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M&A 事例・コラム

事業承継におけるリスクとは?解決策や現状も合わせて解説!

最終更新日:2024-04-15
事業承継 リスク

近年、中小企業においても事業承継が活発に行われていますが、さまざまな問題点やリスクも潜んでいます。

起こり得るリスクや解決策を事前に把握しておくことで、成功に導く可能性が高まるはずです。

また、スムーズに進まないときにも、最善の対応ができるでしょう。

また、さまざまな理由から「事業承継をしない」という選択をするケースもあるはずです。事業承継をしない場合に考えられるリスクについても気になるところではないでしょうか。

そこで本記事では、事業承継の現状やリスク・解決策などについて詳しく解説していきます。

事業承継を行うべきか検討している方の参考になると幸いです。

事業承継とは?

そもそも近年活発になっている「事業承継」とは、どのようなものなのでしょうか。

事業承継の意味は「会社や事業を現在の経営者から新たな経営者(後継者)へと引き継ぐこと」を指しています。

「承継」という言葉の中には、地位(役職)や事業を引き継ぐというだけではなく「精神」も引き継ぐという意味が込められています。

このことからもわかるように、経営権が後継者へと移動するというという意味だけではなく、それまで培ってきた社風や経営理念・前経営者の気持ちなども受け継ぐということです。

事業承継は主に、中小企業において行われることが多くなっています。

中小企業の大きな魅力のひとつには「経営者の人望や人柄」などがあるので、後継者選びに失敗してしまうと、一気に経営が傾いてしまうケースも。

事業承継を成功させるためにも、後継者選びが非常に重要な役割を果たすと言えるでしょう。

事業承継の現状とは?

2024年現在、中小企業における事業承継の現状は、かなり厳しい状態であると言い切ることができます。

売上や生産性が伸び悩んでいる中小企業が多く、経営を行う上で必要となる人材の確保も難しい状態がつづいています。

優秀な人材は、大手企業へと流れてしまうのが原因です。

また、中小企業の数は、年々減少傾向が続いています。

その理由はさまざまですが、大きな要因として挙げられるのは、経営者の高齢化や後継者不在の問題です。

また、将来性がない(時代の流れに合わなくなった)という理由から、廃業を選択するケースも多く見られます。

経営者の高齢化が深刻化しているという現状を表しているのが、下記の画像です。

上記の表は、東京商工リサーチによる「社長の平均年齢」と「後継者難による倒産件数」を示したものです。

一般企業の定年退職の年齢の多くは「60歳」となっているケースが多いはず。(現在は「65歳」という企業も増加傾向にあります)

しかし、中小企業の社長の平均年齢を確認してみると、2018年で「61.73歳」2022年には「63.02歳」まで上がっていることがわかります。これは、あくまでも「平均年齢」のため、さらに高齢の経営者が多数いることが理解できるでしょう。

また、後継者不在の問題も悪化の一途をたどっています。2018年に、後継者不在が原因となって倒産に追い込まれた企業が「277件」だったことに対し、2022年には「422件」まで増加。この数字は、わずか4年の間に約1.52倍になっているのです。

続いて、休廃業や解散手続きなどを行った中小企業の件数を確認していきます。

上記の表を見るとわかるように、過去10年間の間で「休廃業・解散・倒産」した中小企業の件数は、過去最高となっています。

経営者の高齢化によって、やむを得ず「休廃業」や「解散」を選択する企業が後を絶ちません。

会社の休業について、さらに詳しくチェックしたい方は、会社の休業とは?メリットやデメリット・手続きや費用について徹底解説!の記事を参考にしてください。

最後に、経営者の年代ごとの業績について見ていきましょう。

経営者(社長)の年齢が「40代」の中小企業は、比較的安定して利益を出し続けていることが見て取れます。その一方で、経営者が「70代以上」の会社の業績が、他の年代に比べて最も良くないことがわかるでしょう。

このことからもわかるように、中小企業の事業承継の現状は非常に厳しく、スムーズに進んでいないと言えるのです。

事業承継を行わない場合のリスクとは

ここからは、事業承継を行わない選択をした場合に起こり得るリスクについて解説していきます。

  • 廃業する際の費用が大きな負担になる
  • 従業員の雇用を守ることができない
  • 取引先などに影響を与えてしまう

ひとつずつ確認していきましょう。

廃業する際の費用が大きな負担になる

事業承継を行わない場合には、廃棄の手続きを取ることになります。この際、非常に大きなコストがかかるケースも多いので注意しなければなりません。

例えば、使用していた設備を処分する費用・従業員への退職金・建造物の原状回復費用などがあります。

万が一、会社に負債があった場合には、個人資産を手放さなければならないケースも。

廃業に必要な費用については、廃業に必要な手続きとは?事前準備や費用・メリットやデメリットについて解説!の記事で詳しく解説しています。

従業員の雇用を守ることができない

事業承継をしない場合に起こり得るリスクの2つ目は、従業員の雇用を守ることができない点です。

廃業した場合は、従業員は「退職する」という選択肢しかなくなります。

まだ若い年代であれば、次の就職先を見つけることも可能かもしれません。しかし高齢の従業員の場合には、再就職が難しく、正社員として働くことが困難になるケースもあります。

それまで従業員と築き上げてきた関係性が、崩れてしまうきっかけになることもあるでしょう。

取引先や顧客に影響を与えてしまう

3つ目のリスクは、お世話になった取引先や顧客に大きな影響を与えてしまうことです。

取引先においても、大きな契約相手であった場合、取引先までが経営難に陥ってしまい廃業してしまうケースも少なくありません。

廃業は、お客さまや取引先に多大な影響を与えてしまうため、早めに事業承継を検討しておくことが望ましいでしょう。

事業承継を行った際に起こり得るリスクとは?

続いては、事業承継を行った場合に起こり得るリスクについて確認していきます。

一言で「事業承継」と言っても「親族内承継」「親族外承継」「M&A」の3つの種類に分かれています。

詳しい内容については、親族外承継とは?親族内承継との違いやメリット・デメリットについて解説!の記事でご確認ください。

事業承継を行った際に起こり得る3つのリスク

  • 負債や個人保証も引き継いでしまう
  • 後継者への理解度が低いこともある
  • 相続の際に遺留分を主張される可能性がある

順番に見ていきましょう。

負債や個人保証も引き継いでしまう

ひとつ目のリスクは、負債や個人保証まで後継者に引き継がれてしまうことです。

業績自体は悪くない場合でも、設備投資などで大きな借り入れがあるケースもあります。経営難に見舞われている企業であれば、後継者にとって負担となるでしょう。

また、前経営者の個人名義で会社の資産を工面していることもあります。この場合、その資産の引き継ぎができない場合もあるため注意が必要です。

個人名義の資産(会社で使用している設備)の引き継ぎができない場合は、経営がスムーズに行えないだけでなく、新たに設備投資をしなければなりません。

後継者への理解度が低いこともある

事業承継におけるリスクの2つ目は、後継者への理解度が低く、新しい後継者と従業員の間でトラブルや対立が起こってしまう可能性もある点です。

後継者は、前経営者よりも年齢が若いはず。世代が違うと、考え方や方針などに違いが生まれます。

それに納得できない従業員が、一定数いる場合も多いでしょう。

対立だけに留まらず、大きなトラブルへと発展してしまい、退職者が出るケースも珍しくありません。

事前に話し合いや説明を重ね、後継者への理解度を高めておく必要があります。

相続の際に遺留分を主張されることも

3つ目のリスクは、相続時に遺留分を主張される場合もある点です。親族の中から後継者を選んだ際には、会社の資産を相続させることができます。

しかし、指名した後継者以外にも相続できる人物が複数人いる場合、遺留分を主張されるケースも少なくありません。後継者以外の相続人も、法律上、相続できる権利を持っているからです。

この場合、会社の株式が分散してしまうリスクや会社の資産に大きな影響を受け、経営が傾いてしまうこともあるでしょう。

遺留分について、さらに詳しくチェックしたい方は、事業承継における遺留分とは?民法特例の適用条件や手順を解説!の記事にまとめていますので参考にしてください。

事業承継におけるリスクの解決策とは?

スムーズな事業承継を行うためにも、あらかじめリスクは回避しておきたいものです。中小企業の事業承継において、厳しい状態が続いていますが、事前準備や対策によって成功へと近づきます。

  • 早い段階から準備を進めること
  • 現状の問題点を洗い出す
  • 信頼できる専門家に依頼する

ひとつずつ、解説していきます。

早い段階から準備を進めること

事業承継を行う場合には、早い段階から準備を進めることが大切です。M&Aであれば、半年〜1年程度の期間で事業承継を行うことができますが、一般的には5年〜10年かかります。

なぜ、これほど長い時間が必要となるのでしょう。

まず第一に、経営状況の改善に時間がかかります。そして、もっとも時間を要するのが「後継者となる人物の育成」です。

事業承継の準備は「まだ早いかな」ということはありません。通常業務と並行しながら時間をかけて行うものですので、早めに取り掛かるのが得策となるでしょう。

現状の問題点を洗い出す

解決策の2つ目は、問題点の洗い出しです。経営状況・財務状況を明確にし、事業承継をスムーズに進める準備が必要になります。

後継者にとっても、会社の現状をしっかり把握できれば不安も軽減され、リスクを最小限に抑えることが可能です。

信頼できる専門家に依頼する

3つ目は、信頼できる専門家に依頼することです。事業承継においては、さまざまな「法律」「税金」の問題が発生します。

専門家に依頼することで、業務への負担が減るだけでなく、円滑に事業承継を進めていくことができるのです。

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まとめ|事業承継のリスクは事前準備で回避できる

本記事では、中小企業における事業承継の現状やリスク・解決策について詳しく解説してきました。

中小企業における事業承継の現状は、非常に厳しく、スムーズに進んでいないことが分かりましたね.

中でも「経営者の高齢化」「後継者不在の問題」が深刻化し続けています。休廃業や解散する企業も増加の一途をたどっており、この流れを食い止めたいところです。

いくつかのリスクもありますが、事前準備をしっかりと行うことで、回避できるものが多くなっています。後継者の育成には、非常に多くの時間が必要となりますので、早めに取り組むことがポイントです。

あらゆる問題点をひとつずつ解決し、スムーズな事業承継を行いましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

監修者情報

板井 理
板井 理

2018年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後3年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、2023年に共同代表である笹本 拓実と株式会社PASONを設立。代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。