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事業承継・引継ぎ補助金とは?種類や申請方法・交付までの流れについて解説!

最終更新日:2024-04-10
事業承継・引継ぎ補助金とは? わかりやすく

会社を経営している人なら知っておきたい事業承継引継ぎ補助金。日本の経済発展を目的とした補助金制度となっています。

事業承継引継ぎ補助金について「よく目にすることはあるけれど、詳しい内容まではわからない」「補助金を受けるためには、どのような条件があるのだろう」とお悩みの方も多いかもしれません。

事業承継引継ぎ補助金を上手く活用することができれば、現在廃業を検討している企業も、事業の存続や今後の会社成長につなげていける可能性が高まるはずです。

そこで本記事では、事業承継引継ぎ補助金とはどのようなものなのか、種類や手順・申請方法などについて詳しく解説していきます。

事業承継引継ぎ補助金やM&Aを検討している方の参考になると幸いです。

事業承継・引継ぎ補助金とは?

事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継やM&Aを行う際に使われる経費や、引継ぎなどに必要となる費用を補うための補助金です。

現在の日本において、経営者の高齢化問題や後継者不在が大きな課題となっています。この問題を改善するために、事業承継をスムーズにして、費用の一部を負担するものです。

中小企業、または小規模事業者が、事業承継をきっかけとして再チャレンジ・再スタートが切れるようにサポートしてくれる補助金となっています。

個人事業主の申請も認められている点がポイントです。申請条件は、3年以上個人事業主を続けていることと、確定申告の際に「青色申告申請」を行っていることです。

2024年3月現在「9次募集」の要領公開が行われており、申請期間については、次の通りとなっています

交付申請受付期間:2024年4月1日~2024年4月30日の17:00

事業承継・引継ぎ補助金の背景とは?

事業承継・引継ぎ補助金は「2,000億円」という、非常に大きな予算が確保されている補助金です。この背景には、どのような事情があるのでしょうか。

上記でも触れましたが、現在の日本の経済において、中小企業における経営者の高齢化問題が深刻化し続けています。2024年現在、経営者の年齢層は「60代〜70代」がもっとも多くなっており、後継者不在に悩む企業も後を絶ちません。

経営者の高齢化に加えて、後継者不在の問題も重なり、黒字経営にも関わらず廃業を選択する企業が増え続けているのです。割合で見てみると、黒字廃業が61%、赤字で廃業する会社が39%となっています。(2020年時点の数字)

事業承継を成功させることができれば「廃業」する会社の数は、大きく減らすことができるのです。ひとつの企業が廃業した場合、その影響は予想以上に拡大することもあります。

特に主要の取引先だった企業などは、売上が大幅に減少し、廃業に追い込まれることも。この「負の連鎖」を断ち切るためにも、事業承継・引継ぎ補助金を活用して、日本経済の安定や成長につなげていく目的があります。

【申請枠】事業承継・引継ぎ補助金の3つの種類とは?

一言で「事業承継引継ぎ補助金」といっても、その種類は3つに分かれています。

  • 経営革新事業
  • 専門家活用事業
  • 廃業・再チャレンジ事業

ひとつずつ確認していきましょう。

経営革新事業

経営革新事業は「事業承継」や「M&A」の後に必要となる費用の補助であり、今後新たに経営革新に挑戦する中小企業などが主な対象者です。これに、小規模事業者や個人事業主なども含まれます。補助金の上限は「600万円〜800万円」と大きな金額となっているのが特徴。

一定額の賃上げを実施する場合には、上限が800万円まで引き上げられることとなり、補助率は1/2です。しかし「小規模」「営業利益率が低下」「赤字の場合」「再生事業者」のいずれかに該当するケースでは、2/3となります。

さらに「経営者交代類型」「創業支援類型」「M&A類型」の3つに分類されていますので、自分に合った条件のものを選ぶ必要があります。

経営革新事業で対象になる経費には、設備費や店舗などの借入費・広報費や旅費などが含まれています。

専門家活用事業

専門家活用事業とは、M&Aを行う際に必要な「専門家への依頼」の費用を支援する補助金です。対象となるのは、経営革新事業と同様に中小企業や小規模事業者・個人事業主となります。

これは「買い手側企業の支援」「売り手側企業の支援」どちらもありますので、M&Aを検討している場合には非常に活用しやすいのがポイント。

補助金の上限は600万円となっています。補助率に関しては、買手支援類型が2/3で売手支援類型が1/2です。しかし「赤字」「利益率の低下」に該当しているときには2/3の支援が適用されます。(M&Aが成立していない場合の上限は300万円)

専門家活用事業で対象となり得る経費は、謝金や旅費、システム手数料や外注・委託費です。

廃業・再チャレンジ事業

廃業・再チャレンジ事業とは、事業承継やM&Aの際に、廃業などによって必要となる「原状回復費用や在庫処分費用などを補う補助金です。

補助金の上限は150万円となっており、補助率は1/2または2/3。経営革新事業や専門家活用事業と比較すると、少なくなっているのが特徴です。

ただし、経営革新事業や専門家活用事業申請との併用することもできるので、その場合には補助金の上限に加算されることとなります。

対象になる経費に関しては、原状回復費用やリース解約費・廃業支援費や解体費などです。

事業承継・引継ぎ補助金の申請から交付までの流れとは?

事業承継・引継ぎ補助金には、申請期間が設けられています。締切があるため、公式サイトで逐一チェックするのがおすすめです。また、申請条件の確認なども併せて確認すると良いでしょう。

申請から交付までの大まかなスケジュールは、下記のようになります。

  1. 申込を行う
  2. 交付が決定する
  3. 補助事業の実施
  4. 事業内容や実績の報告を行う
  5. 補助金が交付される

このように、実際に補助金を受け取ることができるのは「事業を実施して、実績を報告した後」となりますので、資金の調整やスケジュール管理が大切です。

事業承継・引継ぎ補助金の申請方法とは?

続いて、申請方法について確認していきます。

申請は、経済産業省が運営している「jGrants(ジェイグランツ)」からのみ行うことが可能です。「jGrants」を利用するためには、あらかじめ「gBizIDプライム」のIDを持っていなければなりません。

「gBizID(ジービズアイディー)」の取得には、おおよそ2週間〜3週間程度かかりますので、事前に取得するようにしましょう。

jGrantsのページはこちら

gBizIDのページはこちら

  1. 申請予定の補助金の条件に該当しているかどうかの確認
  2. 認定経営革新等支援機関に相談する
  3. gBizIDアカウントを発行する
  4. gBizIDから「交付申請」「交付決定通知」が届く
  5. 補助対象事業を実施し、実績報告を行う
  6. 補助金が交付される

順番に確認していきましょう。

申請する補助金の条件に該当しているかどうか

補助金の利用を検討した場合には、最初に自身が補助金を受ける条件を満たしているかどうかの確認が必要となります。

それぞれの募集要項を再度確認し、理解を深めておきましょう。詳細は、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトからダウンロードすることができます。

認定経営革新等支援機関に相談する

経営革新事業、または廃業・再チャレンジ事業へ補助金の申請を行うときには、認定経営革新等支援機関へ相談が必要なケースもあります。

認定経営革新等支援機関とは、主に中小企業の支援を行う専門的な知識や実績(実務経験など)が一定の基準以上をクリアしている機関のことです。公認会計士や税理士、商工会などが挙げられます。

また、専門家活用事業への申請を行う場合には、認定経営革新等支援機関への相談は必要ありません。

gBizIDアカウントを発行する

続いて、gBizIDアカウントの発行です。上記でも触れましたが、アカウントが発行されるまでに2週間程度の期間が必要となります。スケジュールに余裕を持って取り組みましょう。

gBizIDアカウントの発行は無料で、jGrantsの利用にも費用はかかりません。補助金の申請を意識した段階で、事前にアカウントを発行しておくのがおすすめです。

アカウント作成に必要なのは、下記のものになります。

  • 3ヵ月以内に発行した印鑑証明書
  • 代表者の実印が押印された申請書
  • 代表者のメールアドレス
  • 代表者の電話番号(ショートメッセージが受信できるもの)

申請が承認された場合やアカウント認証の際に、メールアドレスや電話番号が必要です。間違えて登録してしまうと、連絡が取れなくなってしまうので、しっかり確認して登録を行いましょう。

gBizIDから「交付申請」「交付決定通知」が届く

gBizIDアカウントの取得後、申請サイトであるjGrantsへアクセスを行います。そのページから、交付申請の手続きに進んでください。この時、必要となる書類を手元に準備しておくと、スムーズに申請することができます。

その後、審査の期間を経て、採否結果が公表されます。結果は、中小企業庁または事務局ホームページ・jGrantsなどで確認することが可能です。

補助対象事業を実施し、実績報告を行う

無事に補助金の交付が決まったら、補助対象事業の実施に取り掛かります。事業の実施後に、実績報告書の提出が義務付けられており、原則として15日以内の提出です。

このとき、補助事業期間外に契約を結んだものや支払いを行ったものに関しては、対象外となり補助金が支給されない可能性もあります。

期日を守って、ミスのないよう報告書を作成するようにしましょう。

補助金が交付される

ミスなく適切な報告書を提出することができれば、補助金が交付されることになります。

まとめ|事業承継・引継ぎ補助金の活用で理想的なM&Aを実現

本記事では、事業承継・引継ぎ補助金とはどういったものなのか、種類や手順・申請方法などについて詳しく解説してきました。

事業承継・引継ぎ補助金は、現在の日本の経済において深刻な問題となっている「経営者の高齢化」や「後継者不在」の課題を打破するための重要な制度であることがわかりました。

申請に必要となるものも少なく、gBizIDアカウントを取得すれば、手軽に申請できるので安心です。ただし、申請には期限が設けられていますので、しっかりと確認しておきましょう。

補助金を上手く活用することができれば、廃業する企業も減少し、事業承継やM&Aの成功へとつながります。

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最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

監修者情報

笹本 拓実
笹本 拓実

2016年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後5年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、株式会社Joblabにて管理部長に就任、コーポレート部門全般を管掌。2023年に共同代表である板井 理と株式会社PASONを設立。
代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。