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後継者不足の効果的な解決策とは?後継者が不在になる原因も合わせて解説!

最終更新日:2024-03-30
後継者不足 解決策

近年、大きな問題として取り上げられている後継者不足問題。個人で事業を行っている経営者はもちろんのこと、中小企業においても、後継者不在で頭を悩ませている会社は多くなっています。その数は、年々増加の一途を辿っているのです。

「会社を残したい」という思いがあっても、以前のように、自身の家族がスムーズに会社を引き継いでくれる時代ではなくなってしまいました。

継いでくれる人が居ないという理由から、経営者の高齢化も進んでいます。今後、会社を存続させていくためには、どのような解決策があるのか気になるところです。

そこで今回の記事では、後継者不足の原因や現状・解決策や相談先について詳しく解説していきます。後継者不足で悩んでいる方の参考になると幸いです。

後継者不足とはどういう状況?

そもそも、後継者不足とは、どのような状況のことを指しているのでしょうか?

これは、会社を継いでくれる人材がいないことで、事業承継が行なえないという状況です。後継者が不在であることによって、経営者は年齢的に仕事をするのが厳しいという状況でも、仕事を続けているケースが多くなっています。

これによって、経営者の高齢化問題までもが浮き彫りになっているのです。

2019年に中小企業に対して行われた調査によると、後継者がすでに決定している企業は全体のわずか「12.5%」にとどまりました。

この数字だけ見ても、後継者が不在という現状が、非常に深刻だということがわかると思います。そして、さらに驚くのが廃業を予定している企業の数です。

後継者が見つからないこともあり、廃業を決意している経営者は「52.6%」にものぼりました。廃業を決めたと答えた企業の多くが、従業員1人〜4人の小規模な会社であったことが特徴です。

※参考:JFC 日本政策金融公庫

後継者不足に陥る主な原因とは?

中小企業の多くが後継者不足の問題に直面してしまう原因は、一体どのようなことなのでしょうか?主な要因として挙げられるのは、下記の4点です。

  • 少子化による後継者の減少
  • 事業の将来性に期待が持てない
  • 事業承継の対策遅れ
  • 親子間の関係が悪化しないための配慮

ひとつずつ確認していきましょう。

少子化による後継者の減少

主な原因の1つ目は、少子化によって後継ぎが不在であることが挙げられます。

昔は、子供の数が多く、後継者に困ることはありませんでした。子供が親の家業を継ぐことが「当然」であり、多くの兄弟の中から、家業を継ぐ者を選べた時代です。

しかし時代は変わり、子供を持たない夫婦も多くなりました。後継ぎ不在の問題は「子供を持たない」という選択をした夫婦が増えたことも影響しているでしょう。

事業の将来性に期待が持てない

事業の将来性に期待が持てないことも、後継者不足の原因と言えます。以前は多くの従業員を抱え、大きな売上を上げていた企業であっても、これからの時代に需要があるのか難しいところです。

時代の流れが早く、トレンドの移り変わりも激しいため、ニーズが減ることを予想してしまうケースもあります。これからの時代に生き残れないと判断すれば、事業を引き継ぐことを躊躇ってしまうのも無理はありません。

また、経営者自身が、将来性のない事業だと判断しているケースもあります。

事業承継の対策遅れ

事業承継には、多くの期間を費やさなければなりません。

意思確認だけで事業承継が行われるわけではないのです。業種や後継者のスキルなどにも左右されますが、その多くは5年〜10年の準備期間を経て行われます。

早い段階で対策を行わなければ、いざというときに手遅れになるケースも少なくありません。経営者に必要な知識や技術を身に付け、一人前の人材に育て上げるための期間を考慮すれば、1日も早く準備を始める必要があります。

親子間の関係が悪化しないための配慮

昔は、子どもが親の事業を引き継ぐことが当たり前という風潮がありました。

しかし、時代は変わり「子供には自由な選択をしてもらいたい」と考える経営者が多くなったことも、後継者不足に拍車がかかった原因のひとつです。

子どもに余計なプレッシャーを与えたくない、負担をかけてはいけないという思いから、後継ぎの話を避けているケースも。

また、子どもが引き継いだ後に経営が傾き、多額の負債を背負ってしまう可能性もあるのです。そうなれば、親子関係が悪化してしまうこともあるでしょう。そういったことから、後継者候補がいる場合でも、事業承継を断念することがあります。

後継者不足の5つの解決策

後継者不足を解決するためには、どのような方法があるのでしょうか?今では、さまざまな方法で事業承継を行うことが可能です。。ここからは、解決策を5つ紹介します。

  • 親族から後継者候補を探す
  • 従業員から優秀な人材を見つける
  • 事業引継ぎ支援センターを利用する
  • M&Aによる合併や株式譲渡を行う
  • 廃業を検討する

順番に確認していきましょう。

親族から後継者候補を探す

子どもへの引継ぎが難しいと判断した場合、身内や親族から後継者候補を探すのも方法のひとつです。

親族や身内への事業承継を行うことができれば、従業員からだけでなく、取引先の企業などからも理解を得やすいでしょう。

また、早い段階から後継者候補を見つけておくことで、時間をかけて教育することができるのです。親族であれば、普段から経営に必要なノウハウや知識を伝えることが可能なので、安心して事業を引き継ぐことができます。

しかし、親族の間で事業承継を行う場合には「相続税」や「贈与税」が発生してしまいますので負担になってしまうことも。事業承継を行う際には、専門家への相談が必要となるでしょう。

従業員から優秀な人材を見つける

従業員から後継者を見つけることも、後継者不足の解決策と言えます。

社内に優秀な人材がいる場合には、少しずつ話を進めるのもひとつの方法です。従業員であれば、仕事内容はしっかりと身についているため、育成にかかる時間を削減することもできます。

ただし、業務内容と経営者としての資質は別物です。経営に関するスキルは、しっかりと教え込み、育てることが望ましいでしょう。

従業員に会社を引き継ぐケースにおいても、さまざまな税金の問題は避けて通ることができません。どれだけの資金が必要になるかをチェックして、事業承継を行えるかどうかを判断することがカギとなります。

事業引継ぎ支援センターを利用する

3つ目の解決策は、事業引継ぎ支援センターを利用することです。

事業引継ぎ支援センターとは、中小企業の事業承継に特化した「相談窓口」になっています。国が設置しているため費用は一切かからないという点がメリットです。

事業承継相手の「マッチング」などを行ってくれたり、どのような問題で悩んでいるのかといった相談にも乗ってもらえます。日本各地に設置されていますので、気軽に足を運べることもポイント。

ただし、認知度はまだ低いため、実績が少なく、マッチングしづらい可能性もあるでしょう。

M&Aによる合併や株式譲渡を行う

解決策の4つ目は、M&Aで事業承継を行うことです。M&Aを行うことによって、会社を残すことができ、従業員の雇用問題も解決できます。

M&Aには、さまざまなメリットがあり、売却益を獲得することができたり理想的な後継者を見つけてもらえる可能性が高くなっているのです。

M&Aに特化した専門家に依頼すれば、トラブルに巻き込まれることもなく、アフターフォローも行ってもらえます。

M&Aの専門家には「弁護士」「税理士」「M&A仲介業者」などがあり、相談に乗ってもらえるのはもちろん、手続きのすべてを一任することができるのがポイント。

ただし、依頼する業者によっては高額な費用を請求されることもありますので、注意しなければなりません。

PASONは、中小企業(小規模案件)に特化したM&Aのマッチングプラットフォームです。月額使用料は、売り手側の企業であれば無料となっており、成功報酬もありません。

買い手側の企業においても、業界最低水準の料金を提供しております。充実したサポートやアフターフォローも万全!事業承継でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

廃業を検討する

最終手段として、廃業を検討することも解決策のひとつです。

経営者の中には、初めから「自分の代で店をたたむつもりでいた」と考えている人も少なくありません。ただし、一言で「廃業」と言っても、さまざまな費用が発生してしまうことを頭に入れておかなければならないでしょう。廃業によって必要になる費用は次の通りです。

  • 設備などの廃棄費用
  • 法的手続きにかかる費用
  • 従業員への退職金
  • 事務所や店舗の原状復帰費用

これだけでなく、債務がある場合には、返済にかかる費用も工面しなければなりません。

まとめ|後継者不足は深刻!ただし早い段階から取り組むことで解決につながる

今回の記事では、後継者不足とはどういう状況なのか?後継者不足に陥ってしまう主な原因や解決策について詳しく解説してきました。

中小企業において、後継者の不在が深刻化し続けていることがわかりましたね。すでに後継者が決まっている企業は、わずか12.5%。また、後継者が見つからない企業の52%以上が「廃棄」を考えているという実態が浮き彫りになりました。

廃棄には、さまざまな費用がかかってきますので、M&Aの専門家に依頼したり、事業引継ぎ支援センターを利用するのもひとつの方法です。

後継者を育成するためには、一般的に5年〜10年の期間が必要だと言われています。

早い段階で後継者候補を見つけて、育成していくことが後継者不足を解決に導くカギとなることは間違いありません。今回紹介した解決策を参考にして、自社にとって最良の方法を見つけてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

監修者情報

笹本 拓実
笹本 拓実

2016年度公認会計士試験に合格後、EY新日本有限責任監査法人札幌事務所に入社、その後5年間法定の会計監査業務に従事。
2022年に退職し、株式会社Joblabにて管理部長に就任、コーポレート部門全般を管掌。2023年に共同代表である板井 理と株式会社PASONを設立。
代表取締役に就任し、小規模M&Aに特化したマッチングプラットフォームサービス「PASON」を運営している。