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会社買収の意味とは?種類や目的・メリットやデメリットについて解説!

最終更新日:2024-03-09
会社 買収

近年、日本国内において、上場されていない中小企業の買収が目立ってきています。さまざまな理由が存在していますが、中でも大きな要因として挙げられるのが「経営者の高齢化」「後継者不足」です。

また、大企業同士の買収なども話題になるなど、事業拡大の戦略としても取り入れられています。

今後「買収する側」「買収される側」どちらかに直面する経営者も少なくないはずです。

会社買収とは、他の会社の株式の過半数を取得し、その会社の経営権を握ることを指しています。M&Aや合併とはどのような違いがあるのでしょうか。

そこで本記事では、会社買収の意味やM&A・合併との違い、メリットやデメリットなどについて詳しく解説していきます。

会社買収の意味とは?

会社買収とは「企業買収」とも呼ばれており、対象会社の株式の過半数を買い取ることです。株式の過半数を取得すると、買収対象会社の経営権を握ることになります。

買収された側の会社(企業)は、買収した側のグループ会社の傘下に入ったり、子会社化したりするのが一般的です。

会社買収とM&Aとの違いとは?

会社買収とM&Aとの違いは、どのようなところにあるのでしょうか。

まず、M&Aは「Mergers & Acquisitions」の頭文字を取ったものであり「合併と買収」という意味になります。

「合併」と「買収」それぞれの意味を含んだ言葉であるため、会社買収よりも広い範囲で使われる言葉です。

また、合併とは2つ以上の会社(企業)を1つにまとめる(統合する)こととなるので、譲渡した側の会社は消滅することになります。

その一方で買収とは、対象となる企業の株式の過半数を買い取り、経営権が買収した企業に変わることです。したがって、株式を買い取られた企業もなくなることはなく、グループ傘下や子会社として経営を続けていくことになります。

このことからも、会社買収は「M&Aの一部」であることがわかるでしょう。

会社買収の目的とは?

近年、増加傾向にある会社買収ですが、その目的にはどのようなものがあるのでしょうか。

それぞれの企業によって、その目的は異なりますが、大きく分けると下記の4つが挙げられます。

  • 効率的に会社の経営強化を実現する
  • シェアを拡大する
  • 事業を多角化することでリスクを分散する
  • 人材・ノウハウ・資源の獲得をする

ひとつずつ確認していきましょう。

効率的に会社の経営強化を実現する

目的の1つ目は、効率良く会社の経営強化につなげられる点です。

企業の拡大・成長には、多くの時間やコスト・労力が必要となります。

しかし、買収を行うことによって、効率的に経営の強化を実現することができるのです。今まで弱かった分野を強化することができたり、新たに参入したいと思っている市場の開拓にもつながります。

自社だけで取り組むと、多くの時間とコストが必要となりますが、買収することによってスムーズに経営拡大・強化をすることが可能です。

シェアを拡大する

目的の2つ目は、シェアを拡大することです。シェアを広げていくことも、自社の力だけでは限界があり、長い時間とコストがかかります。

しかし、会社買収によって、市場のシェアを一気に拡大することができるのです。

例えば、自社のグループ会社は「関東・関西」に集中していたとします。しかし、買収した企業は「北海道・東北」に支店や営業所がある場合、地方における市場シェアを一気に拡大することができるのです。

これによって、業界内での地位を確立することができ、競争力を強化することができるでしょう。

事業を多角化することでリスクを分散する

目的の3つ目は、事業の多角化を図り、リスク分散へとつなげることです。

会社買収は、シナジー効果を得るために、既存の事業と関連性の高い企業を買収することが多いと思われがちですが全く違うケースもあります。

それが、自社で行っている業種・業界とは違う分野の企業を買収し、今まで未開拓であった新規分野に参入することです。

事業の多角化を図り、ひとつの事業で収益が不安定になった場合でも、他の事業でしっかりと利益を獲得し業績の安定化を実現できます。

また、新たな分野に新規参入しようと検討した場合、ゼロから始めると莫大な時間と費用がかかることは避けられません。

その点、会社買収で希望の事業を行っている企業を買い取ることができれば、リスク分散と同時に時間や費用も節約することができるのです。

人材・ノウハウ・資源を獲得する

会社買収の目的の4つ目は、人材やノウハウ・資源を獲得することです。

買収先の企業が持っている人材やノウハウ・資源を獲得することは企業買収の大きな目的と言えるでしょう。

会社を成長・拡大していくためには、新しいサービスや商品が必要となります。自社にはない独自のノウハウや技術・資源を持っている企業を買収できれば、会社の成長に大きな効果をもたらすことが可能です。

また、優秀な人材の獲得は非常に難しく、時間やコストもかかります。会社買収によって、ノウハウや資源だけではなく、スキルのある人材を獲得することも目的のひとつと言えるでしょう。

会社(企業)買収の種類とは?

会社買収には2つの種類に分けることができます。

  • 友好的買収
  • 敵対的買収

それぞれの違いについて確認していきましょう。

友好的買収

友好的買収とは、買収を行う側の企業と買収される側の企業の経営陣がお互いに納得し、合意がある状態で行われることです。この場合、株式譲渡や事業譲渡などの方法を使って買収が進められることとなります。

上場していない会社の買収では、友好的買収であるケースが大半です。理由は、買収される側の企業の株式を取得するためには、株主の同意が必要不可欠のため。

友好的買収は、双方の企業が協力的に進めていくことが可能となります。国内で実施されている会社買収の多くが「友好的買収」となっているのが現状です。

敵対的買収

敵対的買収とは、買収される側の会社の同意を得ることなく、買収が行われていくケースです。敵対的買収が行われるのは、一般的に「上場企業」への買収の際に実行されます。

その方法は「TOB(株式公開買付)」であることが多く、日本国内においても、その件数は増加の一途を辿っています。TOB(株式公開買付)についての詳細は、TOB(株式公開買付け)とは?ルールやメリット・デメリットなどを解説!の記事で詳しく解説しておりますので、チェックしてみてください。

会社買収のメリット

会社買収におけるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここからは、買収を行った際に得られるメリットを解説していきます。

メリットは大きく分けて、下記の3つです。

  • コストの削減につながる
  • シナジー効果が生まれやすい
  • 取引先や顧客の獲得ができる

ひとつずつ見ていきましょう。

コスト削減につながる

ひとつ目のメリットは、コストの削減につながることです。会社買収を行うことによって、事業の規模が拡大することとなり、それまでよりも大量の材料を発注することになるケースもあります。

大量に発注することで、一つあたりの原価を抑えることとなるのです。

また、自社で新規事業の検討や企業規模を拡大しようとしていた際には、その設備や準備などに多大なコストがかかります。

しかし、会社買収によって、その設備や施設などを獲得できれば大きなコスト削減につながるのです。

赤字経営の企業を買収したときに限り、その企業の経営状況を黒字にできれば「法人税」を節税することもできます。

会社を経営していく上で、税金にかかる費用は大きくなりますので、法人税を節税できればコストの削減に貢献することになるでしょう。

シナジー効果が生まれやすい

メリットの2つ目は、シナジー効果が生まれやすいことです。今までは未開拓だった新規分野や事業に着手することで、シナジー効果が生まれることも多くなります。

シナジー効果は、会社を買収したからといって、必ず発揮されるものではありません。自社企業と相性の良い相手探しが大切です。

シナジー効果が実現できれば、売上の向上や業界内での地位の確立にもつながります。

取引先や顧客を獲得できる

メリットの3つ目は、取引先や顧客を獲得できる点です。新しい取引先や顧客の獲得は、非常に手間と時間が必要になります。

しかし、対象の企業を買収することによって、その企業の顧客と取引先も一気に獲得できることになるのです。

本来であれば、何年もかかるであろう新規顧客や取引先が、僅かな時間で手に入ることは大きなメリットと言えるでしょう。

会社買収のデメリット

会社買収には、さまざまなメリットがありますが、デメリットはあるのでしょうか。

会社を買収した際に起こり得るデメリットは次の通りです。

  • 優秀な人材が離れてしまう可能性もある
  • 手続きが煩雑で時間と手間がかかる
  • 簿外債務があるケースもある

順番に確認していきましょう。

優秀な人材が離れてしまう可能性もある

会社買収によって、優秀な人材が会社を離れてしまう場合もあります。これは、既存の従業員だけに限らず、買収した企業に在籍していた従業員にも言えることです。

別々の企業がひとつになることで、環境の変化やルールの変更・新たな人間関係など、従業員にとってストレスになるケースも少なくありません。

経営陣同士の同意があったとしても、従業員の中には、買収に賛成できないと考えている場合もあります。

買収後に、多くの従業員が離職してしまうことも。優秀な人材が離れてしまえば、会社にとって大きな損失になります。

そういった問題に直面しないよう、買収する側・される側の企業どちらとも、従業員との話し合いが必要になるでしょう。

手続きが煩雑で時間と手間がかかる

デメリットの2つ目は、会社買収の手続きが非常に煩雑で、時間と手間がかかることです。通常の業務にも支障をきたす恐れもあります。

特に買収する側の企業は、さまざまな手続きに追われ、経営がストップしてしまう可能性も。

業務に影響を出さないためにも、専門家へ依頼することがおすすめです。

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簿外債務があるケースも

デメリットの3つ目は、簿外債務があるケースも考えられることです。簿外債務とは、賃借対照表には記載されていない債務のことで、残業代の未払いや支払われていない退職金などを表します。

買収後に簿外債務が発覚した際には、想定外の負債を負う可能性も考えられますので、DD(デューデリジェンス)を念入りに行う必要性があるでしょう。

DDについての詳細は、DD(デューデリジェンス)とは?意味や種類、実施するタイミングについて解説の記事で詳しく解説しています。

まとめ|会社買収はメリットが多いが手続きが複雑!専門家への依頼を検討しよう

本記事では、会社買収とはどのようなものなのか、種類や目的・メリットやデメリットなどについて詳しく解説してきました。会社買収とは、対象企業の株式の過半数以上を買い取り、その会社の経営権を握ることです。買収された会社は、グループ傘下に入ったり、子会社化することになります。

会社を買収する目的は、企業によってさまざまですが、それぞれ多くのメリットがあることがわかりましたね。

効率的に事業を拡大・成長させることができたり、リスクの分散やコストの削減にもつながります。また、赤字の会社を買収して黒字に転換できた場合には、法人税を節約することも可能です。

その一方で、手続きが複雑で多くの時間と手間がかかる点や優秀な従業員が離れてしまう恐れもあるというデメリットも。

会社買収を検討した際には、専門家に依頼して、スムーズに進めることがおすすめです。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

監修者情報

板井 理
板井 理

2018年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後3年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、2023年に共同代表である笹本 拓実と株式会社PASONを設立。代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。