株主総会とは?開催場所や決議事項・開催の手順まで徹底解説!
最終更新日:2024-03-30「株主総会って、よく見聞きするけど、何をするの?」「株主総会は、いつ開催されて、誰が出席するものなの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
テレビやニュースでよく目にするので、何度も聞いたことはあるけれど、実際にどんなことを行なっているのかはわからないものですよね。
日本には、株式会社が300万社以上あります。株式会社である以上、株主総会を行うことは義務付けられており、株式会社の中で最も大きな決定権を持つ機関です。
そこで今回の記事では、株主総会とはどういったものなのか?種類や開催場所、開催場所や開催時期などについて詳しく解説していきます。
株主総会について深く理解できる内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
株主総会とは?
株主総会とは、株式会社の意思決定機関であり、出資を行っている「株主」によって作られているものです。
株式会社である以上、株主総会を行うことは義務付けられており、基本的な業務方針や重要事項を決定する重要なものとなっています。
議題を決定した後、企業の代表取締役が、株主総会の2週間前までに株主へ向けての通知を送るのが一般的です。ここで、役員の解任や選出なども行われます。
開催されるまでにも厳しいルールが作られており、そのルールに従って開催されていないと判断された場合には、決定事項が白紙になってしまうケースもありますので注意が必要です。
株主総会の種類とは?
株主総会は大きく分けて「定時株主総会」と「臨時株主総会」の2つに分類されています。この2つの違いは「招集される時期」です。
定時株主総会は、基本的に事業年度が終了したタイミングで行われるもの。
株式会社である以上、1年に1度必ず招集しなければならないという義務があります。これは「会社法」によって定められているものです。定時株主総会では、どのようなことを決めるのでしょうか?
ここでは、計算書類の報告や承認・役員の解任や選任、または報酬や社内の定款変更についても決定されます。
臨時株主総会とは、必要がある場合に不定期で行われる株主総会です。緊急を要する事態が起こった際に、いつでも開催できる株主総会になっています。この「緊急を要する事態」の例を挙げると次のようなことが考えられるでしょう。
- 取締役が欠員してしまった際の選任
- 支店を新たに作るときや移転・廃止をするとき
- 役員の氏名を変更する際や住所が変わるとき
- 本店が移転になるとに
- 増資を行う場合
- 事業年度が変わるとき
このように、臨時株主総会が開催されるケースは多岐にわたります。開催回数に制限もありませんので、必要な場合に招集されることとなるでしょう。
株主総会はどこで開催される?
それでは、株主総会はどこで開催されるものなのでしょうか?実は株主総会は、どこで開催しても良いとされています。
株式会社の中で、最高意思決定機関であり、事業年度が終了したタイミングで必ず開催されなければならない「定時株主総会」であっても、開催場所は自由。
以前は、本店の所在地や隣接地で開催されなければならないという取り決めがありました。しかし現在の会社法では、その取り決めがなくなり、自由に開催場所を決められるようになったのです。
近年では、オンラインでの株主総会も認められており「バーチャル株主総会」と呼ばれています。
オンライン株主総会のメリットは、遠くに住んでいる株主であっても参加しやすい点や、万が一同日に複数の株主総会に出席しなければならない場合でも、オンラインであれば無理なく参加できる点。
また、会社側のメリットとしては、会場を押さえる手間や費用が節約できます。
オンライン株主総会のデメリットは、株主総会中に通信障害が発生してしまう可能性もあるということ。また、オンライン株主総会を取り入れることによって、システムを整える際のコストが発生する場合もあるでしょう。
株主総会の出席者とは?
株主総会に出席する義務のある人はいません。株式会社の役員であっても、株主総会への出席は義務付けられていないのです。しかし、ここで注意しなければならないポイントがあります。
出席義務はありませんが、株主から出た質問に答えなければならないという義務はあるのです。
したがって、会社役員(取締役や監査役など)に株主総会への出席義務はありませんが、出席しなければ株主総会が成立しないということになります。会社役員の出席は、必要不可欠になるでしょう。
また、議決権を持つ「株主」も株主総会に出席することになります。しかし、招集通知を受け取った場合でも、参加「する」「しない」は自由です。
やむを得ず、出席できない場合には「代理人」を立てる権利が保障されています。この場合、株主からの「委任状」が必須となりますので注意しましょう。
株主総会での3つの決議事項とは?
株主総会では、決定するべきことが定められており、大きく分けると以下の3つになります。
- 役員人事・報酬
- 会社の事業に関わる重要事項
- 株主の権利に関わる重要事項
1つ目の役員人事とは「取締役」「会計監査人」「監査役」「会計参与」の選任及び解任を決議します。株主からの承認がなければ解任することができないということです。
また、役員の報酬に関する決定が行われるのもポイント。役員自ら、私利私欲のために高額な報酬を設定しないよう、株主総会で「役員報酬」が決められることになっています。
2つ目は、会社の事業に関わる重要事項です。会社の事業に関する重要事項とは、主に「会社が合併する」「株式の移転」「事業の譲渡」「定款変更」「会社の解散」といった内容となります。
これらも全て、株主からの承認がなければ実施することはできません。
株主総会での決議事項3つ目は、株主に関わる重要事項です。これは、株主にとって非常に重大な取り決めとなります。自らの利益や損益に直結する内容です。主に「余剰金の配当」「非公開の新株の発行」「自己株式の取得」などの課題が取り上げられます。
【株主総会の決議】3つの種類とは?
株主総会決議には大きく分けると3種類に分かれています。
- 普通決議
- 特別決議
- 特殊決議
ひとつずつ確認していきましょう。
株主総会決議の種類①:普通決議
株主総会の決議は、普通決議によって決定されるのが原則となっています。普通決議は、議決権を行使することができる過半数を有する株主が株主総会に出席することが条件。
そして、出席した株主の議決権の過半数によって決議されます。普通決議においては、定足数を引き下げることも可能です。定足数とは、会議などで議題を進めていき、議決するときに必要となる最小限の人数をさしています。
<普通決議>
定足数 | 行使できる議決権の過半数(ただし、排除や引き下げも可) |
賛成数 | 株主総会に出席している株主が持つ議決権の過半数以上の賛成で認められる |
決定事項 | 役員の選任や解任/役員などの報酬について/余剰金の配当/株式の取得など |
株主総会決議の種類②:特別決議
特別決議とは、議決権の過半数を有する株主が出席し、その総数に対して3分の2以上の賛成が得られれば議決されます。
特別決議は主に、定款変更や合併・事業を譲渡しなければならないケース・非公開会社で新株予約権を発行する決議・資本金を「減少」しなければならないなどの、かなり重要視される決議が行われる際に必要となるでしょう。
<特別決議>
定足数 | 議決権を行使できる株主が過半数出席すること |
賛成数 | 株主総会に出席している株主が持つ議決権の3分の2以上の賛成で認められる |
決定事項 | 定款の変更/減資/株式譲渡/解散/定款の変更など |
株主総会決議の種類③:特殊決議
特殊決議には、2つのパターンがあります。
①:議決権を行使することができる株主の半数で、議決権の3分の2以上の賛成で認められる
②:総株主における割合の半数で、議決権の4分の3の以上の賛成で認められる
①のケースでの決議事項は、吸収合併契約や株式交換契約、株式移転契約などの承認です。②のケースでの決議事項は、株主総会における議決権や余剰金の配当受取について議論されます。
<特殊決議>(①のパターン左/②のパターン右)
定足数 | 議決権を持つ株主の過半数が出席していること | 総株主の半数以上が出席していること |
賛成数 | 出席している株主の議決権の総数に対して、3分の2以上の賛成で認められる | 総株主が持っている決議権の4分の3以上の賛成で認められる |
決定事項 | すべての株式に対して、譲渡制限をかける場合の定款の変更/吸収合併契約の承認/新設合併契約の承認など | 定款の変更(非公開会社の株主ごとに異なる権利の内容を設ける場合) |
株主総会を開催する際に必要になる手続きとは?
株主総会を開催するにあたって、どのような手続きが必要になるのでしょうか?5つのステップに分けて詳しく見ていきましょう。
ステップ①:招集する為に必要となる書類の作成と招集事項を決定する
まず最初のステップでは、必要書類の作成や招集事項の決定をしなければなりません。株主総会を行う日程や場所を決めたり、株主総会の目的となる重要事項も事前に決めておく必要があります。
一般的に、株主総会を開催するのは事業年度末から3ヵ月以内とされていますので、早めの準備を心がけましょう。
ステップ②:株主に対して招集通知を発送する
続いては、招集通知を発送する作業となります。これは、株主総会開催日の2週間前までに、株主に対して招集通知を発送しなければなりません。
しかし、非公開会社である場合は「1週間前までに招集通知を発送する」ことになっていますので、注意が必要です。
ステップ③:株主総会を開催するための準備をする
招集通知の発送が終わったら、株主総会を開催する準備に取り掛かります。定時株主総会であれば、1年に1度の非常に重要なものとなりますので、念入りにチェックを行いミスのないよう気を付けましょう。
準備に関しては、開催当日のスケジュール管理をしたり、前年度の株主総会での課題点や改善点を洗い出す作業・開催する会場の予約や関係者全員が出席できるよう調整を行います。
ステップ④:開催当日の進行や採決など
株主総会当日は、出席者(株主)の受付から始まります。株主総会に出席できるのは、株主名簿に登録されている人に限られますので、出席権の有無についてしっかりとチェックしなければなりません。
そして、議長が司会進行を行い、決定事項について採決が行われることになります。この時、株主側から質問や意見が出ることもありますので、その都度スムーズな対応が求められるでしょう。
ステップ⑤:議事録を作成して保存する
そして最後に、議事録の作成と保存が必要です。議事録を作成することは、法律で定められています。保存期間も詳細に決められており、本店には「株主総会が行われた日から10年間」、支店には「その写しとなるものを5年間」保管しておく義務がありますのでしっかりと保存しておきましょう。
まとめ|株主総会は株式会社の最高意思決定機関!開催準備を怠らないようにしよう
今回の記事では、株主総会とは?種類や開催場所・決議事項や開催までの手順について詳しく解説してきました。株主総会は株式会社である以上、最低でも1年に1度は必ず開催しなければならない義務があり、最高意思決定機関です。
スケジュールや決議事項、株主総会の3つの種類などをしっかりと理解し、開催準備を万全に整えましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。