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実査の意味とは?監査との違いや目的・メリットや注意点を徹底解説!

最終更新日:2024-03-30
実査とは

M&Aを検討した際にも重要になる実査。買収予定である企業の価値を、正確に判断するために欠かすことはできません。実査とは税務調査のひとつであり、行われる時期や手続きの流れなども定められています。

「監査と実査に違いはあるの?」「実査が行われる際の注意点やポイントが知りたい」とお考えの方も多いはずです。なんとなく理解はしていても、細かい内容までは掴めていないかもしれません。

そこで今回の記事では、実査とはどのようなものなのか?目的や流れ・メリットや気をつけるべきポイントなどについて詳しく解説していきます。

実査について深く理解できる内容となっておりますので、ぜひ最後までお読みください。

実査とは?

実査とは、会社内の現物資産の数を実際に目で見て確かめるものであり、監査手続きのひとつとなっています。資産が本当に実在しているのかどうかについて、公認会計士などの監査人が調査するのです。

監査人が現物資産を確かめることによって、内部統制における信頼度が向上します。内部統制に関しては、内部統制の意味とは?4つの目的や6つの要素・5つのメリットについて詳しく解説!の記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

近年では、株券や書類などの電子化やキャッシュレス化・受取手形で取引を行う会社の減少などから、実査の必要性が年々低下してきています。

しかし現在もなお、古くからの経営方針を続けている企業や金融機関などにおいては、受取手形や現金を保有しているケースも。

実査が行われる時期も決まっており、原則「期末日および期末日の直後」とされています。

例えば9月が決算の企業であれば、9月30日の営業が終わった後、または10月1日の営業開始と同時に行われるのが一般的です。これは、現金が動いてしまい、正確な数字が出せなくなってしまうことを防ぐため。

期末日の残高と一致しているか調べるためには、実査を行う時間帯なども重要になるのです。

また、実査と監査の違いについては、以下の通りになります。

  • 実査:監査人が会社の現物資産を目で見て確かめること
  • 監査:法律や会社のルールに則った経営を行っているのか確かめること

このように、監査の場合は「会社が健全な経営を行っているのかどうか」を確認するものとなっているのが特徴です。

非常に似た意味を持っている言葉になりますが、実際の資産の数を確かめるのが「実査」であり、数字を確認して確かめるものが「監査」になることが違いと言えるでしょう。また「監査」といってもさまざまな種類があり「会計監査」「業務監査」「内部監査」「外部監査」などに分けられています。

実査の目的とは?

実査が行われる目的は、大きく分けると3つあります。

  • M&Aにおいて対象となる企業の価値を判断する材料となる
  • 内部統制を再確認することができる
  • 経営状況を明確にし、意図的な改ざん・隠蔽を防ぐ

ひとつずつ確認していきましょう。

M&Aで対象となる企業の価値を正確に判断できる

実査が行われる目的の1つ目は、M&Aにおいて対象となる企業の価値を正確に判断することに繋がる点です。買い手側の企業は、売り手側の企業が本当に買収する価値があるかを「数字」で調査することができます。

実査の結果に基づいて、M&Aの金額を決めることも珍しくありません。売り手側の企業の現状を把握するにあたり、強い証拠となるのが監査人における実査となります。

内部統制を再確認することができる

目的の2つ目は、内部統制の再確認につながる点です。内部統制とは、企業が事業活動を効率的且つ健全に運営するという目的で作られた「社内ルール」または「仕組み」のこと。

M&A において、買い手側の企業の「資産管理方法」が適切かどうかを確認することができます。実査の目的は、M&Aと深く関わってくる「帳簿の上での数字」が正確かどうかを確かめるだけでなく、資産の管理がしっかり行われているのかを確認する場でもあるのです。

経営状況を明確にし意図的な改ざん・隠蔽を防ぐ

3つ目の目的は、経営状況を明確にすることによって、意図的に行われる可能性のある改ざんや隠ぺいを防ぐことです。

実査が行われるのは、上記でも解説しましたが、原則「期末日および期末日の直後」となります。現金実査においては、この期末日に「貸借対照表」と実際の現金が一致しているかどうかを確認することが目的です。

故意に改ざんしていない場合でも、本来計上する予定のものを計上し忘れていたり、二重に計上してしまっている可能性もゼロではありません。

資産額にズレが生じていた場合には、M&Aが白紙になってしまう恐れも。実査には、経営状況を明確にする目的もあると言えるでしょう。

実査の流れ

続いては、実際に実査が行われることになった際の流れについて確認していきます。具体的にどのようなことが流れで進められていくのかについて見ていきましょう。

  1. 実査の対象となる資産を予め聞いておく
  2. 当日、公認会計士などの監査人に必要な書類(資料)を提出する
  3. 講評

順番に解説していきます。

実査の対象となる資産を予め聞いておく

まずは、スムーズに実査が行われる準備を整えておくために「実査の対象物」について確認しておきます。

実査は、監査人と企業とがうまく連携を取らなければ円滑に進めることができません。何日にも分けて行われる作業ではなく、業務終了後や期末日翌日の営業と同時に行われるものです。事前準備をしっかり行うことで、監査人もスムーズに作業を進めることができます。

ただし対象企業に、何らかの問題点があった場合には、予告なく実査が行われるケースも少なくありません。その際は、事前準備ができませんので、監査人の指示に従うようにしましょう。

当日は監査人に必要な資料を提出する

公認会計士などの監査人が到着後には、必要資料を提出することになります。ここでの必要資料とは一般的に「現金内訳表」や「現金補助元帳」などです。その他、対象になる資産である「現金」「株券」「受取手形」「通帳」を提出します。

この時、金庫の鍵を保管している人は誰なのか?また一時的な預かり資産などについても確認されることになります。

ここで、監査人が一つひとつズレがないか確認していくのですが、必ず企業の担当者が同席することが義務付けられていますので注意しましょう。

講評

全ての確認作業が完了した後は、監査人から「講評」をいただきます。万が一、管理状況に不備があった場合や、現金のズレなどが生じていた際には「調書」に記載されることとなるのです。

実査を行うメリット

電子化が進み、影が薄くなった印象のある実査ですが、大きなメリットもあります。実査を行うメリットは大きく分けて3つです。

  • 内部統制を正しく把握することができる
  • 企業の資産を証明することができる
  • M&Aの失敗を未然に防ぐことができる

順番に確認していきましょう。

内部統制を正しく把握することができる

実査を行うメリットの1つ目は、内部統制を正確に把握することができる点です。内部統制は、企業が健全で効率的な運営を行うためのルールや仕組みのこと。会社内であっても、正確な把握は難しいものですので、外部の企業からは実態が見えないのが一般的です。

しかしM&Aにおいて、売り手側の企業の内部統制を知っておくことは必須となります。実査を行うことにより、売り手側の内部統制を把握してもらうことで、M&Aをスムーズに進められるでしょう。

企業の資産を証明することができる

メリット2つ目は、企業の資産を証明することができる点です。実査を行って、その結果を公的な場で公表することができれば、M&Aで買い手側の企業が調査する費用や手間も省けます。

実査は、非常に信頼度の高い証明となりますので、M&Aを行う際には必要不可欠な存在となっているのです。

M&Aの失敗を未然に防ぐことができる

メリットの3つ目は、M&Aの失敗を未然に防ぐことができる点です。M&Aで失敗してしまうケースの多くは「予想していた結果に繋がらなかった」というもの。これは主に、事前調査が足りていなかったことが原因です。

「思っていたシナジー効果が得られなかった」「税務の面で大きな問題があることに気づかなかった」など、綿密な調査をしていれば防ぐことができたはずです。

しかし実査を行った企業であれば、正確な資産状況を把握することができますし、売り手側の企業との間に整合性があるかどうかを確認することができます。

実査を行う際に気をつけるべき注意点

最後に、実査を行う際に気をつけるべきポイントについて見ていきましょう。注意したいポイントは、大きく分けて3つです。

  • 帳簿に記載された残高と実際の現金が一致しているかどうかの確認
  • 現物台帳を準備しておく
  • 実査が行われることの周知

順番に解説していきます。

帳簿と現金が一致しているか確認する

気をつけるべき注意点1つ目は、帳簿に記載された残高と現金が一致しているかどうかの確認です。

ここで一円でも差が出てしまうと、実査の調書に記載されてしまうだけでなく、大きな問題へと発展する可能性もあります。現金のズレは「小さな金額だから大丈夫」というものではありません。

金額の大小に関わらず「合っていない」ことが問題視されます。実査が行われる前に記入漏れがないかを確認し、万が一合わない場合には直ちに原因を突き止め、説明や証明ができるようにしましょう。

現物台帳を準備しておく

気をつけるべき注意点2つ目は、現物台帳を準備しておくことです。

固定資産台帳では、実査に必要となる内容(資料)が不十分となります。固定資産台帳に書かれているのは「減価償却の計算」や「固定資産税の算出を目的とした管理表」です。

一方で現物台帳には「実物資産の保管場所」や「現状を把握できる管理表」が記載されています。

実査が行われることの周知

気をつけるべき注意点3つ目は、実査が行われることの周知です。

日時や時間帯を把握できていなければ、いざ実査が始まったときに「通帳が手元にない」「現金が動いてしまった」などのトラブルに繋がる可能性もあります。

必要となる対象物がなければ、実査を進めることはできません。また、期末日の帳簿残高と実際の現金が一致しているかどうかを確認しなければならない際に、売上などによって現金が動いてしまっては大変です。

経理部はもちろん、社内全体で実査が行われる事実を把握しておくと、スムーズに進めることができるでしょう。

まとめ|実査は現物資産を明確に証明できる!M&Aにおいても重要

今回の記事では、実査とはどういうものなのか?監査との違いや目的・流れ、メリットや注意するポイントについて詳しく解説してきました。電子化が進む現代、実物資産を数える実査の存在は薄くなってきていますが、メリットもたくさんあります。

内部統制を強化することはもちろん、企業の資産を証明する際に、非常に信頼度の高いものであることもわかりました。M&Aを検討している場合に、欠かせないものであることも理解できたと思います。

PASONでは、M&Aのマッチングプラットフォームを展開しています。「会社を売りたい」「事業を買取りたい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。一人ひとりに寄り添った、丁寧なサービスをお約束します。業界最低水準の料金設定で、成功報酬なども一切ありません。気になった方は、問い合わせページよりご連絡ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

監修者情報

板井 理
板井 理

2018年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後3年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、2023年に共同代表である笹本 拓実と株式会社PASONを設立。代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。