領収書の正しい保管期間は?法人・個人事業主の違いや紛失時のリスクを解説!
最終更新日:2024-02-05法人はもちろん、個人事業主においても「領収書」の保管は非常に重要です。「何年間保管しておけば良いのか?」「個人事業主と法人では、保管期間に違いはあるのだろうか?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
近年では、紙の領収書だけではなく電子領収書も普及してきたため、より一層保管の仕方や期間について悩んでしまうかもしれません。
また、保管期間については、いつから対象となるのかも理解しておく必要があります。
そこで今回の記事では、法人・個人事業主それぞれの領収書の保管期間や電子領収書の対応、保管期間を守らないとどのようなリスクがあるのかについて詳しく解説していきます。
領収書の保管についてお悩みの方の参考になると幸いです。
目次
領収書の保管期間は?
領収書は何故保管しなければならないのか?これは、法律によって義務化されているためです。しっかり保管しておくことで、経費を正確に申告しているという証明となります。
それでは、法人の場合・個人事業主の場合それぞれの領収書の保管期間について確認していきましょう。
法人の場合
法人の場合は、領収書を7年〜10年保管することになっています。これは「法人税法」によって定められているものです。ここで気になるのが「7年なのか、10年なのか」という点。
多くの企業では、7年間保管しておくのが一般的です。領収書だけでなく、賃借対照表や請求書・現金出納帳なども同じ期間保管しておかなければなりません。
「保管期間」については、領収書を受け取った当日から数えるわけではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限翌日から数えることがポイントです。
また、企業によっては10年間の保管義務があるケースもあります。これは、欠損金の繰越控除を行う場合です。決算が赤字だったときに、10年間保管しておく必要があるので注意しましょう。
個人事業主の場合
それでは、個人事業主の場合の保管期間について確認していきましょう。個人事業主は、法人とは違い「所得税法」によって領収書の保管期間が定められています。また、申告を行う種類によっても異なるため気をつけなければなりません。
まず、白色申告の場合は、原則として5年間の保管が義務付けられています。所得の額に関わらず、白色申告を行った全ての人が対象です。2013年までは、所得が「300万円以下」の場合には領収書を保管しておく必要はありませんでしたが、現在は300万円以下でも義務化されましたので、注意しましょう。
続いて、青色申告の場合について説明します。青色申告を行った人は、原則として7年間、領収書を保存しておかなければなりません。ただし、例外もあります。前々度の所得が「300万円以下」だったときには、保管期間が5年間です。法人の場合で紹介したように「確定申告提出期限」の翌日から数えてください。
領収書を保管しなかった場合に起こり得るリスク
万が一、領収書を紛失してしまったり期限前に処分してしまうと、どのようなリスクが起こり得るのでしょうか。大きく分けると3つのリスクがあります。
- 消費税額が控除されない
- 青色申告が取り消される
- 追徴課税や罰金に発展するケースもある
順番に確認していきましょう。
消費税額が控除されない
領収書の保管がしっかりできなかった場合に起こり得るリスクの1つ目は、消費税額が控除されないことです。これは、売上が「1,000万円以上」ある法人や個人事業主に当てはまります。1,000万円以上の売上があるときには、消費税の納税義務が発生することとなるのです。
この時、仕入に充てた消費税分を差し引いて計算することができます。ただし、消費税分を差し引くためには、領収書はもちろんその他の関係書類も必要です。領収書がない場合には、控除の対象とならないので注意しましょう。
青色申告が取り消される
リスクの2つ目は、青色申告が取り消されることです。個人事業主で、青色申告を行っている人は気をつけなければなりません。領収書がしっかり揃っていなければ白色申告となってしまい、今まで対象だった控除が受けられなくなったりするなどの不利益が起こります。また、経費の取扱いが変更されるなどの問題も起こるため、大きなリスクとなることは間違いありません。
追徴課税や罰金に発展するケースもある
リスクの3つ目は、追徴課税や罰金などに発展してしまう可能性もあることです。領収書を保存していなければ、計上された経費の証明ができなくなります。税務調査によって、過去7年間の記録を調べることができるので、いざ税務調査が入ったときのためにしっかり証明できる状態にしておくことが大切です。
もし領収書が足りなければ、足りない領収書分に係る追徴課税が発生する恐れもあります。また法人の場合には、会社法で定められている規則に違反したことで、100万円以下の過料が発生しますので注意しましょう。
領収書を効果的に保管する方法とは?
法律で定められた期間、領収書を保管しておく重要性はわかりましたが、実際どのような方法で保管するのが最適なのでしょうか。これはそれぞれの会社・個人事業主によって異なりますので、自分に合った方法で、わかりやすく保管しておくようにしましょう。
- その都度ノートに貼り付けておく
- 封筒に入れて保管する
- ファイルにまとめて保管する
- 電子データとして保管する
ひとつずつ解説していきます。
ノートに貼り付けて保管する方法
1つ目の方法は、領収書専用のノートを作り、日付ごとに領収書を貼っていく方法です。昔ながらのやり方ですが、ページに日付を記入しておくことで「いつ、どのような支出があったのか」が一目でわかります。糊づけを徹底することで紛失してしまうリスクもなくなり、後から見返したときにも、すぐに目的の領収書を見つけられるのがメリットです。ノートなので、備考欄などを用いて、メモしておける点も優れています。
封筒に入れて保管する
封筒にまとめて保管しておく方法を採用している会社もあります。領収書が少ない場合には、手間や時間もかからないためおすすめです。
しかし、後から確認したいときに、目的の領収書を探すのに苦労する可能性もあります。また、何度も出し入れしているうちに、紛失する恐れもあるので気をつけなければなりません。少なくとも「月ごと」にまとめたり、ホチキスで留めておくなどの対策は欠かせないでしょう。
ファイルにまとめて保管する
3つ目の方法は、ファイルにまとめて保管しておく方法です。クリアファイルなどで、項目ごとに付箋などで仕分けておけば、必要な領収書をすぐに探し出すこともできます。穴あけ不要で、スライドタイプのものもありますので、手軽で手間もかかりません。クリアファイルなら、中身の確認もしやすいので、出し入れする必要もない点がメリットです。
電子データとして保存
最後は、電子データとして保存する方法です。2022年の1月1日に施行された「改正電子帳簿保存法」によって、電子データで作成された受領書に関しては電子保存が義務化されました。
電子取引が一切ない会社は対象外となりますが、今では電子取引が全くないという会社は、非常に少ないはずです。いざという時のために、電子データとして保存できる仕組みを準備しておく必要があります。
大きなメリットは、電子データとして保管することで、紛失リスクをゼロにすることが可能です。また、保管する場所も必要ありません。紙の領収書などを、電子保存するかどうかは任意となりますが、電子データで保存しているものがある企業においては統一した方が管理しやすいでしょう。
保存期間が終了した領収書はどう処分する?
保管期間が終了した書類や領収書を、安易に「燃えるゴミ」として捨てるのは危険です。重要な情報が外部に漏れてしまう可能性もゼロではありませんので、注意しましょう。
処分方法は「シュレッダー」を使用するか「書類廃棄サービス」を活用するのがおすすめです。シュレッダーで内容がわからなくなれば問題ありませんが、目の粗いものの場合、読み取れてしまうこともあります。
書類廃棄サービスは、書類を引き取って、薬で溶かすサービスです。金額もリーズナブルで、安全性も高いため、重要な書類を処分する方法に適しています。
まとめ|領収書の保管期間を守ってリスクを回避しよう
今回の記事では、法人・個人事業主それぞれの領収書の保管期間や保管方法、保管しなかった場合に起こり得るリスクなどについて解説してきました。領収書は、法人の場合「7年〜10年」個人事業主の場合は「5年〜7年」という長期間にわたって保管しておく必要がありましたね。
万が一、紛失してしまったときには、消費税額が控除されなかったり追徴課税が課せられるなどのリスクも。自社に合った保管方法で、しっかりと管理することが大切です。
電子帳簿保存法やインボイス制度などによって、目まぐるしく変化することになりますが、常に最新の情報を取り入れて対応していきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。