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自走できる組織とは?メリットや重要性・育成方法を解説!

最終更新日:2024-03-30
自走とは

最近自走できる組織というものが注目されてきています。自走の言葉自体の意味は「他の動力によらず、自身の動力で走ること」という意味です。

そしてこの自走はビジネスでもたびたび使われています。その最たるものは自走できる組織のことです。コロナや働き方改革で注目されるようになってきました。

この記事では主にその自走できる組織についてどのようなものなのか解説していきます。

自走できる組織とは

自走できる組織とは、組織のメンバーや組織自体が自らやるべき事や課題を考えて、それを自発的に実行できるような組織を指します。

従来の組織はトップダウンと言われる、上司が決めた事を指示として部下に伝達して従業員がその通りに動くというスタイルでした。これには、意思決定がスムーズで企業内において意思統一が図りやすい等のメリットがありました。

これに対して、自走が可能な組織は、上司などからの指示を待っているだけではなく、自ら課題を見つけ、考えて行動を起こし成果をあげられるような組織のことです。

例をあげると従来のやり方では効率的ではなく、ミスなども起きやすいような場合、現場で改善方法を熟考し、改善案を実行し自発的に改善する組織のことです。

このように従来のトップダウンと違い、現場の組織が課題を見つけ改善案を出し実行し成果を出していくような組織が自走可能な組織と言えます。

なぜ自走する組織が求められているのか

これまでトップダウン方式の組織が多かったのですが最近は、自走できる組織が重要視されてきています。その背景は、働き方や社会環境などが昔と大きく移り変わってきていることが大きな要因だと言えるでしょう。

働き方の多様化

新型コロナなどの影響で出社型の働き方からリモートワークの働き方が広く浸透しました。

これにより、組織のメンバーは各々のスペースで仕事することが増えていて、トップダウンのようにその場で都度指示を出す管理方法を行いにくくなってきました。そのためリモートワークなどの多様な働き方を推し進めていく場合には、自走が可能な組織の方が都合が良いと考える事が出来ます。

時代の変化スピードが速くなっている

現代は、コンピューターの高性能化やインターネットの普及、物流の効率化などにより、時代が変化するスピードがどんどん速くなってきています。

このような激動ともいえる時代の変化によって、不確実な要素が増えています。イレギュラーが多く対応にもスピード感が求められている事が多いです。

そのためどうしても組織の上で意思決定して現場に伝えるトップダウン方式では対応が遅く、またその判断も間違っている可能性もあるでしょう。

このような時代の流れの為、現場が状況に応じて臨機応変に考え行動することにより、変化の激しい現代の状況により対応しやすい事も自走が重要視されている1つの理由です。

自走できる組織のメリット

これからのビジネスは、自走が可能な組織にする事が大切だと言われています。ここでは自走できる組織のメリットを解説していきます。

管理・マネジメントの負担が減る

自走のメリット1つ目は、管理の負担が減るという点です。自走ができる組織は、現場のメンバーがそれぞれ考えて行動をします。

そのため上層部は、ある程度の方向性とどのような未来を目指しているかの共有と進捗状況の管理は必要ですが、トップダウンとは違い具体的な細かい指示などは必要なく現場レベルで解決してくれます。その結果、これまであった上層部の負担が減ります。

それにより重要と言える経営課題について時間を割けるようになるため、結果として企業の経営に非常に大きな利点があると言えるでしょう。

現場の色々な視点で課題が見つかる

自走のメリット2つ目は、色々な課題を見つけやすい事です。

トップダウンの方式では現場の細かな問題を拾って改善することは、とても難しい事ですが、自走可能な組織の場合は現場レベルで課題を考えて改善していくため細かな不満も解決していく事が出来ます。

これまでは不満があってもなかなか改善されなかったような事も裁量の範囲で改善していく事ができるでしょう。

改善して効率化したことにより更に余裕ができその他の課題にも挑戦することが出来る様になり、結果として色々な課題に取り組むことが出来る様になる事が利点です。

トラブルなど素早く対応できる

自走のメリット3つ目は、素早いトラブル対応ができる点です。

トップダウンの方法の組織では、上層部が決めた事に従って行動することが要求されます。そのため極度に指示を待ってしまう人が多くなる傾向があります。

しかし自走が可能な組織では、その場で状況判断して、どのように対応していくかを考え行動するため、多少の変化やトラブルなどに対して細かい指示が必要なく、臨機応変な対応が出来る事が利点と言えます。

リモートワークの時代に最適

自走のメリット4つ目は、リモートワークにとても向いている事です。

コロナが流行ってからリモートワークが増え、オフィスのみならず自宅やサテライトオフィスといった場所で働く企業が増加しました。

これに伴いリモートワークなどのオフィスではなく遠隔で業務を行うようになり、進捗管理や部下の管理が難しくなっていきます。そのためこれまでのトップダウンの管理型の組織だった場合、リモートワークの導入自体がとても難しいです。

自走できる組織であれば、事細かに部下に管理していく必要性がないため、リモートワークであっても管理を行う負担が少ないと言われています。

自走が出来る組織に必要なこと

自走できる組織に必要な事は大きく3つあります。それぞれ解説していきます。

理念や企業方針を共有・浸透させる

自走できる組織を作る際にまず必要な事は、企業理念や将来像を組織全体に共有し、浸透させる事が非常に大切です。

企業理念や将来像といった企業の根幹を成す方向性が正しく共有されていないと、誤った方向に組織が進んでしまうことになります。

メンバーを支援できるリーダーを育成する

これまでのトップダウン方式の組織では、上層部が意思決定をしてそれを実行できているかを確認しチェックする管理ができるリーダーが必要不可欠でした。

しかし自走できる組織は、メンバーをそれぞれを支援し、自発的な行動を促すようなリーダーが必要とされています。

それぞれに事細かに指示を行うのではなく、メンバーがそれぞれ考え自主的に発言や行動を起こすように促し、必要であれば周りと連携していく事が求められるでしょう。そのため自走が出来る組織を目指す場合には、このような支援が出来るリーダーの育成が必要と言えます。

自由な発言や行動を許容する空気を作る

自走できる組織は、メンバーが考えている事を共有し改善していかなければなりませんが、自由に発言したり改善案や思っている事を相談できる場や空気感が無いと全く意味がありません。

そのため企業の上層部は、思っている事を共有しやすく発言のしやすい環境や仕組みを作る必要性があります。

自走できる組織のリーダーに必要な要素

自走できる組織のリーダーに求められる事は概ね3つあります。ここで解説していきます。

従業員の積極性を促す

自走できる組織に必要なことは、従業員それぞれが失敗を必要以上に恐れず、挑戦したりなどの積極的な姿勢になってもらえるかどうかが大きい要素になっています。

従業員が本当に自分から取り組もうと思えるような環境や仕組みが必要です。そのためリーダーには、従業員がそれぞれ自発的に行動できるような動機付けが行えるようにサポートをしていく事が大切でしょう。

メンバーの考えを聞く

自走できる組織のメンバーが、自発的に行動し取り組んでいくようにするには、皆がリーダーや回りに相談しやすい環境を作り、そのうえで更にそれぞれの意見をしっかり聴き取って寄り添う姿勢を見せていく事が大切です。

それぞれの考えを取り入れていくことで、メンバーは自分はチームの一員だという意識が芽生え、自発的に思考をする事が増えていきます。

内発的な動機づけ行う

これまでのトップダウン方式で上層部からの指示に従ってもらうような管理の体制から、自発的に考え行動する方法に変革していくためには、メンバーが自ら取り組もうと考えられるような要素や要因が必要となります。

そのため組織が自走できるように変化させるには、リーダーがメンバーが行動するための内発的な動機を発見できるようにサポートしていく必要があるでしょう。

自走できる組織を作るための方法

自走できる組織を作るために行える方法を3つ解説していきます。

それぞれテーマごとにリーダーを決める

メンバーの内発的な行動やリーダーシップを引き出すために、それぞれの得意なジャンルでリーダーを任せてみる方法が有効です。

同じ人が続けてリーダーをやっていては、次の新しいリーダーは育てられませんが、各々が得意な分野などのリーダーを任せて、経験を通じて成長してもらうと良いでしょう。

研修の実施や自己啓発の機会を整える

自走できる組織のリーダーは、自らが仕事や課題に対して積極的取り組むことを促進して、また新たな事に怯えずに挑戦するように伝えていきます。

また、それぞれが興味のある分野のスキルを高めて、知識をどんどん増やして身につけたい知識または技術をいつでもインプットが可能な環境を作ることが大切です。

自走型組織に役立つツールの導入

これまでトップダウンでやってきた組織の場合、組織の改革はそんなにすぐ行えるものではありません。管理する側の理解または不安などの払拭ができていて、さらに自走を受け入れていけるような空気感や風土を作っていく必要があります。

そのような自走できる組織の下地を作るための手がかりとして、業務管理支援ツールや、それぞれの知識を集めていくナレッジマネジメントツールのようなツールの導入も自走可能な組織を目指すのに必要でしょう。

まとめ│働き方改革で自走できる組織が注目されている

この記事では自走できる組織について解説してきました。近年のコロナや働き方改革によりテレワークが増えていて、その様な環境では従来のトップダウン方式では管理が難しい状況になってきました。

もちろんテレワークのみだけではなく自走できる組織は、それぞれが考えて目的を達成するため、進捗管理などは必要なものの、事細かな指示は必要ありません。

そうなれば管理やマネジメントなどの負担が軽減され、上層部は経営そのものに専念できるようになる事が一番の大きな利点です。

そのような自走できる組織を目指すには、企業理念やビジョンを共有して皆が組織の一員としての自覚を持ってもらう必要があります。

そのためには、最初に上層部側も、意見を発言しやすい空気感や意見を取り入れて実際に組織の一員と実感してもらうことにより更に発言が増えチームで改善が進んでいく好循環に進んでいく事ができます。

組織のありかたを変える事は容易なことではありませんが、自走ができれば、様々な人が意見を出し改善を行っていく事ができるようになります。

そうして組織が同じ方向を向いて改善を行っていけば、上層部が思い描いた以上の成果を生むかもしれません。

監修者情報

板井 理
板井 理

2018年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後3年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、2023年に共同代表である笹本 拓実と株式会社PASONを設立。代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。