LOI(レターオブインテント)の意味とは?MOUとの違いや記載内容を解説!
最終更新日:2024-03-30LOI(レターオブインテント)とは、M&Aを行う際に必要となる、重要な書類のひとつです。「MOUとの違いはどんなところ?」「どのような事柄を記載すれば良いのだろう?」と言った疑問をお持ちの方も多いかもしれません。
M&Aをスムーズに進めていくにあたり「売り手側」「買い手側」双方にとって、重要な役割を果たすこととなりますので、しっかり理解しておくべき書類のひとつです。
そこで今回の記事では、LOI(レターオブインテント)の意味やMOUとの違い・記載内容などについて詳しく解説していきます。LOIについて理解を深められる内容となっておりますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
LOIの意味とは?
LOIは「Letter of Intent」の略であり「レターオブインテント」と呼ばれています。
日本語では「意向表明書」を表す言葉です。買い手側の企業が、売り手側の企業に対して「会社を買い取ります」という意思表示をした書類となっています。
ここには、買い手側の希望条件などが記載されているのが一般的です。LOIは、M&Aを行う際に、必ずしも必要となる書類ではありません。
買い手側の企業が、意向表明書の提示を省略するケースもあります。省略される主なケースとしては、買収にあたり、競合相手がいない場合。
または元々面識のある企業同士であり、合意の上でM&Aが行われる場合などがあります。また、小規模M&Aや個人M&Aのケースでも、省略されることがあるでしょう。
しかしLOIを提出することによって、交渉がスムーズになったり、手続きが滞りなく進む効果にも期待が持てるのです。
LOIとMOUの違いは?
LOIと同じような意味を持つ言葉として「MOU」があります。ここからは、LOIとMOUの違いについて確認していきましょう。
MOUとは「Memorandum of Understanding」を略した言葉となっており、日本語では「基本合意書」または「了解覚書」などと呼ばれている書類です。
LOIとMOUでは、記載される内容に共通する部分がある一方で、異なる部分も存在しています。大きな違いは、下記の3つです。
- 締結するタイミング(順番)の違い
- 記載内容の違い
- 売り手側・買い手側の合意の有無
まず、締結するタイミングの違いについて。LOI(レターオブインテント)は、買い手側の企業が、売り手側の企業に「希望」を伝える書類です。
これは、会社のトップが面談した後に締結されることとなります。(省略されるケースも有り)その後、交渉が進んでいく中でMOU(メモランダムオブアンダスタンディング)の締結が交わされることとなるのです。MOUは、買い手側・売り手側の双方の企業が合意した後に締結されることとなります。
記載内容の違いについて。LOI(レターオブインテント)には、買い手側の希望する細かい条件についてや従業員への待遇面・買収価格やM&Aの手法などが記載されることとなります。
一方でMOU(メモランダムオブアンダスタンディング)には、双方の話し合いによって決定された、最終的な契約書に近い内容が記載されるのです。
どのような手法でM&Aが行われることとなるのか、実際の日程はいつになるのか、DD(デューデリジェンス)の内容についてなどとなります。
最後に売り手側・買い手側の合意の有無について。LOI「意向表明書」では、買い手側の希望が記載されているため、全て「買い手側の意志」になります。
その一方でMOUの場合は「基本合意書」ですので、売り手側・買い手側双方の合意が必要不可欠です。
MOU(Memorandum of Understanding)についての詳しい内容は、MOUの意味とは?作成する目的や締結するタイミングについて解説!の記事で紹介しています。気になる方は是非チェックしてみてください。
LOIを締結する目的とは?
ここからは、LOIを締結する目的について解説していきます。上記で述べた通り、LOIを締結することによって交渉がスムーズになったりM&Aの手続きがスムーズになりますが、LOIの締結は必須ではありません。
LOIの目的にはいくつかの理由があります。まず、買い手側側の企業において最大の目的となる点は、独占交渉権を設定することです。
これは一定期間、売り手側の企業が、他の企業と交渉する権利を禁止するものとなります。
売り手側の気持ちとしては、いくつかの企業を比較して、もっとも条件の良い会社に決めたいところ。しかしそれでは、買い手側の企業が不利になってしまいます。
買い手側は、何としてもM&Aを成功へと導くために、大きなコストと時間を費やしているため他の企業と比較されるのは望ましいことではありません。
一方で売り手側の企業の目的は、DD(デューデリジェンス)によって、会社内部の重要な情報が外部に開示されてしまうリスクがあります。
買い手側の企業が提示する内容が、その対価に見合ったものかどうかを判断するためにも、LOIを締結して交渉を進めていくのです。
双方の立場を揃え、同じ目線でM&Aを進行するために、重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
LOIに記載する内容とは?
続いては、LOIに記載すべき内容について紹介していきます。全てがこれに当てはまるわけではありませんが、一般的には下記の7点が記載されることとなるでしょう。
- 買い手側企業の情報
- M&Aのスキーム
- 買収金額
- クロージングまでの今後のスケジュール
- デューデリジェンスを実施する権利について
- 独占交渉権の詳細(期間なども含む)
- 秘密保持義務について
順番に確認していきましょう。
買い手側企業の情報
買い手側企業の情報には「代表者名」「事業内容」「系列会社(グループ企業)」「これまでの沿革」「資本金」など、基本的な概要を記載するのが一般的です。このときに、財務状況を記載するケースもあります。
M&Aのスキーム
買い手側が希望するM&Aのスキーム(提携の形態)もLOIに記載します。M&Aのスキームとは「事業譲渡」「株式譲渡」「会社分割」などがあり、買い手側の企業が、どの手法を希望しているのかを明確に伝えます。
買収金額
売り手側の企業がもっとも気になる「買収金額」の記載も忘れてはいけません。希望買収金額の提示では一般的に「〇〇円〜〇〇円」といったように、明確な数字ではなく下限額を設定することで、売り手側の企業が交渉できる書き方をします。
このような提示の仕方をすることによって、複数の企業が買収に乗り出している場合に「買収額は交渉可能」という姿勢をアピールできるのです。
クロージングまでの今後のスケジュール
クロージングとは、最終契約書(DA)締結後の引き渡しや、支払いまでの日程のことです。大まかな希望スケジュールを提示し、売り手側の企業とすり合わせを行います。具体的なスケジュールの記載例は下記の通りです。
- LOI(レターオブインテント)を提出する
※ここで売り手側の企業と交渉・条件のすり合わせ - MOUを締結する日程
- DD(デューデリジェンス)を実施する日程
- 最終契約書(DA)を締結する日程
双方のスケジュールを共有することによって、今後の話し合いが円滑に行われることとなる、重要なものとなります。
デューデリジェンス(DD)を実施する権利について
デューデリジェンスは本来であれば、MOU(基本合意書)の締結後に実施されるのが一般的です。しかし、LOIを締結する段階でDDを実施する権利を得ることは、M&Aを成功へと導く大きな鍵となります。
売り手企業の将来性・財務状況・コンプライアンスにおける情報を知らなければ、買い手側企業にとって、リスクが重くのしかかることになるのです。DDを実施することで、M&Aが白紙になるケースもあるほど重要なポイントとなります。
独占交渉権の詳細(期間も含む)
買い手側の企業は、競合相手との比較を防ぐためにも「独占交渉権」を依頼します。
M&Aの交渉の段階で、買い手側の企業は時間やコスト(DDに必要な費用など)がかかっているため、売り手側の企業が他の企業とM&Aを行ってしまうと大きな損失になるのです。
独占交渉権を依頼して、他社との交渉を禁止するのが一般的。このときに、期間も明記する必要があるでしょう。
秘密保持義務について
秘密保持とは、M&Aにおいて非常に重要なポイントとなります。M&Aを検討していることが外部に漏れてしまうと、双方の企業にとって大きなリスクとなることは明らかです。
機密情報を、決して外部に漏らさないことを約束しておくことが必須となります。
LOIを提示するときの注意点とは?
LOIを提示する際の注意点にはどのようなことがあるのでしょうか?最初の「意思表示」となりますので、今後のM&Aを進める上で、重要なポイントとなることは間違いありません。細心の注意を払って作成するようにしましょう。
- 記載内容に問題はないかどうか
- 提出期限を守ること
- 誠実な態度で交渉に臨むこと
- 疑問点や不安がある場合には専門家に依頼すること
ひとつずつ解説していきます。
記載内容に問題はないかどうか
記載内容に間違いがあれば、スタート時点で信用を失ってしまうことになりかねません。買収額は本当に妥当なものなのか?独占交渉権の期間は長すぎないか?取引内容に不備はないかなど、細かくチェックすることが大切です。
提出期限を守ること
売り手側との信頼関係を築くためにも、提出期限を守ることは必須となります。LOIの提出期限を提示された場合には、しっかり守ることを心がけましょう。
このとき注意しなければならないポイントは、M&Aを急ぐあまり、期限よりも大幅に早く提出してしまうことです。
早すぎると、外部に機密情報が流れてしまう恐れもありますので、適切なタイミングで提出するようにしましょう。
誠実な態度で交渉に臨むこと
買い手側・売り手側の立場に上下関係はありません。対等な立場であるということを念頭に置き、誠実な態度で交渉を行いましょう。また、熱意を伝えることも重要です。
誠意と熱意を伝え、自社のアピールに全力を注ぐことが大切。買収金額だけでなく、M&Aを成功させるためには、経営者の「人柄」なども参考にしているケースが多いものです。真摯な態度で交渉を進めましょう。
疑問点や不安がある場合には専門家に相談する
「適切な買収金額がわからない」「必要書類に不備がないか不安だ」という場合には、速やかに専門家に相談することがおすすめです。
明確な金額を提示してくれるのはもちろん、書類の最終チェックや交渉のアドバイスなども行ってくれます。M&Aを成功させるためには、その分野のプロにサポートしてもらうことが望ましいと言えるでしょう。
PASONは、M&Aに特化したマッチングプラットフォームです。些細な疑問点やM&Aについての不安など、どんな小さなことでも全力でサポートします。ご相談は無料で行っておりますので、ぜひお問い合わせください。
まとめ|LOIはM&Aにおいての土台!成功への重要なプロセスとなる
今回の記事では、LOI(レターオブインテント)の意味やMOUとの違い・目的や注意点などについて詳しく解説してきました。
法的な効力はなく、省略することも可能な意向表明書ですが、M&Aをスムーズ且つ効果的に進めていく上で非常に重要な書類であることがわかりましたね。
また、MOUとの違いは大きく分けると3つあり「タイミング」「記載内容」「合意の有無」となっていました。混同しやすい言葉ですが、果たす役割が異なりますので、しっかり理解しておきましょう。
注意点としては、買収金額が適切かどうか?書類のミスはないかなどに気をつけなければなりません。
これは、専門知識がなければ判断が難しい場合もあります。疑問点や不安がある際には、専門家への依頼がおすすめです。
M&Aを成功させるために、信頼できる専門家を見つけて、スムーズに交渉を進められるようにしましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。