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個人M&Aとは?メリット・デメリットや成功させるコツを徹底解説!

最終更新日:2024-03-30
個人M&A

個人M&Aとは?メリット・デメリットや成功させるコツを徹底解説!

近年「個人M&A」が増えてきています。これは「会社を買いたい人」と「会社を売りたい人」が、気軽にインターネットでマッチングできるようになったことが主な原因です。M&Aは、大手の企業間で行われるのが一般的でしたが、最近では個人でのM&Aも珍しくありません。

「個人でM&Aを利用するのは難しすぎるのでは?」「法律や税金などの専門知識がなくても利用できるものなのか?」と疑問に思う方も多いはずです。しかし現在、大々的なM&Aだけでなく、小規模なM&Aサービスも多くなりました。個人でもM&Aを利用しやすい環境が整っているのです。

そこで今回の記事では、個人M&Aとは?メリット・デメリットや個人M&Aでの失敗例などについて詳しく解説していきます。個人M&Aを利用しようと考えている方に役立つ情報となっていますので、最後までお読みください。

個人M&Aとは?

個人M&Aとは、企業による大規模な買収とは違い、100万円前後の資金でも買収できる小規模なM&Aのことです。個人が買い手になりますので、その多くは数十万円から数百万円で買収可能となります。

企業による大規模なM&Aに比べて小規模なことから、別名「スモールM&A」と呼ばれたり「マイクロM&A」と言われることも。定年退職後に退職金で個人M&Aを利用する人や、サラリーマンの副業としても人気を集めています。

個人M&Aが増えている理由とは?

個人M&Aが増えている理由には、どのような背景があるのでしょうか?その最大の理由に「高齢化問題」が挙げられます。年齢を重ねて、経営が難しくなった高齢者が、会社を手放す選択をしている背景があるのです。

以前は、後継者として、自らの子供や親族に託すことが主流でした。しかし、今では事業を引き継ぐことを辞退することが多くなっています。これには、少子化問題や価値観の相違などが挙げられるでしょう。

「大事に守ってきた会社を、誰かに引き継いでもらいたい」という思いから、事業を売却するケースが増えています。

個人M&Aが増えている理由の2つ目は、個人M&Aのマッチングサイトが増えたことです。以前は、企業同士の大規模なM&Aが主流でしたが、現在は小規模な案件が増加の一途を辿っています。

これによって、個人でも手軽で簡単にM&Aを利用できるようになりました。マッチングサイトは、手数料も比較的安く、100万円以下の案件もあります。サラリーマンの副業や、退職後の収入源として、個人M&Aを利用する人が増加しているのです。

個人M&Aの5つのメリットとは?

少ない資金で手軽に「個人M&A」を行うことができるようになりましたが、しっかりとメリットを理解してから実行に移したいものです。個人M&Aを行う際のメリットは、大きく分けて次の5つになります。

  • ゼロから事業を始めるより、コストを大幅に抑えられる
  • 経営方針や見通しを立てるのがスムーズ
  • 将来、事業を売却する際に、利益を得る可能性がある
  • 従業員や取引先・顧客など、そのまま引き継げるので手間がかからない
  • 役員報酬を得られることも

それでは順番に確認していきましょう。

個人M&Aのメリット①:コストを抑えることができる

個人M&Aのメリット1つ目は、ゼロから事業を始めるよりも、大幅にコストを抑えることができる点です。一般的に、事業をスタートさせようと思ったときには、土地を確保したり設備を整えたりなどの費用がかかります。例えば、ゼロから飲食店を立ち上げようと考えた場合、内装工事や厨房設備などさまざまな費用が必要です。

しかし、個人M&Aでは、それらの設備が全て揃った状態で事業を始めることができます。初期費用を大幅に抑えることができるのは、大きなメリットと言えるでしょう。

個人M&Aのメリット②:経営方針や見通しを立てるのがスムーズ

個人M&Aのメリット2つ目は、既に事業が行われている企業を買収するので、経営方針が定まっており今後の見通しが立てやすくスムーズである点です。売上の状況や問題点・改善点なども、買収する時点である程度把握できます。ゼロから事業を始めるよりも、見通しが立てやすいため、目標設定や改善していくポイントも決めやすいでしょう。

個人M&Aのメリット③:売却時に利益を得られる可能性がある

個人M&Aで、比較的少額の資金で買収できた事業を成功させることができれば、売却時に大きな利益を生む可能性があります。買収時、経営がうまくいっていない小規模な企業であれば、安く買うことができるでしょう。その企業をうまく立て直し、事業を軌道に乗せることができれば、売却する際に高く売ることができます。初期投資を最小限に抑えた上で、経営状況を回復させ、購入時より高く売却するなどの選択も自由。これも個人M&Aの魅力のひとつです。

個人M&Aのメリット④:従業員や取引先などを引き継ぐことができる

事業を新しくスタートさせるときには、人材の確保や取引先の新規開拓など、さまざまな課題が立ちはだかるものです。しかし、個人M&Aでは、従業員や取引先なども、そのまま引き継ぐことができます。

これは、事業を立ち上げるときにかかる時間や事前の準備を、大きく短縮できるメリットにも繋がるでしょう。

個人M&Aのメリット⑤:役員報酬を得られる

元々、業績の良い企業を買収した場合や買収後に大きな成果を遂げた場合などには、役員報酬を得ることができるのも大きなメリットです。もちろん、自分自身の会社となりますので、役員報酬は自分で決めることができます。

ただし、業績が悪かったり赤字続きの場合はそうはいきません。今まで培ってきたスキルや経験を活かして、会社を軌道に乗せることができるよう手腕を発揮しましょう。

個人M&Aの4つのデメリットとは?

個人M&Aには、覚えておきたいデメリットもあります。

  • 従業員や取引先に受け入れてもらえない可能性もある
  • 想定していたような経営ができないことも
  • 少額で買収できる案件ほど、利益が少ない傾向がある
  • 債務を引き継ぐ可能性がある

それでは一つずつ確認していきましょう。

個人M&Aのデメリット①:従業員や取引先に受け入れてもらえない

個人M&Aを行う上でのデメリット1つ目は、従業員や取引先に受け入れてもらえない可能性がある点です。経営者が変わることで、従業員や取引先から不満の声が上がることも少なくありません。

事業をそのまま引き継ぐとは言っても、やはり経営方針やルールなどは多少なりとも変わるでしょう。長年働いてきた従業員は「やりにくい」と反発することも。また、経営者の交代に、不安を抱く取引先も多いかもしれません。

優秀な人材や取引先が離れてしまわないよう、従業員や取引先への配慮を忘れないことや、事前に今後の経営方針を理解してもらうなどの対策が重要です。

個人M&Aのデメリット②:想定していた経営ができない

個人M&Aで企業の買収に成功した際に、今後の事業計画や経営の見通しを立てるのが一般的です。しかし、いざ経営にタッチしてみると、思うように進まないことも珍しくありません。

「自身の経験を存分に活かせると思っていたが、そうではなかった」「従業員や顧客が離れていってしまった」など、想定外のことも起こり得るのです。例えば、大企業と中小企業では、従業員一人ひとりのモチベーションも違ってきます。その会社に合ったマネジメントをすることがポイントです。

この場合、元の経営者との引き継ぎが鍵を握ります。元の経営者に、一定期間残留してもらうことなどで、スムーズに経営を引き継ぐようにしましょう。

個人M&Aのデメリット③:少額で買収した企業は、利益が少ないこともある

個人M&Aにおいて、少額で買収できた案件は、利益が少ないことが多くなっています。「安く買収すること」だけに意識が向いてしまうと、後悔することにもなりかねませんので注意が必要です。

個人M&Aの案件で、高額なものは「売上」「業績」ともに好調である可能性が高くなっています。一方、少額で購入できる案件は「売上」「業績」ともに低迷しているのが一般的。

もちろん、少額で買収できた事業を軌道に乗せることができれば、大きな利益に繋がります。しかし、低迷続きの事業を回復させるのは簡単ではありません。予算の都合から、少額の案件しか買収できない場合には、経営手腕が問われることになるでしょう。

個人M&Aのデメリット④:薄外債務を引き継ぐ可能性がある

個人M&Aで最も気をつけなければいけないデメリットとして「簿外債務」を引き継ぐ可能性があることが挙げられます。簿外債務とは、賃借対照表に記載がされていない債務のことで、買収時に買い手側が把握することのできない債務のことです。本来であれば、負債の全てを「賃借対照表」に記載する義務がありますが、買掛金や引当金などが記載されていないケースもあります。

買収後に簿外債務が発覚することは、決して珍しいケースではありません。中小企業では度々起こっていますので、慎重になる必要があるのです。簿外債務の多くは、給与・残業代の未払いや退職一時金、社会保険料など。売り手側が、自身の簿外債務に気づいていないことも。

簿外債務は支払わなければならない義務がありますので、買収と同時に大きなリスクを背負ってしまうことも考えられます。個人M&Aを行う際には、税理士や会計士などに調査を依頼して、リスクを回避するようにしましょう。

個人M&Aを成功へ導くコツ

個人M&Aを成功させるためには、どのような点に注意して買収を進めていくのが良いのでしょうか?個人M&Aを成功へと導くコツは、以下の3つのポイントを抑えることです。

  • 従業員や取引先との信頼関係をしっかりと築く
  • 買収を行う業種(事業)について理解する
  • 専門家に相談することも大切

それでは順番に確認していきましょう。

個人M&Aを成功に導くコツ①:従業員や取引先との信頼関係を築く

個人M&Aを成功させるためには、既存の従業員や取引先を大切にし、信頼関係を築くことからスタートさせることです。個人M&Aで企業を買収するということは、会社の経営者(または役員)になるだけではなく、そこで働く従業員の生活を守ることにも繋がります。

コミュニケーション不足によって従業員の不満や不安が募り、退職者が続出するなどのトラブルは、経営が悪化するだけでなく取引先からの信用も失うことにもなりかねません。

従業員が働きやすい職場になるよう、一人ひとりに目を配り、面談などを設けてコミュニケーションを図ることが重要なポイントです。

個人M&Aを成功に導くコツ②:買収を行う事業(業種)について理解する

個人M&Aには、少額から購入できる案件が数多くありますので、買収することは比較的簡単です。しかし、単に「安く買収できるから」という理由で購入し、その業種について理解していなかったり、売上ばかりに気を取られていると失敗してしまいます。

買収した事業を成長させるために、経営方針を見直したり改善点を調べ上げることで、初めて利益も伴ってくるのです。買収を行う前に、しっかりと市場調査や競合相手などを調査して、スムーズに経営を進めていくノウハウを培っておきましょう。

個人M&Aを成功に導くコツ③:専門家に相談することも大切

個人M&Aは、マッチングサイトなどを利用すれば手軽に買収を行うことはできますが、購入後にトラブルがあった場合はサポートが手薄な印象です。簡単に購入できるからこそ、その後のトラブルを見越して、事前にしっかりと備えておく必要があります。

当社では、個人M&Aを徹底サポート!業界最低水準の料金で「売り手側」「買い手側」どちらのお客様にも、満足いただけるサービスを提供しています。売り手のお客様は、月額利用料無料なのもポイント。全案件について財務情報が検証済みのため、安心して交渉いただけるでしょう。また、個人M&Aにおいて欠かすことのできない「小規模案件」も充実しています。PASON(パソン)を介したM&Aでは、買収後のトラブルも未然に防ぐことができるので安心!「事業を手放そうか考え中」「小規模な事業の購入を検討している」という方は、ぜひ1度ご相談下さい。

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個人M&Aでおすすめの業種とは?

それでは、個人M&Aで事業を買収しようと考えた場合、価格はもちろん重要ですが業種についても悩む人が多いはずです。多くの人が「失敗したくない」「経営しやすい業種を選びたい」と考えます。

個人M&Aでおすすめの業種は「専門的な知識を持ち合わせていなくても経営できる業種」です。専門的な知識を必要とする事業であれば、その業種について勉強する時間や、専門的な知識を持つ人材を雇うなど「時間やお金のコスト」が発生してしまいます。

もちろん、どのような業種であっても、最低限身につけなければならない知識やノウハウも必要です。しかしその中でも、比較的専門知識が必要のない業種選びがポイントになります。おすすめの業種は、以下の8つです。

  • 学習塾や予備校
  • 美容系サロン
  • 飲食店
  • 小売店
  • 介護事業
  • WEBサービス・ECサイト
  • 印刷業
  • 整体院

学習塾や予備校であれば、現在「オンライン授業」を取り入れていることも多いため、人件費の節約にも繋がります。学習塾の運営は、リスクも少なく、初心者でも参入しやすい業種と言えるでしょう。

また、WEBサービスやECサイトは、既にある程度の訪問者(ユーザー)を獲得していることが多いため運営しやすくなっているのが特徴です。

個人M&Aで失敗してしまう原因とは?

個人M&Aで失敗してしまう原因には、どういったものがあるのでしょうか。まずひとつに「既存の企業を買い取るため、ゼロから事業を立ち上げるよりも簡単」というイメージを持っていると、大半の人は失敗してしまいます。

新しく事業を立ち上げるのも、もちろん大変ですが、既存の会社を引き継ぐのも簡単なことではありません。「心構え」はもちろん、事業計画なども綿密に練り直す必要があります。そして、従業員たちと信頼関係が構築されるまで、時間がかかるのが一般的です。

安易な気持ちで買収してしまうと、経営が思いの外大変だということに気づき、早い段階で挫折してしまうことにもなり得るでしょう。

失敗する原因の2つ目は、前の経営者との引き継ぎが不十分だった場合、事業がスムーズに行えなくなる点です。買収が成立したことに安堵し、社風や経営スタイル・会社内のルールなどの引き続きを疎かにしてしまうと従業員たちから不満の声が上がり退職者が出てしまうケースもあります。

経営者が交代するということは、企業にとっても取引先にとっても非常に重大なこと。不安や不信感などを取り除き、良好な関係を築いていくためには、経営者としての人格や人間性が問われます。前経営者との引き継ぎを入念に行い、従業員や顧客が離れていかないようにしましょう。

まとめ|個人M&Aは買収後の行動が明暗を分ける

今回の記事では、個人M&Aとは?メリットやデメリット、成功に導くコツやおすすめの業種について詳しく解説してきました。

以前は、大企業同士のM&Aが主流でしたが、現在は小規模な個人M&Aも非常に多くなっています。マッチングサイトが数多く流通し、誰でも手軽に事業を売買できるようになったことが大きな要因のひとつです。

一個人でも、簡単に事業を買収できるようになった一方で、その後の経営についてはうまくいかない事例も見受けられます。個人M&Aで成功するポイントは、買収後の真摯な行動に左右されると言っても過言ではありません。事前準備や下調べをしっかりと行い、リスクを最小限に抑えることがポイントです。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

監修者情報

笹本 拓実
笹本 拓実

2016年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後5年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、株式会社Joblabにて管理部長に就任、コーポレート部門全般を管掌。2023年に共同代表である板井 理と株式会社PASONを設立。
代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。