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会社の休業とは?メリットやデメリット・手続きや費用について徹底解説!

最終更新日:2024-03-30
会社 休業

会社経営を行っていれば、さまざまな理由によって事業を一旦休まなければならないこともあるかもしれません。

経営不振や体調面の変化はもちろん、取引先との関係などから、やむを得ず続けられないと考えることもあるでしょう。

そういったケースに陥った場合、真っ先に思い浮かぶのが「廃業」かもしれません。しかし、一定期間だけ休んで、また事業を再開したいというときには「休業」を選択することも可能です。

ただし、休業は経営者の意思によって自由に行えるものではなく、決められた手続きを行わなければなりません。

そこで今回の記事では、会社を休業するとはどのようなことなのか?休業のメリット・デメリットや手続きについて詳しく解説していきます。何らかの事情によって、会社を一時的に休業させたいと考えている方の参考になると幸いです。

会社の休業とはどんなこと?

会社を休業するというのは、どのようなことなのでしょうか?

休業とは、何らかの事情によって一定期間経営ができなくなってしまった場合に、すべての事業活動を一旦停止させることです。

休業は、登記簿の上では法人登記が残った状態ですので、経営再開の目処が経てばスムーズに手続きを行うことが可能となります。これを「会社の休業」と言い「休眠」と呼ばれることも。

同じような意味を持つ言葉として「廃業」を思い浮かべる方も多いはず。休業と廃業の大きな違いは「一旦お休みするのか、完全に事業を終わらせるのか」になります。

再開する可能性が少しでも残っている場合には、休業を選択する方が良いケースもありますので注意しましょう。

廃業についての詳しい詳細は、廃業に必要な手続きとは?事前準備や費用・メリットやデメリットについて解説!の記事に記載しています。気になる方はチェックしてみてください。

会社を休業させるメリット

会社を休業するという選択には、どのようなメリットがあるのでしょうか?メリットは大きく分けると3つです。

  • いつでも事業を再開できること
  • 廃業と比較すると手続きが簡単なこと
  • 費用を抑えられること

順番に確認していきましょう。

いつでも事業を再開できる

休業を選択する上でのメリットの1つ目は、いつでも事業を再開できる点です。

企業によって休業を検討する理由は異なりますが、例えば体の調子が良くない場合、一定期間だけ治療に専念したいというケースであれば休業を選択するのが得策となります。

また、他の事業を始めようか悩んでいる時にもおすすめ。新たな事業に移るべきか、このまま今の会社を続けていくべきかの「検討期間」だけ休業しておくといった方法もあります。

廃業と比較すると手続きが簡単なこと

休業を選択するメリット2つ目は、廃業に比べて手続きが簡単な点です。

廃業の場合、手続きが非常に煩雑で時間もかかります。法務局において登記を行ったり、確定申告をするなど、多くの手間がかかります。それだけでなく、事業をもう一度再開したい場合にも、簡単な手続きだけで済むのです。

費用を抑えられること

休業を選択するメリット3つ目は、費用を抑えられる点です。

廃業を選択した場合には「専門家への相談」が一般的。この費用についてはおおよそ「60万円〜70万円」かかることとなります。依頼する事務所によって金額はさまざまですが、まとまった金額を用意しなければなりません。

もちろんそれ以外にも、登記や法手続きの費用がかかります。また、賃貸物件で経営を行っていた場合には「建造物の原状回復費用」が発生することとなるのです。

それに比べて、休業の手続きを自分自身で行う場合には、費用は発生しませんので安心できます。

会社を休業させるデメリット

続いてここからは、会社を休業させた場合に起こり得るデメリットについて解説していきます。デメリットは大きく分けて3つです。

  • 固定資産税などの税金は発生してしまう
  • 役員の変更登記が必要になること
  • みなし解散となる可能性もあること

ひとつずつ見ていきましょう。

固定資産税などの税金が発生してしまう

休業のデメリット1つ目は、固定資産税などの税金が発生してしまう点です。

すべての事業を完全にストップしていても、納税の義務はなくなりませんので注意しなければなりません。固定資産税だけでなく「法人税」「法人住民税」を支払うこととなります。

ただし、法人税の支払い義務はありますが、休業期間中は「所得」がなくなるので、実際には支払う必要はないでしょう。

役員の変更登記が必要になること

休業のデメリット2つ目は、役員変更登記が必要となる点です。

休業していて経営自体は行っていない場合でも、役員の任期は経過しています。株式会社において、役員の任期は最長10年です。役員の変更登記には期限が定められており「任期満了後、2週間以内に行う」ことが義務化されています。

万が一、2週間以内に手続きできなかった場合には、経営者(会社の代表者)に100万円以下の過料が課せられます。(※会社法976条によるもの)

みなし解散となる可能性もあること

休業を選択した際のデメリットの3つ目は、みなし解散となってしまう可能性もある点です。

そもそも「みなし解散」とは、12年間、登記に変更がない状態で経営の実情を把握できない場合に適用されます。「この会社は、もう運営していないんだな」とみなされて、登記上から無くなってしまうのです。

しかし通常であれば、役員の任期は最長でも10年となっているため「12年以上、登記の変更を行わない」ということは考えにくくなっています。

万が一、みなし解散となってしまった際には、3年以内であれば会社を継続することが可能です。そのためには、株主総会を開き、会社を継続するための決議をすることとなります。

会社を休業させる手続きとは?

さまざまな理由により、会社を休業させる意思が確定した場合には、どのような手続きを取らなければならないのでしょうか?ここからは、休業の手続きについて確認していきます。

  • すべての事業を停止する
  • 休業届を作成して、それぞれの場所に提出する
  • 休業届が受理される

ひとつずつ見ていきましょう。

すべての事業を停止する

まずは事業を停止することから始めます。すべての事業を停止するということは、例えば、工場の生産をストップさせたり販売活動・営業活動を中止したりするというだけではありません。

事務所の電話を受けて、対応することも「事業をしている」ことになってしまいます。電話の契約も休止させたり、郵便物の転送手続きなども忘れずに行って「収入・支出が一切ない状態」を作りましょう。

休業届の作成と提出

会社を休業させるための手続きとして、書類の作成と提出を行わなければなりません。

提出先提出する書類
都道府県または市区町村異動届出書
管轄税務署異動届出書
給与支払事務所などの廃止届出書
労働基準監督署労働保険確定保険料申告書
管轄年金事務所健康保険
厚生年金保険適用事業所全喪届
公共職業安定所雇用保険適用事業所廃止届

上記が、休業を行う際に必要な書類と、それぞれの提出先になります。「異動届出書」は2箇所に提出することとなりますので、注意が必要です。

休業届が受理される

提出した書類がすべて受理されると、事業がすべてストップすることになります。すべての書類を提出した後には、登記簿上でのみ、会社が存在している状態です。休業中は、役員の変更登記を忘れずに行うようにしましょう。

会社の休業には費用がかかる?

会社を休業する際に、自分自身で手続きを行う場合には費用がかかることはありません。

必要な書類にも費用が発生しませんし、それぞれの機関へ書類を提出するのも自身が行えば支出に繋がらずに済みます。休業だけでなく、経営を再開する際にも、費用は発生しませんので安心です。

しかし、上記でも解説した通り、休業中であっても固定資産税や法人住民税などの納税義務は継続していることを忘れないようにしましょう。

また、休業の手続きを専門家へと依頼するときには、相談費用や依頼費用などが別途かかります。一言で「専門家」と言っても、それぞれの事務所によって金額が大きく異なりますので、依頼する際には事前に確認をしましょう。

休業か廃業かを選択するためのポイント

会社の休業を検討している場合、多くの経営者が「廃業と休業、どちらにしようか」と悩んでしまうかもしれません。それぞれの会社の状況によって、どちらが良いのか変わってきます。

まず1つ目が、少しでも「経営再開の目処があるのか」という点です。例えば経営者の持病が悪化したという場合、入院や長期療養を余儀なくされたとしても、治療が終わり体調が回復すれば会社を続けることができます。

体調がすぐれないときには、どうしてもネガティブになってしまい「廃業」を選択する気持ちになってしまうかもしれません。

しかし、経営再開の可能性を残しておくことが、自身のモチベーションに繋がることもあります。

2つ目は、休眠会社を再開させた後、引き継いでくれる担い手がいるのかどうかという点です。

体調面だけではなく、年齢的な理由から「後継者が見つからなければ、立ち行かない状況」というケースも多いもの。事業を再開しても、後継者不在で経営の見通しが立たない場合には、廃業を選択する方が良いかもしれません。

3つ目のポイントは、企業に将来性を見いだせるかどうかという点です。時代のニーズに合っているのか?今後、経営を続けていく上で、事業の拡大は期待できるのか?ということも考えなければなりません。

経営不振で将来性がなく、今後も負債が拡大しそうなのであれば、休業しても状況は悪化してしまうでしょう。

会社の休業を検討するときにはM&Aを活用するのもおすすめ

会社を今後どうしていくべきか悩んだときには「休業」「廃業」の2つの選択肢だけではありません。M&Aで、買い手を見つけることもひとつの方法です。

廃業には多くの費用がかかってしまいますし、休業の場合は収入がゼロになってしまいます。

M&Aを活用して自身が経営している企業を買い取りたいという「買い手」が見つかれば、従業員の雇用も維持できますし、何よりも「売却益」を得ることができるのです。

赤字経営であっても買い手が見つかる可能性も十分にありますので、廃業や休業を考える前に、まずは1度M&Aを検討してみることがおすすめ。

PASONでは、業界最低水準の料金で、成約まで充実したサポートを行います。売り手側の企業は無料で利用できる点もポイントです。(※有料プランも有り)アフターフォローも万全ですので、まずはお気軽にご相談下さい。

まとめ|休業を考えた際にはM&Aも同時に検討してみよう

今回の記事では、何らかの事情によって会社を経営していくことが難しくなった場合に取るべき方法のひとつ「休業」について詳しく解説してきました。休業は、経営を再開する可能性がある場合に効果的な方法であることがわかりましたね。

廃業の場合、煩雑な手続きがあったり、まとまった費用も発生してします。しかし休業であれば、手続きも廃業ほど複雑ではありませんし、何よりいつでも事業を再開できるという点がメリットです。

ただし、気をつけておきたい注意点もあります。すべての事業を一旦ストップしても、法人税や固定資産税といった税金の支払い義務がなくなるわけではありません。

また、株式会社であれば「12年間」活動を停止していると「みなし解散」となってしまいます。みなし解散では、非常に面倒な手続きを取らなければならないため気をつけましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

監修者情報

笹本 拓実
笹本 拓実

2016年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後5年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、株式会社Joblabにて管理部長に就任、コーポレート部門全般を管掌。2023年に共同代表である板井 理と株式会社PASONを設立。
代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。