現金にできること
メリットの1つ目は、持株を現金化することができる点です。M&Aを行う際に、買い手側はすべての株式を保有することを目指します。したがって、売却した株式を、即座に現金にすることができるのです。
短い期間で実現できること
メリットの2つ目は、短期間でイグジットを実現することが可能な点です。IPOでは、手続きや準備に多くの時間と労力・コストが必要となります。
しかしM&Aの場合は、買い手が見つかり、交渉が成立した時点で直ちにイグジットを実現できるのです。また、IPOに比べて、成功するハードルが低い点もポイントといえるでしょう。イグジットの手法においてM&Aが多く用いられているのは、上記のような要因があるのです。
業績が悪い場合でもイグジットできること
3つ目のメリットは、業績が悪かったり赤字経営だった場合でも、イグジットできる可能性がある点です。買い手側の企業は「シナジー効果」を期待して買収を検討する傾向があります。
経営状況が良いことに越したことはありませんが、買収後にシナジー効果の発揮が見込めれば、赤字経営であっても良い評価をしてもらえることもあるのです。
IPOにおいてのイグジットのメリット3選
続いて、IPOにおけるイグジットのメリットについて解説していきます。メリットは、大きく分けると3つです。
- M&Aと比較して大きな利益を得られる可能性が高いこと
- 会社の知名度や信頼度が向上すること
- 株主として会社に残ることが可能なこと
ひとつずつ確認していきましょう。
M&Aよりも大きな利益を得られる可能性が高いこと
IPOにおけるメリットの1つ目は、M&Aと比較して大きな利益を得られる可能性が高い点です。M&Aでは、イグジットまでの期間が短く、買い手が見つかればすぐにでも交渉が成立します。
これは、審査なども必要ないことや、手続きや準備も簡易的なもので良いことが理由です。一方で、厳しい審査があるIPOの手法では、イグジットを実現するまでに長い時間や大きなコストがかかります。
しかし、株式を公開する以前に比べて株価の上昇に大きな期待が持てるのです。そのため、持株を売却する際に、大きな利益を得られる可能性が高いと言えるでしょう。
会社の知名度や信頼度が向上すること
2つ目のメリットは、会社の知名度や信頼度が向上する点です。
IPOで株式を上場すれば大きな責任を背負うことにもなりますが、その分、注目度や知名度も一気に上がります。それと同時に、信頼度も大きくなりますので、資金調達がスムーズになるといったメリットも生まれるでしょう。
株主として会社に残ることが可能なこと
メリットの3つ目は、株主として会社に残ることができることです。IPOにおいては、M&Aとは違って、すべての株式を売却する必要性はありません。
会社に残りたい場合には、最適な方法と言えます。一部の株式のみ売却することもできますし、一切の株式を売らないという選択もできるのです。株主としてだけではなく、経営者として残ることも可能となっています。
M&Aにおいてのイグジットのデメリット
ここからは、M&Aにおいてのイグジットのデメリットについて解説していきます。デメリットは大きく分けて2つです。
- 経営権を手放さなければならないこと
- 経営方針や社内ルール・労働条件の変更もあり得る
それでは順番に確認していきましょう。
経営権を手放さなければならないこと
デメリットの1つ目は、経営権を手放さなければならないことです。M&Aでは、会社の株式をすべて売却することとなるため、会社に残ることは難しくなります。
買い手側との交渉も可能ですが、経営に携われる可能性は低いと言えるでしょう。もちろん、株主として残ることもできませんので、注意が必要です。
経営方針や社内ルール・労働条件の変更もあり得ること
デメリットの2つ目は、経営方針や社内ルール・労働条件の変更もあり得る点です。M&Aによって会社を売却するということは、経営者が変わるということ。
今まで慣れ親しんだ社風から一変してしまいます。これは従業員にとって、大きなストレスになることも考えられるでしょう。また、労働条件においても、勤務時間や給与面での変更が行われるケースもあります。
IPOにおいてのイグジットのデメリット
最後にIPOにおいてのイグジットのデメリットを紹介します。デメリットは大きく分けて2つです。
- 上場するための審査が非常に厳しい点
- 大きなコストと時間が必要になる点
ひとつずつ確認していきましょう。
上場するための審査が非常に厳しい点
1つ目のデメリットは、上場するための審査が非常に厳しい点です。審査が厳しいのはもちろんのこと、その審査基準のクリアを目標としながら、会社の拡大も同時に進めていかなければなりません。
それぞれの証券取引所によって審査の基準は異なりますが、数多くの条件を満たすのはかなり難易度が高く、年間100社程度しか上場に漕ぎ着けないのが現状です。
大きなコストや時間がかかってしまう点
デメリットの2つ目はIPOには大きなコストや時間がかかってしまう点です。上場の準備には、最低でも3年はかかると言われています。
審査をクリアするためには、会社の規模を拡大していくことが必要不可欠。そのためには多くの資金を投入しなければなりません。それ以外にも、内部統制の強化や監査費用も必要となります。
まとめ|イグジットはタイミングが大切!出口戦略を明確にし成功させよう
今回の記事では、イグジットの意味や目的・種類やメリット・デメリットなどについて詳しく解説してきました。イグジットには5つの種類があり、その中でも「M&A」や「IPO」が主に用いられている手法でしたね。
また、M&Aによるイグジットには、短期間で行うことができ、経営不振であっても成功する可能性があることがわかりました。一方でIPOの場合は、大きな利益を得られる可能性が高い分、手続きや準備に多くの時間やコストが必要です。
イグジットを行うタイミングは非常に重要となります。出口戦略を明確にし、成功率を上げるようにしましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。