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M&A 事例・コラム

アドバイザリー契約とは?メリット・デメリットや締結する際の注意点について解説!

最終更新日:2024-03-30
アドバイザリー契約

M&Aを検討した際に、アドバイザリー契約という言葉を目にすることがあるかもしれません。M&Aを行うには、さまざまな手続きがあり、専門家からのサポートが必要となるケースが多くなります。

例えば買い手側の企業であれば、売り手側の企業の経営状況や活動内容などの詳細が知りたいところですよね。しかし、自社で調べるには限界があります。

そこで、仲介業者に間に入ってもらい、相手企業の調査をしてもらうことになるでしょう。

ここで「アドバイザリー契約」が締結されることになります。今回の記事では、M&Aにおいて重要なアドバイザリー契約とはどのようなものなのか?メリット・デメリットや報酬の相場などについて詳しく解説していきます。

M&Aを検討中で、アドバイザリー契約について詳しく知りたい方の参考になると幸いです。

アドバイザリー契約とは?

アドバイザリー契約とは、M&Aなどが行われる前に「売り手側の企業」「買い手側の企業」それぞれが仲介業者に依頼を行い、そこで交わす契約のことを指しています。

アドバイザーが担う仕事は、買い手企業と売り手企業をマッチングさせることはもちろん、M&Aにまつわるさまざまな内容の業務を担当してくれるのです。

例えば、必要書類の作成や相手企業との交渉・業界の将来性の調査や市場価値についても行ってもらえるケースが多くなっています。

また、M&Aまでのスケジュール管理や調整といった、細かい部分までサポートしてくれるので安心です。

アドバイザリー契約をしなかった場合は、自分たちで上記の調査を行うこととなり、通常業務に大きな負担がかかってしまうだけでなくトラブルが起こったときにも対応しきれなくなります。

M&Aを成功へ導くためには、アドバイザリー契約が重要な役割を担っていると言えるでしょう。

アドバイザリー契約とM&Aコンサルティング契約の違いとは?

アドバイザリー契約と似た意味を持つ言葉に「M&Aコンサルティング契約」があります。2つの言葉にはどのような違いがあるのでしょう。

アドバイザリー契約では、M&Aにおける広い範囲でのアドバイスをもらえます。M&Aでの「マッチング」や「交渉」だけでなく、今後の展望や起こり得るトラブルなども予測して、事前にリスクを回避する方法の提案なども含まれているのです。

その一方で、コンサルティング契約では、相手企業のマイナス面やリスクの具体的な内容・改善策などを提案してもらえます。アドバイザリー契約と比較すると、狭い範囲に特化したサポートと言えるでしょう。

ただし、依頼する事務所によっては、2つのサービスを同一のものとして行っているところもあります。

アドバイザリー契約と業務委託契約の違いとは?

アドバイザリー契約と似た言葉の中には「業務委託契約」というものもあります。業務委託契約とは、ある特定の業務について外部の業者に委託する契約のことを表しています。

委託する内容によって名称が異なるのが特徴です。業務委託契約の中には「仲介契約」「アドバイザリー契約」「コンサルティング契約」なども含まれています。

アドバイザリー契約の形態とは?

アドバイザリー契約には、2つの種類があります。

  • 専任契約
  • 非専任契約

専任契約とは、M&Aの専門業者を独占して契約を締結する方法です。専門業者は、サポートする会社を1社に限定し、その期間中は他の企業と契約を結ぶことはできません。

メリットには1社との契約に限定されるため、外部に情報が漏れてしまうというリスクが少ない点が挙げられます。また、独占契約で優先度が高いため、成約に向けて全力でサポートをしてもらえる点も大きいですね。

その一方デメリットとしては、担当者と相性が合わなかった場合でも、期間中は他の業者と契約を結ぶことができないことです。

非専任契約とは、1社に限らず複数の専門業者と契約することが可能な方法となります。多くの業者と契約を結べるため、選択肢が広がるというメリットが挙げられるでしょう。

買い手企業を見つけやすくなるのが特徴です。担当者の能力も比較できるので、信頼できる相手を見つけやすくなります。

ただし、何社ともやり取りすることによって、その情報が外部へと漏れてしまう可能性が高くなるというデメリットがあるため注意しなければなりません。

アドバイザリー契約におけるメリット

アドバイザリー契約を行う上で得られるメリットは、大きく分けると3つあります。

  • M&Aをスムーズに進めることができる
  • 希望の相手企業を見つけてもらえる可能性が高い
  • M&A業務の負担を軽減し通常業務をこなすことができる

順番に確認していきましょう。

M&Aをスムーズに進めることができる

1つ目のメリットは、M&Aをスムーズに進めることができる点です。M&Aには、専門的な知識が必要となります。

自社の力だけで行う場合には、希望の企業を探すだけでも難しく、交渉もうまく進められない可能性が高くなります。また、万が一トラブルが発生してしまうと、どう対処して良いかわからず困ってしまうでしょう。

専門家へ依頼しアドバイザリー契約を締結することによって、自社に最適な方法で希望の相手を探してもらえますし、トラブルへの対応も行ってもらえます。

スムーズなM&Aを実現できるだけでなく、未然にトラブルを回避できるのも大きなメリットと言えるでしょう。

希望の相手企業を見つけてもらえる可能性が高い

メリットの2つ目は、希望の相手企業を見つけてもらえる可能性が高いことです。もちろん、自社でM&Aの相手を探すことも不可能ではありません。

ただし、選択肢は多くなく、限定的になってしまう恐れがあります。また、相手企業の核心に触れる部分までは調査することが難しいため、理想の企業を見つけることは困難です。

しかし専門家であれば、独自のネットワークを駆使して、希望している企業とのマッチングが可能となります。

相手企業がどのような会社なのか、経営状況などの詳細も把握できるので安心です。自社だけでM&Aを行うよりも、成功する確率が高くなることは間違いありません。

M&A業務の負担を軽減し通常業務をこなすことができる

メリットの3つ目は、M&A業務の負担を軽減し、通常業務をこなすことができる点です。自社でM&Aを行う場合には、多くの時間と手間がかかります。

通常の業務に支障が出てしまうことも珍しくありません。こなさなければならない業務が非常に多く、大きな負担となってしまうのです。

しかしアドバイザリー契約を結び、専門家に任せることで、適切なアドバイスをもらいながらスムーズにM&Aを進めていくことができます。

M&Aの業務に集中するあまり、本業が疎かになってしまうと経営が傾いてしまうケースもあるため、負担を軽減できることは大きなメリットと言えるでしょう。

アドバイザリー契約におけるデメリット

続いて、アドバイザリー契約におけるデメリットを紹介していきます。

  • 契約内容に制限があること
  • 必ずしも理想の相手が見つかるとは限らないこと

ひとつずつ見ていきましょう。

契約内容に制約があること

デメリットの1つ目は、契約内容に制約がある点です。例えば、相手企業との直接交渉ができないというケースが多くなっています。

担当者がさまざまなサポートや提案を行い、相手企業との交渉にも尽力してくれますが、思ったように話がまとまらない場合も。制約があることで、自社で自由に動ける範囲が限定されてしまう点が、デメリットに感じてしまうかもしれません。

必ずしも理想の相手が見つかるとは限らない

2つ目のデメリットは、アドバイザリー契約を締結したからといって、必ずしも理想の相手が見つかるとは限らない点です。

「専門家に依頼したのだから、すぐに希望通りの企業を見つけてもらえる」というわけではありません。担当者との意思疎通がうまくいかなければ、伝えたはずの条件とは違う相手先を紹介される恐れもあります。

その場合でも、アドバイザリー契約には制約があるため、自社で新たな相手企業を見つけることは禁止されているのです。担当者とは、密にコミュニケーションを取り、理想の相手に必要な条件を明確に提示するよう心がけましょう。

アドバイザリー契約の締結における注意点とは?

アドバイザリー契約を結ぶ際の注意点についても気になるところです。注意点は大きく分けると4つあります。

  • 契約による制限を事前に確認
  • 秘密保持の内容を確認すること
  • 報酬や費用を事前にチェックすること
  • 専門家(担当者)との相性もポイント

順番に解説していきます。

契約による制限を事前に確認すること

注意点の1つ目は、契約による制限を事前に確認しておくことです。M&Aを成功させたい、スムーズに進めたいという思いは、どんな企業も持っているはず。

あまりにも制限が多いと、専門家に依頼しても思うようにM&Aが進まない可能性もあります。「直接交渉の禁止」が盛り込まれているケースは多くなっていますが、それ以外にも多くの制限があることも考えられますので、事前のチェックが必要不可欠です。

また、条件付きで直接交渉が認められている場合もありますので、確認しておきましょう。

秘密保持の内容を確認すること

注意点の2つ目は、秘密保持の内容を確認しておく点です。M&Aを行う際には、会社の内部状況を明確に提示しなければなりません。

これが外部に漏れてしまうことがあれば、会社に大きなダメージを与えるのはもちろん、M&A自体が失敗に終わる可能性も高くなります。

リスクを未然に防ぐためにも、事前に秘密保持の内容をしっかりと確認し、アドバイザリー契約とは別で「秘密保持契約」を結ぶこともひとつの方法となるでしょう。

報酬や費用を事前にチェックすること

注意点の3つ目は、専門家に支払う報酬や費用を事前にチェックしておくことです。それぞれの事務所によって、費用の料金形態や報酬額が大きく異なります。

一般的には「着手金」「中間金」「月間アドバイザリー報酬金」「成功報酬」の4つの項目から成り立っています。しかし中には「着手金」「成功報酬」を請求していない事務所も。

ここで注意しなければならないのが、着手金を請求していないからといって、必ずしも支払う費用が少なくなるわけではないことです。

成功報酬で上乗せされるケースもありますし、手数料などがかかる場合も。1社だけに絞ることなく、まずは何社かの専門家へ相談して、合計費用をチェックしてみることが大切です。

専門家(担当者)との相性もポイント

注意点の4つ目は、担当者との相性です。M&Aには長い期間を要する場合が多いので、信頼のおける専門家を見つけることが成功への秘訣となります。

高い知識や行動力を持っているのか、理想の企業を見つけるために、懸命に取り組んでもらえそうかなどの判断もポイントになるでしょう。

担当者との信頼関係や意思疎通は、長期戦となるM&Aにおいて、非常に重要な役割を果たすこととなるのです。

PASONは、アドバイザーなども含め、M&Aに関するさまざまな業務に対応しております。業界最低水準の利用料金で、ご依頼からアフターサービスに至るまで、ご満足いただけるサポートをお約束いたします!売り手側の企業は、無料でご利用いただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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まとめ|アドバイザリー契約を結んでM&Aを成功させよう

今回の記事では、アドバイザリー契約とはどういうものなのか、メリット・デメリットや注意点などについて詳しく解説してきました。

専門家とアドバイザリー契約を締結することで、安心してM&Aを進められるということが分かりましたね。

また、M&A業務の負担を軽減し、通常の仕事をスムーズに行えることや希望の相手を見つけてもらえる可能性も高くなっています。

しかしその一方で、デメリットや注意点も多いことがわかりました。

制約があるため、思ったように交渉が進まないときでも自社で直接交渉するのは難しかったり、重大な内部情報が外部の第三者へと漏れてしまう恐れもあります。理想の相手が見つからない可能性も考慮しなければなりません。

これらは、事前のチェックや担当者との話し合いによってクリアできる問題ですので、しっかりとコミュニケーションを取るようにしましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

監修者情報

板井 理
板井 理

2018年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後3年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、2023年に共同代表である笹本 拓実と株式会社PASONを設立。代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。