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M&A 事例・コラム

CVCとは?する側と受ける側のメリット・デメリットやVCやM&Aとの違いを解説!

最終更新日:2024-03-30
CVC 意味

CVCとはCorporate Venture Capitalの略称で、日本語ではコーポレートベンチャーキャピタルと呼ばれています。将来性を感じるベンチャー企業に投資を行う組織活動の事です。

この記事ではそのような組織がどのような活動をしているか、CVCによる投資を行ったり、受けたりするメリットやデメリットなどを解説していきます。

CVCとは

CVCとは、事業を行っている会社が将来性を見込んだベンチャーに対してファンドを作り出資をする活動組織の事を指します。

主に自社ですでに行っている事業と相乗効果(シナジー)があると思われる企業に対して投資するための組織活動です。

CVCのメリット

CVCを行うメリットを解説していきます。

オープンイノベーションを促進できる

オープンイノベーションとは、自社のみならず社外の技術や人材などの情報を利用して、更に新たな発想を考え出す活動を指します。

CVCを活用して、自社が欲しい情報や新たな技術をすでに持っている企業などと連携することにより、製品の開発期間を大幅に短縮したり、自社と相乗効果を発揮して新たな製品を開発することが可能です。

これはCVCを行う一番大きなメリットと言えるでしょう。このようにその企業が持つ新たな技術や情報、アイデアなどが活用される機会が多くなっています。

少ないコストで新規事業を立ち上げられる

新たに事業を始める場合は、1から設備の投資や人材確保、技術開発などが必要になりとてもコストがかかります。

しかしCVC投資を活用して、ベンチャーなどと連携すれば、その企業が行っている研究や開発を行っている分野に少ないコストとリスクで新規参入する事ができます。

つまり、ベンチャーとの連携を行うことにより、その市場での価値や実現可能性などを事前に推し量れることがメリットです。

早い段階でベンチャー企業と接点が作れる

事業を行っている会社は、CVCを行うことにより、早期に見込みがあるベンチャー企業が開発している新技術やサービスに関わることが出来る様になります。

そして投資を行うことにより、自社と連携して新たなサービスを作り上げる事が出来る可能性があるでしょう。

情報交流の機会が得られる

CVCを活用して投資を行うと、それに関係する投資家やベンチャー企業関係者などのコミュニティーなどから情報を共有してもらえることが多いです。

これにより新しい情報が耳に入りやすくなり、チャンスをつかんだり、リスクを避けたりすることが出来る様になります。

CVCのデメリット

続いてCVCを行うデメリットを解説していきます。

投資期間が長くなる

CVC投資では信頼関係が大切になる投資方法です。

そのためベンチャーとの信頼関係を築くために長い期間コミュニケーションをはかるような取り組みが重要です。

したがって、短い期間で結果が出るのはごくまれであり、普通の場合は何年もかかる事となります。このようにどうしても結果を出すために長い時間が必要になることがデメリットと言えます。

失敗の可能性がある

投資は、必ず成功するわけではありません。

CVC投資も同じで、開発段階や事業化など色々な段階で失敗する可能性がある点がリスクです。このように必ず投資が成功するわけではない事を認識しておかなければなりません。

CVC投資を受けるメリット

ここからはCVCからベンチャー企業が投資を受けるメリットについて解説していきます。

資金調達が円滑になる

企業が資金調達をする場合は、基本的に融資や投資から資金を得ることになります。

融資で資金を得た場合は、金融機関に対して期間内に決まった金額ずつ返済していく必要があります。また利息も発生するため、利息によって資金繰りが悪化する可能性がある点がリスクです。

しかしCVCからの投資での調達は、定期的にお金を返す必要が無いためその分事業にお金を回すことができます。このように資金繰りを圧迫しない調達方法になるのでその点がメリットと言えるでしょう。

CVC投資を行っている会社の情報を利用できる

ベンチャーはCVC投資を受けることにより、CVCに関わる事業者との関係を強化できます。

そのため関係者が持つ顧客情報や開発環境などの経営に必要な情報や環境を提供してもらえる可能性があります。それらを活用し事業を効率的に発展させる事ができるのが大きなメリットです。

そして投資を行っている側は事業の拡大が目的で投資することが主なため、企業はこのような情報や環境を提供してもらいやすい状態にあると言えるでしょう。

企業の信頼性が高くなる

CVCを通して、CVC投資を行っている信用力が高いような事業を行っている会社から投資を受けることにより、その投資先であるベンチャー自体の信用力も高くなります。

銀行などからお金を借りるのが難しいベンチャーには嬉しい所です。また、CVCでの投資によって、企業と業務提携や資本提携を結ぶ場合には、大きな企業ではプレスリリースと言われる、企業が報道機関向けに発表を行う文書が公開されることが多いです。

このプレスリリースに社名が掲載されることにより掲載された会社の認知度も上昇することとなります。したがって、CVC投資によって向上した信用度や認知度は、これから事業を拡大していくなかでとても大きいメリットとなります。

CVC投資を受けるデメリット

続いてベンチャー企業がCVCからの投資を受けるデメリットについて解説していきます。

経営の自由度が低下する

CVC投資を受けると、ベンチャーの経営方針や事業方針などに意見してくる可能性があります。

これは投資なのでもちろん経営に口出しする権利はないですが、もちろんCVC投資する側も自社とのシナジーを期待して投資しているため経営に介入する場合もあります。

投資を受けるために、このようにある程度意見を受け入れる必要があるでしょう。なので経営の自由度が低下するのがデメリットです。

CVCを運営している事業会社の印象が付く

CVC投資を受けていると、その事業会社の印象が自分の会社にも付く事となります。

その事業会社の競合他社などと取引できなくなる可能性があり、それによって事業の拡大にも問題が起きる場合もあります。これは事業会社が大企業であればあるほど競合他社が増えてしまい、取引しにくくなる可能性が高いです。

このように大企業から出資してもらうことにより企業としての信用力は向上する一方で、投資を行っている事業会社の競合他社などからは取引できなくなるという側面があります。

CVCとVCの違い

CVCと似た言葉でVCというものがあり意味も似ています。

VCとはventure capitalの略称で、日本語ではベンチャーキャピタルと呼ばれています。CVCの場合は、すでにある事業を更に発展させるために、シナジーの見込める事業に投資することが多いです。

他に、新たに事業展開を考えている分野に関係する情報や技術、アイデアなどをいち早く得るために投資をする事も多いです。このようにCVCは主にシナジーや新たな事業に関係する情報を得るために行う事が多いです。

投資した企業が成長し株式公開を行ったり、M&Aで売却を行って、株式を売った金額で投資金額を回収する(キャピタルゲインの獲得)という要素はVCと比較して優先度が高くありません。

VCの場合は、主に投資金を回収することが目的であり、自社の事業とのシナジーを追及したり、新たな市場の開拓がメインではなく、キャピタルゲインの獲得が主な目的です。

CVCとM&Aの違い

CVC投資は、事業でのシナジーを得るために投資するという面ではM&Aでの買収に似ています。

しかしこれらは必要な金額や投資した企業への影響力という点でかなり違ってきます。まずM&Aでの買収の場合は、経営をコントロールするために株式を一定数以上取得することが多いため、その分多くのコストが掛かる事が一般的です。

そして、M&Aを行った後に買収した企業を上手く続けていくためには、非常に多くのリソースやノウハウなどを使わなければなりません。

それに対し、CVCでの投資の場合では、M&Aでの買収ほど経営をコントロールできませんが、ある程度の投資で相手企業に影響を与える事が出来ます。

これは直接自分で経営するわけではなく、あくまで経営への投資をするため、どのように会社をどんな方向へ持っていくかは、引き続き投資先の企業が考えて決断することとなります。

またPASONでは、M&Aの仲介・サポートを行っています。PASONの魅力は

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CVC投資先の選び方

この投資を行う際どのように投資先を探して、どの点を見て判断するのか解説していきます。

  1. 投資先の選定

まず一番最初に、投資を行うベンチャーを探していきます。

投資をする候補を見つけられたら、その企業に対してデューデリジェンスを行います。これは企業の価値やリスクの調査です。投資を行う前にしっかりとデューデリジェンスを行うことによって投資のリスクを軽減することができるでしょう。

  1. シナジー効果の確認

投資する企業が、事業会社が行っている事業とシナジー効果(相乗効果)を発揮できるのかを検討します。

時代遅れなサービスではないか、どのように事業拡大していくことができるのかというような事を調べていきます。事業会社は、新たな技術を求めていて、ベンチャーは、知名度や研究環境などを求めている事が多いです。

そうしてお互いのニーズがしっかり合致していてシナジーの効果を十分に獲得することができると分かれば、業務提携まで進む可能性があります。

  1. 投資での利益

キャピタルゲインと言われる投資をして最終的に回収できる売却によって得られる利益を獲得する事も検討します。

新規公開株などが実現した場合、株式分の評価益が計上されることとなり、M&Aによって出資した金額より高い金額での売却が成功した場合、その株式分の売却利益が加算される事となります。

しかしCVC投資の場合は、この利益のみならず業務提携なども目的なため、投資先の株式を持ち続け関係を維持する場合も多いです。

このような3つの要素を踏まえて投資先を選んでいくのが一般的な選び方です。

まとめ│CVCでシナジーを生み出して相互に成長する

この記事では、CVCについて解説してきました。

事業会社がファンドを作り自分の事業とシナジーが得られそうなベンチャー企業に投資する事を指します。

これをするメリットは、社外の情報を得やすくなったり、優れた技術を持つベンチャーとのコネクションを作れたり、新規事業を始める際のコストを軽減したりできる点が利点です。

しかし半面、投資としては必要な期間が長く、また失敗する可能性もあります。

また企業が受ける場合は、信頼性が向上したり、事業会社のリソースを活用できる所が大きなメリットです。CVCはVCと違って、投資したお金を企業の売却によって利益を得るという点より、シナジーを発揮して相互に成長していく事を一番の目的とした活動となっています。

監修者情報

板井 理
板井 理

2018年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後3年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、2023年に共同代表である笹本 拓実と株式会社PASONを設立。代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。