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COC(チェンジオブコントロール)条項とは?目的やメリット・デメリットを徹底解説!

最終更新日:2024-03-30
COC条項とは

M&Aを検討する際に用いられる言葉で「 COC(チェンジオブコントロール)条項」があります。特に、買い手側に当たる場合は、 COC条項について理解しておかなければなりません。

「全く聞きなれない言葉なので、どのような内容なのか知っておきたい」「 COC条項のメリットやデメリットを把握しておきたい」という方も多いかもしれません。

COC条項を簡単に表現すると、M&Aなどを行う際に「経営権が移動するときには通知が必要となり、当事者によって契約解除が可能となる条項」を指しています。M&Aを行う場合には、しっかりと内容を知っておく必要があります。

そこで今回の記事では、COC条項とはどういったものなのか?メリット・デメリットやCOC条項の目的・効果について詳しく解説していきます。

COC条項について、深く理解できる内容となっておりますので、ぜひ最後までお読みください。

COC(チェンジオブコントロール)条項とはどんな条項?

COC条項とは、M&Aを行う際などに経営権が移動した場合、契約内容を制限することができたり契約自体を解除することができる条項を指しています。

COC条項のCOCは英語で「Change Of Control」を略しており、Control(経営権や支配権)をChange(変更)できるという意味合いです。別名「資本拘束条項」とも呼ばれています。DD(デューディリジェンス)のときに用いられることが多くなっているのも特徴です。

M&Aなどにより、経営権が他の企業へと移ってしまったときに、取引先などに通知され承諾を求められます。

この際に、取引先側が「経営者が代わってしまうと、今後の取引に不安がある」「このままだと取引を続けるのは難しい」と感じる内容だと思ったときには、その会社との契約を解除できるという条項です。

もちろん、M&Aを行う上で知っておかなければならない条項ですが、特に企業買収を考えている「買い手側」にとって重要なものとなります。

取引先に契約を解除されてしまうと、今後経営を続けていくのが困難になるほどのリスクを受ける可能性もありますので注意しておきましょう。

COC(チェンジオブコントロール)条項が使用される目的とは?

COC条項が使用される目的は、どういったことなのでしょうか?まず1つ目に挙げられるのが「取引先の経営を守る」という目的です。

それまでの経営者が、M&Aなどの買収によって変更になった場合、買い手側(新しく経営権を握ることとなった企業)がライバル企業である可能性や敵対企業であるケースも考えられます。

それほど強い結び付きのある企業でなかったとしても、少なからず今後の経営にマイナスな影響をもたらしてしまう可能性は捨てきれません。

それを予測し、新しい経営者側(買い手側)と良好な関係を築けそうにない、またはトラブルになってしまうかもしれないと感じた際にはCOC条項によって契約を解除できます。経営権が移ってしまった場合でも、取引先の経営を守る役割となる条項です。

2つ目の目的は、取引先ではなく自社を保護する目的となります。自社の取引先を買収された際に、取引先を通じて、スキルや技術・研究などが買い手側に知られてしまうことを防ぐことが目的です。

似通った業界で経営を行っている企業が買収相手である場合は特に、知られると大きな損失となってしまうケースも考えられます。そういった「自社の情報」が、他社に渡って不利益を被ることを防ぐ目的もあるのです。

COC(チェンジオブコントロール)条項の3つのメリット

COC条項のメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?メリットは大きく分けると3つあります。

  • 自社の情報が外部に漏れるのを防ぐことができる
  • 敵対的TOBを防ぐ効果がある
  • 関係性が良好でなかった取引先を断ち切ることができる

ひとつずつ順番に確認していきましょう。

COC条項のメリット①|自社の情報が外部に漏れるのを防ぐことができる

COC条項のメリット1つ目は、自社の情報が外部に漏れることを防いでくれる点です。

COC条項が使用される目的でも触れたように、買い手側がライバル企業や敵対企業である可能性も十分に考えられます。自社のノウハウや戦略・技術を競合相手に知られてしまうのは避けたいと考えることもあるでしょう。

情報が外部に漏れてしまうことで、今後の経営に多大なリスクが生じると懸念した際には、COC条項によって契約解除の手続きを行えるメリットがあります。

COC条項のメリット②|敵対的TOBを防ぐ効果がある

COC条項のメリット2つ目は、敵対的TOBを防ぐ効果を得られる点です。

敵対的TOBとは、相手企業の取締役の同意を得ることなく、買収を進めることを指している言葉になっています。

買い手側の大きな目的といえるのが、買収後に得られるであろうシナジー効果です。買い手側としては、現状の買収企業とその取引先も含めて、今後の利益やシナジー効果を想定しています。

しかし、COC条項によって売り手側の取引先が契約(取引)を解除してしまうと、予想していたシナジー効果を発揮できないだけでなく「この企業を買い取る価値はあるのか?」といった疑問も生じてしまうのです。そうすれば、敵対的TOBを断念するでしょう。

COC条項のメリット③|関係性が良好でなかった取引先を断ち切ることができる

COC条項のメリット3つ目は、関係性が良好でなかった取引先を断ち切るキッカケを作ることができるという点です。

元々、現在の取引相手に不満を抱えていた場合「契約解除」を申し立てると、関係性が悪くなるだけでなく多額の違約金などを支払わなければならないケースもあります。違約金の支払いは、自社にとって大きなリスクとなるので避けたいところ。

しかし、COC条項によって契約解除が行われた場合には、その理由を詳細に説明する義務なども存在しません。

組織の新体制を整えたい・新たなスタートを切りたいと考えている企業にとっては、今までの取引先相手との関係を円滑に断ち切る手段としても役立つのです。

COC(チェンジオブコントロール)条項の3つのデメリット

続いては、COC条項のデメリットについて解説していきます。COC条項によって起こり得るデメリットは、下記の3つです。

  • 買い手が見つかりにくくなってしまうケースがある
  • DD(デューディリジェンス)に必要な費用が高額になってしまう
  • M&Aが破談になってしまう恐れもある

順番に見ていきましょう。

COC条項のデメリット①|買い手が見つかりにくくなってしまうケースがある

デメリット1つ目は、買い手が見つかりにくくなってしまうケースがあることです。COC条項は上記のメリットで紹介したように、売り手側を守る内容の規約が詰まった条項になっています。一方、買い手側にとっては不利益を被る可能性の高いものです。

買収を検討した際に、買い手側にとっては「対象企業がCOC条項を結んでいるか否か」をチェックすることは必然。

確認せずに買収を進めてしまえば、既存の取引先との契約が解除されていることもあります。そうなると「予測していたシナジー効果を発揮できない」「この企業を買い取る価値はない」といった判断が下されてしまう可能性も大いに考えられるのです。

売却を急いでいる場合であっても、COC条項を懸念した買い手側の企業が買収を躊躇ってしまい、なかなか買い手が見つからないというケースも多くなるでしょう。

COC条項のデメリット②|DD(デューディリジェンス)に必要な費用が高額になってしまう

デメリット2つ目は、DD(デューディリジェンス)に掛かる費用が、予想以上に高額になってしまう可能性もあることです。

M&Aを行う際に、COC条項は双方の企業にとって、大きな影響を及ぼすもの。自社に不利益な内容はないか?相手企業に、何らかのトラブルや問題点はないか?などといった細かい調査を、事前に行う必要があります。

この調査を、専門家へと依頼する費用がかなり高額になってしまう場合もあるのです。もちろん、M&Aが成立した後に、想定外のトラブルに巻き込まれないためにも専門家への依頼は必須となります。

一言で「専門家」と言っても、依頼する会社によって、金額が大きく異なりますので注意しましょう。

DD(デューディリジェンス)を引き受けてくれる専門家には、弁護士や税理士・公認会計士やコンサルティング会社などが挙げられます。事前に予算を決めておき、スムーズで的確な対応をしてくれる専門家を探すことが大切です。

PASONでは、M&Aサービスに特化したプラットフォームを展開中。気になる点やちょっとしたご相談にも、誠心誠意対応いたします。会員登録は無料ですので、M&Aで困ったときには、いつでもお気軽にご相談ください。業界最低水準の価格で、質の高いサービスをお約束します。

COC条項のデメリット③|M&Aが破談になってしまう恐れもある

デメリット3つ目は、M&A自体が破談となってしまう恐れもあることです。

買収先でCOC条項が結ばれていると理解した場合、買い手側には予想していた程の利益が生まれない可能性が高くなります。M&Aで買収を行う際には、買収後に起こるであろう、数々のメリットを考えるものです。買収するには、多額の資金を投入することとなりますので、利益を計算するのは当然のこと。

しかし、COC条項が行使されてしまった場合、買収先の取引先を失ってしまう可能性だけでなくノウハウや人材・技術なども目減りすることもあるでしょう。買い手側も、そのようなリスクを冒すことはできません。先手を打って、M&A自体を破談にしようと考えるのです。

COC条項以外で敵対的買収(TOB)を防ぐための方法

紹介してきた通り、COC条項には数多くのメリットがありますが「M&A」自体が破談になってしまうかもしれないというリスクもありましたね。

買い手側が、売り手側のCOC条項の行使を懸念して、M&Aが行われないという事態は避けたいものです。

敵対的TOBを防ぐための方法にはCOC条項以外にも、いくつかの種類がありますので紹介していきます。

  • ゴールデンパラシュート
  • マネジメントバイアウト(MBO)
  • ポイズンピル

ひとつずつ確認していきましょう。

ゴールデンパラシュート

ゴールデンパラシュートとは、事前に経営陣の「退職金」を高く設定することによって、敵対的TOBを防ぐ方法となります。

日本国内においては、あまり実例がないのが特徴です。買い手側は、経営陣に対して多額の退職金を支払う義務が発生してしまうため、買収する気持ちが薄れてしまいます。ここで言う「多額の退職金」は、一般的な相場と比べて3倍程度であることが多いでしょう。

マネジメントバイアウト(MBO)

敵対的TOBを防ぐ方法2つ目は、MBOを行うことです。自社の株式を予め経営者たちが買い占めることによって、他の人が株式を取得できないという状況を作ることができます。

敵対的TOBを防ぐ役割を担っているMBOですが、その他にも「親会社からの独立」を目指す際に用いられることが多くなっているのです。

ポイズンピル

3つ目は、ポイズンピルです。ポイズンピルとは、敵対的TOBを防ぐ為の効果的な方法として広く認知されており、実際に日本でも行われている手法となります。

現段階で株主となっている人たちに対し、予め新株予約権を発行するという方法です。これによって、不都合な相手に自社株を購入されるリスクを排除できます。

まとめ|COC条項はM&Aにおいて重要なカギを握っている

今回の記事では、、COC条項とはどういったものなのか?COC条項の目的やメリット・デメリット、敵対的TOBを防ぐ方法などについて詳しく解説してきました。

COC条項は、売り手側や、その取引先を守る内容が多く見受けられましたね。しかし、その一方で、買い手側からM&Aを破談にされてしまう可能性も捨てきれないというデメリットも存在しました。

敵対的TOBを防ぐ方法には、COC条項だけでなく「ゴールデンパラシュート」や「ポイズンピル」もありますので検討してみると良いでしょう。

M&Aをスムーズに行い、その後のトラブルに巻き込まれないためにも、専門家へ依頼することは欠かせません。M&Aについてのお困りごとがございましたら、お気軽にPASONまでご連絡ください。一人ひとりの悩みに寄り添った対応を致します。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです

監修者情報

笹本 拓実
笹本 拓実

2016年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後5年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、株式会社Joblabにて管理部長に就任、コーポレート部門全般を管掌。2023年に共同代表である板井 理と株式会社PASONを設立。
代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。