株価算定の意味とは?3つの算定方法や必要書類・企業価値との違いについて解説
最終更新日:2024-05-30M&Aにおいてよく耳にする「株価算定」
増資を検討している方にとっても、聞き慣れた言葉かもしれません。
株価算定とは、株式の譲渡を考えているときに、自社の株価が一体いくらになるのか算定することです。
上場している企業は、市場をチェックするだけで自社株式の株価を知ることができますが、非上場企業の場合は純資産法やDCF法などを活用して株価を算定しなければなりません。
「株価算定方法が知りたい」「自社の株価を知るために、費用はかかる?」といった疑問をお持ちの方も多いはずです。
本記事では、株価算定とはどのようなものか、方法や費用・必要書類や企業価値との違いなどについて詳しく解説していきます。
目次
株価算定の意味とは?
株価算定とは、企業の価値とも言える「株価」を算定することです。
「算定」の意味は、どれくらいの数量・数字になるのか、目安の数字を出すこと。
株価算定は、主に次のような場合に利用されます。
- M&A
- 第三者割当増資
- 損害賠償額の計算
- 相続税・贈与税の評価
- 事業承継
- 会社を解散する際の清算手続き
など、さまざまな場面で用いられるでしょう。
また、それぞれのケースによって、算定方法や評価価格が異なります。
例えば、M&Aや事業承継などにおいては、確定していない将来性や成長を見込んだ算定方法を利用しなければなりません。
その一方で、会社解散の清算手続きでは将来性や成長を含めることはなく、過去の配当金を目安として株価を評価することになります。
目的や状況に合わせた株価算定方法を利用しなければ、正しい株価を導き出せないだけでなく、裁判などのトラブルとなる可能性もあるため注意しましょう。
株価算定と企業価値の違いとは?
混同しやすい言葉として「企業価値」があります。その違いはどこにあるのでしょう。
そもそも企業価値は、負債と純資産価値を元に算出されます。
会社が所有している資産の合計を示すものですので「負債」も含まれることになるのです。
その一方で株式価値は、企業価値から有利子負債額を引いたものとなります。
企業価値を算出する方法は主に以下の2つです。
- 企業価値 = 事業価値 + 非事業価値
- 企業価値 = 株式価値 + 有利子負債
上記の計算によって求められます。企業価値と株式価値は、非常に混同されやすいため注意しましょう。
株価算定と事業価値の違いとは?
事業価値は、企業が保有している事業の価値の事です。別名「エンタープライズバリュー」とも呼ばれてます。
企業価値の大部分を占めている事業価値は、M&Aを行う際に、特に注目される部分です。
事業価値には、無形資産である「営業権(のれん)」や「商標権」「特許権」などがあります。
企業価値は、以下の計算によって求める事ができます。
事業価値 = 企業価値 – 非事業価値
事業価値は、事業から得られる「キャッシュフロー」の現在価値の合計でもあります。そのため、事業価値はM&Aを実施する際に相手企業の将来性を見極める場合に、とても重要な要素と言えるでしょう。
株価算定方法3選
株価算定方法には、大きくわけて3つの種類があります。
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
- コストアプローチ
それぞれの企業の特性、または目的によって適切な方法を用いなければなりません。
ひとつずつ確認していきましょう。
インカムアプローチ
インカムアプローチとは、未来の収入およびキャッシュフローに着目して評価をするのが特徴です。
企業の将来性や見込まれる成長・予測可能な収益(配当金やキャッシュフロー)などをベースとして事業価値を算出します。
そこに「非事業価値」を加えることによって、企業価値を算出し、企業価値から債権者価値を引いて算出する方法です。
インカムアプローチには「DCF法」「配当還元法」「収益還元法」などがあります。
DCF法は「ディスカウントキャッシュフロー」の略で、事業計画書を参考に未来の利益を計算し、リスクに関しては「割引率」として換算した上で企業価値を求める方法です。
配当還元法は、将来の配当金をベースとして計算を行う手法になります。少数株主が、非上場株式を取得する際に用いられる方式で、1年間の配当金額を10%で還元し、株式の評価を行います。
収益還元法は、過去の利益の平均をベースとして、一定額の利益がずっと続くと仮定して株価を算出する方法。比較的簡単に算定できるのが特徴です。
マーケットアプローチ
非上場企業における株価算定方法の2つ目は、マーケットアプローチです。
マーケットアプローチとは、類似している企業や過去の事例などを参考にして、相対的に価値を算出する方法を指しています。
「類似会社比準法(マルチプル法)」「類似取引比準法」などが主に用いられます。
類似会社比準法(マルチプル法)とは、自社と類似点の多い上場企業を元に株価を算定する方法です。
また、類似取引比準法は、主にM&Aにおいて企業価値を評価する際に使用されます。
コストアプローチ
コストアプローチとは、資本および資産を元に計算を行う、非常に分かりやすい算出方法です。
その一方で、将来的に予測される利益や価値などが反映されにくくなります。したがってM&Aを検討している場合には、おすすめできない手法と言えるでしょう。
具体的には「簿価純資産法」「時価純資産法」があり、簿価純資産法とは、賃借対照表の「純資産の記録」そのものが株価の価値となります。既に記載されている数字を用いることになるため、非常にシンプルな手法であるのが特徴です。
時価純資産法は、保有している資産や負債を一時的に「時価換算」し、資産から負債を引いた純資産を企業価値として算出します。
非上場の株価算定において必要となる費用
株価算定に必要な費用は、どのくらいかかるのでしょうか。
無料ツールなどを使って、自社で算出する場合は、費用は発生しません。
しかし、一般的には専門家や仲介業者へ依頼することになります。
M&Aを行うときには、依頼からマッチング・成約までの一連の業務に費用が発生するため「株価算定」に別途費用が加算されるということはありません。
しかし、何らかの理由で株価算定だけを依頼するケースもあるでしょう。
この場合、費用の目安は「20万円から200万円」前後となるのが一般的です。
依頼する専門家によって必要な費用が大きく異なるのはもちろんですが、財務諸表等が、どのくらい複雑であるかによっても料金が変わってきます。
専門家や仲介業者へ依頼を検討するときには、事前に何社かに見積もりを依頼することがおすすめです。
株価算定の際に必要となる書類は?
株価算定には、どのような書類が必要となるのでしょうか。
上記でも解説した通り、算定方法にはいくつかの種類があり、それぞれの方法によって必要書類が異なります。
- 財務諸表
- 事業計画書
- 会社案内
- 株主名簿
- 設備投資計画書
- 事業報告書
- 類似上場企業の資料
などが一般的です。算定方法や会社の状況などに合わせて、上記以外の書類が必要になるケースもあります。
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まとめ|株価算定には専門的な知識も必要になる!
本記事では、株価算定の意味や3つの算定方法・費用や必要書類、企業価値との違いなどについて詳しく解説してきました。株価の算定はM&Aだけではなく、損害賠償額の計算や相続税・贈与税の評価など、さまざまな場面で用いられることがわかりましたね。
また、算定方法は3種類に分かれており、会社の状況や目的によって適切な手法を選ばなければなりません。必要となる書類に関しても、算定方法などによって大きく異なります。このように、専門的な知識が必要となるケースも多いため、仲介業者や専門家に依頼するのが良いでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。