監査法人とは?業務内容や種類・気になる年収について徹底解説!
最終更新日:2023-12-10監査法人とは?業務内容や種類・気になる年収について徹底解説!
「監査法人」という言葉。よく耳にすることはありますが「どんな業務を行なっているのだろう?」「コンサルと監査法人には、どんな違いがある?」などといった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
また、一言で「監査法人」と言っても、いくつかの種類にわかれています。それぞれの違いについても詳しく知りたいところです。
そこで今回の記事では、監査法人とはどのようなものなのか?業務内容や種類、年収や監査法人に向いている人について詳しく解説していきます。監査法人について、さまざまな観点から理解できる内容となっていますので、最後までお読みください。
目次
監査法人とは?
監査法人とは、複数人の公認会計士が共同し、設立した法人のことを指しています。「複数人」とは具体的に「5人以上の公認会計士」であり、その5名すべてが「公認会計士」であり「社員」でなければなりません。公認会計士とは、監査や会計を行うための「国家資格」を持っています。監査を行う際は、企業の経営状況や業績などを把握した上で、法律に従いながら健全な運営をしているか否かを見極める業務です。
ここで言う「社員」の定義には、単に会社に属している従業員という意味合いだけではなく、法人設立のために出資を行っているかどうかがポイント。出資を行っており、業務執行権を持っている5名以上の公認会計士で作られています。
また監査法人には、公認会計士ではない社員も在籍できるのが特徴です。公認会計士にしか行うことのできない業務が多い一方で、無資格であっても対応できる「アドバイザリー業務」や「公認会計士の補助」、または「総務業務」などを担当することが多くなっています。しかし、監査法人は非常に人気の高い職業であるため、知識や経験が一切ない場合は採用が難しいかもしれません。
監査法人の業務内容とは?
監査法人の仕事内容は、大きく分けて次の2種類あります。
- 監査業務
- コンサルティング業務
それでは順番に確認していきましょう。
監査法人の業務とは?①:監査業務
監査法人の業務として代表的なものの一つが「監査業務」です。監査業務とは、公認会計士が企業の経営状態やこれまでの業績など、さまざまな観点から「内容に誤りはないか」の判断を行います。その結果、健全な運営を行っているのかをチェックするのです。公認会計士が行うのは、主に「会計監査」となっています。
第3者目線で、企業が行った決算について入念にチェックし、間違いがないかを判断するのです。企業側は、しっかり確認しているつもりであっても、ミスが発覚することも少なくありません。また、故意に粉飾しているケースもあるので、細部まで念入りな確認を行うのです。
監査法人の義務とは?②:コンサルティング業務
監査法人の業務の2つ目は、コンサルティング業務です。これは別名「非監査業務」とも言われています。コンサルティング業務の内容は「財務コンサルティング」「M&Aアドバイザリー」「企業再生アドバイザリー」などがあり、対象のクライアントに対し、アドバイスやサポート・相談や問い合わせに応じるなどの業務です。
その他にも、IFRS(International Financial Reporting Standards:国際会計基準・国際財務報告基準)の導入を支援することや、国や自治体に対しての行政改革支援を行っています。監査法人のコンサルティング業務は、非常に幅広くなっていることがわかるでしょう。
監査法人の3つの種類とは
続いて、監査法人の種類について確認していきましょう。監査法人は、その規模によって、いくつかの種類に分かれています。監査法人の種類は、以下の3つです。
- Big4(大手監査法人)
- 準大手監査法人
- 中小監査法人
順番に解説していきます。
監査法人の種類①:Big4(大手監査法人)
監査法人の大手監査法人のBig4とは、以下の4法人です。
- 有限責任あずさ監査法人(従業員数:約6,000人)
- 有限責任監査法人トーマツ(従業員数:約7,000人)
- EY日本有限責任監査法人(従業員数:約6,000人)
- PwCあらた有限責任監査法人(従業員数:約3,000人)
また、この大手監査法人であるBig4は、世界4大監査法人とも連携を結んでいるのが特徴となっています。世界4大監査法人は、次の4法人です。
- Ernst & Young(アーンストアンドヤング)
- Deloitte Touche Tohmatsu(デロイトトウシュトーマツ)
- KPMG(ケーピーエムジー)
- PricewaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパース)
「Ernst&Young」と連携しているのはEY日本有限責任監査法人「Deloitte Touche Tohmatsu」は有限責任監査法人トーマツ「KPMG」は有限責任あずさ監査法人「PricewaterhouseCoopers」はPwCあらた有限責任監査法人と連携しています。大手監査法人であるBig4の4法人が、日本の上場企業ほぼ全ての監査を行っているのが現状です。
監査法人の種類②:準大手監査法人
準大手監査法人とは、大手監査法人のBig4と比べるとクライアントの数や経営規模などは小さくなります。しかし少人数で、より多くの業務に携わることになりますので、優秀な人材が多いのも特徴です。
準大手監査法人は、次の5つとなります。
- 仰星監査法人
- 太陽有限責任監査法人
- 三優監査法人
- PwC京都監査法人
- 東陽監査法人
準大手監査法人は、国際会計ファームの一員です。監査の質が高いと評判で、クライアントの数も大変多くなっています。「公認会計士として、1日も早く一人前になりたい」「多くの実務経験を積みたい」と考えている人は、準大手監査法人を選ぶ傾向があるのです。
監査法人の種類③:中小監査法人
中小監査法人は「大手監査法人」「準大手監査法人」に含まれていない監査法人を指します。その数は毎年変化しますが、2023年現在は約250社以上です。
代表的な中小監査法人を、いくつかご紹介します。
- 丸の内監査法人
- ひびき監査法人
- 監査法人A&Aパートナーズ
- 監査法人アヴァンティア
- RSM清和監査法人
中小監査法人の特徴は、大手監査法人のBig4や準大手監査法人に比べるとシェア率は低いですが、ライフワークバランスが充実しやすくなっていることです。また、効率良く合理的な作業ができるのもポイント。頑張った分「昇給」「昇進」もしやすいので、敢えて中小監査法人を選ぶ人も多くなっています。
監査法人の気になる年収は?
監査法人で働いた際の年収も気になるところです。公認会計士は「エリート」「福利厚生が手厚い」「給与が高い」というイメージをお持ちの方も多いはず。
もちろん、大手監査法人・準大手監査法人・中小監査法人によっても年収は異なりますし、それぞれの法人で手当なども変わってきます。また、監査法人で働く社員の中にも「有資格者」「無資格者」などで、年収に違いがあることも頭に入れておきましょう。今回は、大手監査法人と中小監査法人の年収を比較します。
Big4(大手監査法人) | 中小監査法人 | |
スタッフ | 450万~650万 | 400万~550万 |
シニアスタッフ | 600万~850万 | 500万~650万 |
マネージャー | 1,000万前後 | 800万~1,000万~ |
パートナー | 1,500万以上 | 1,300万以上 |
上記の表にある「役職」について詳しく説明します。
- スタッフ:監査法人へ入社した際に与えられる役職。多くの人が「スタッフ」からのスタートとなり、先輩や上司の指示を受けながら業務をこなす。
- シニアスタッフ:スタッフとしての勤務を3年以上続けた後に、昇進することが多い。年間スケジュールを検討したり、監査チームのまとめ役となることも。別名「現場主任(インチャージ)」と呼ばれるケースもある。
- マネージャー:マネージャーは「管理職」となるため、残業手当が付かないのが特徴。部署全体のスケジュールを管理したり、スタッフが準備した調書の確認業務などを行う。
- パートナー:監査法人の共同経営者で、法人全体の指揮をとり、監査業務を行う。
年収の表を見てもわかるように、監査法人で働く人の年収は、一般企業に比べてかなり高くなっていることがわかります。
その中でも、大手監査法人であるBig4の年収は、マネージャーになると1,000万円程度。パートナーになると、1,500万円を超えます。ただし、ライフワークバランスを重視したい場合は、激務を避けるためにも中小監査法人を選ぶ方が良い場合も。また、Big4と中小監査法人では、顧客数が違うだけでなく従業員の人数にも大きな差があります。そのため、昇進スピードなどが異なりますので、一概に「どちらが年収が高い」とは言えない状況であることも事実です。
監査法人に向いている人の3つの特徴
「公認会計士を目指している」「将来は監査法人で働きたい」とお考えの方も多いはずです。しかし、インターネットで「監査法人」と検索すると「向いていない」「つまらない」という関連ワードが出てきて、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。長く勤務するためにも、できれば自分に合った仕事を選びたいものです。
ここからは、監査法人の仕事に向いている人の特徴を3つ紹介していきます。
- コミュニケーションを取るのが得意
- 地道な作業を継続できる
- ロジカルシンキングであること
それでは順番に確認していきましょう。
監査法人に向いている人①:コミュニケーションを取るのが得意
監査法人で勤務するために欠かせない能力と言っても過言ではないのが「コミュニケーション能力」です。監査業務に携わるにあたって、企業の経営者と話す機会が多くなるのはもちろんですが、さまざまな人からヒアリングを行ったり説明を求められるケースも少なくありません。
また、監査チーム内での連絡事項や情報確認、部下への指導などの業務もあれば尚更「コミュニケーション能力」は必要不可欠と言えるでしょう。
監査法人に向いている人②:地道な作業を継続できる
監査法人の仕事は地道な作業を継続しなければならないものも多くなっています。例えば「監査調書の作成」「日々のデスクワーク」など、毎日数字と向き合うことになるのです。莫大な資料と照らし合わせて「不正がないか?」「間違いがないか?」を確認します。そして、ミスや不正が見つかった場合には、その原因について明確になるまで追求しなければなりません。
そのような「地道な作業」を、毎日継続できる忍耐力も、監査法人で働く上で重要なポイントとなるでしょう。
監査法人に向いている人③:ロジカルシンキングであること
監査法人に向いている人の特徴3つ目は「ロジカルシンキングであること」が挙げられます。仕事の性質上、感情論や主観で話を進めていくわけでは
なく、ロジカルシンキング(根拠→結論)で伝えるのが理想です。物事の因果関係を自分の中で整理し、論理的でわかりやすく「根拠」と「結論」を伝えることができれば、どの現場においてもスムーズに仕事を行なえるでしょう。
監査法人に向いていない人
監査法人で勤務することが向いている人の特徴がわかったところで、向いていない人の特徴も気になるところです。監査法人で勤務するのが向いていない人の特徴は、次の2点となります。
- 環境の変化にうまく対応できない
- クリエイティブな仕事がしたい人
それでは早速確認していきましょう。
監査法人に向いていない人①:環境の変化にうまく対応できない
監査法人で働くためには、環境の変化にうまく対応できなければ難しいかもしれません。なぜなら、多くのクライアントを抱えていますので、その度に監査メンバーが入れ替わったり、新規のクライアントと顔を合わせることになるからです。「決まった場所で、同じメンバーと働きたい」と考えている人には苦痛に感じてしまうかもしれません。
また時には、国内出張はもちろん、海外出張が必要になるケースも。環境が変わることを楽しめる人や、すぐに適応できる人でなければ、長く勤務するのは困難となるでしょう。
監査法人に向いていない人②:クリエイティブな仕事がしたい人
監査法人の業務内容は、新しいサービスや商品を生み出すものではありません。コツコツと数字と向き合い、規則や法律に反していないかを確認する作業が続きます。自分の持っている想像力やデザイン性を評価してもらいたいと考えている人には、監査法人での仕事は向いていないと言えるでしょう。
まとめ|監査法人は企業の信頼性を明確にする重要な役割を果たしている
今回の記事では、監査法人とは?業務内容や種類、気になる年収や向いている人・向いていない人の特徴について詳しく解説してきました。監査法人を設立するためには、5名以上の公認会計士が揃っていることが条件でしたね。また、監査法人には「大手監査法人(Big4)」「準大手監査法人」「中小監査法人」の3種類がありました。数字と向き合うことの多い大変な業務ですが、年収が高く、やりがいのある仕事です。
今後、監査法人への就職を目指しているという方は「向いている人・向いていない人の特徴」も合わせて参考にしていただけると嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました。