個人で後継者のいない会社を買う方法とは?10万円でも会社を買えるのか解説!
最終更新日:2024-06-03昨今、後継者のいない会社を買収する中小企業を対象にした事業承継が注目され始めています。
その理由は、親族内承継の減少や会社経営者の高齢化といった社会情勢にあります。
またその他の要因として、M&Aマッチングサイトの登場や事業承継・引継ぎ支援センターなどが整備されたことも要因のひとつ。
この記事では、後継者がいない会社を買うことのメリットや注意点、会社を買う方法などを解説していきます。
目次
なぜ今後継者のいない会社を買う事例が増えているのか
近年日本では、少子高齢化が問題となっています。
高齢化が進行しているうえに、少子化などによって親族内継承が減少傾向です。これらの要因で、後継者不足問題が増加しているため、後継者の存在しない会社を買う事例が増加してきています。
大手信用調査会社である帝国データバンクが公表した2023年「後継者不在率」動向調査では、2011年から2020年の間の後継者不在率は65%前後でした。
しかし、2023年の全国の後継者不在率は53.9%となっており、改善の兆しが見えています。
その理由は、近年各自治体と地域金融機関をはじめとする事業承継の相談窓口が普及したことが主な理由です。
その他に、第三者へのM&Aや事業譲渡など事業承継の支援体制が整備されたことなどが挙げられるでしょう。
会社経営者の高齢化が進んでいる
会社経営者の高齢化が進んでいて、後継者不足と合わせてとても深刻な問題です。
帝国データバンクによる2023年の調査によると、2023年の社長の平均年齢は60.8歳となっており高齢化は年ごとに進んでいます。
また70代もしくは80代まで年を重ねると、体力的または健康面によって経営が難しくなるのは必然。
そうなってしまうと、さらに後継者を探すことも難しくなっていくため、廃業のリスクが大きくなります。
企業を存続させたいと考える場合は、事前に後継者の育成や事業継承を行う準備をする必要があるでしょう。
親族内承継の減少している
親族内継承が減少しているという点も、後継者のいない会社を買う事例が増加している理由の1つです。
株式会社帝国データバンクが公表した2023年の動向調査では、2021年までは、後継者候補として「子供」が一番割合の高かった回答でした。
しかし、2022年は「非同族」が36.1%で首位となりました。またその翌年である2023年も「非同族」が37.5%で首位となっています。
コロナによる業績悪化
近年の中小企業におけるM&Aが増加した理由として、2020年ごろから始まったコロナ禍の影響による業績の悪化があげられます。
またそれによって、後継者不在となった企業も増加しました。
少子高齢化によって親族内で後継者がいないケースも多く、第三者による事業承継のニーズが高まっているため、M&Aによる事業承継の割合が増加しています。
このような状況をうけ、経済産業省は2021年に中小M&A推進計画をとりまとめ、国によるM&Aの支援が進められています。
個人でも10万円で後継者のいない会社を購入できる
現在後継者のいない会社は数多く存在しますが、法人のみならず、個人でも後継者のいない会社を購入することができます。
しかし、最低限M&Aに関係する知識はつけておく必要があるといえるでしょう。
これまでM&Aは企業同士のものと思われて来ましたが、近年では、個人が会社を買収し、経営者としてビジネスを成功させる例が増えています。
M&Aといえば規模が大きい取引を想定してしまいがちですが、10万円〜100万円程度の資金で事業承継を行うスモールM&Aや譲渡価格が0円というM&Aの案件も多く存在しています。
安価である会社は、赤字であったり借金を抱えているなどのケースが多いのも事実。
しかし、安価であるからといって必ずしもこのようなリスクがあるわけではありません。
後継者不足で困っていて、なんとか会社の伝統やブランドを残したい経営者が0円譲渡するケースも少なくありません。
また、何らかの理由で急に会社を手放さなければならなくなったケースでも、0円譲渡やスモールM&Aになる場合が多々あります。
そのため、しっかりと情報を精査し見極めることによって、個人においてもスモールM&Aを成功させる可能性は十分にあると言えるでしょう。
スモールM&Aが増加している理由は、後継者不足などによって買い手市場となっていることが要因のひとつ。
スモールM&Aについて詳しく知りたい方はスモールM&Aの意味とは?マイクロM&Aとの違いやメリット・デメリットを徹底解説にて解説していますので、チェックしてみてください。
後継者のいない会社を買うメリット
後継者のいない会社を買うメリットは、主に以下の3点です。
- 低いリスクで事業を始める事ができる
- 会社の資産を引き継ぐ事ができる
- 低コストで起業することができる
それぞれ解説していきます。
低いリスクで事業を始める事ができる
低いリスクで事業を始める事ができる点は、後継者のいない会社を買うメリットの1つです。
会社をゼロから立ち上げて事業を作り、マネタイズまで行わなければ会社として成り立ちません。
始めた事業が上手くいくのであれば、問題は発生しませんが、すべての事業が上手くいくとは限りません。
しかし、後継者のいない会社を購入する場合は、事業自体はすでに存在しているため買収してすぐに売上げを得る事ができます。
一般的には、ゼロから事業を始めるより、ある程度道筋の見えている状態で事業を改善していく方が成功しやすいのが現状です。
そのためM&Aを実施して会社を購入するほうが、経営者としてやりやすい状態と言えるため、その分ゼロから事業を始めるより低いリスクで事業を始める事ができます。
会社の資産を引き継ぐ事ができる
後継者のいない会社を買うメリットとしてあげられるのは、売手企業が保有しているノウハウや従業員、優れた技術などのリソースを継承できる点です。
ゼロからそのような技術や従業員、取引先などを用意しようと考えるとそれ相応の時間と費用がかかってしまいます。
また廃業してしまった場合は、貴重ともいえる技術や経営資源の消失に繋がってしまうため、マクロな観点で言えば日本経済にも悪い影響を及ぼしてしまいます。
低コストで起業することができる
会社を作るには、時間のみならずオフィスを用意したり登記にかかる費用など、ある程度まとまった資金が必要になります。
さらに事業のために必要になる人材の採用を行ったり、金融機関から借入を行う場合も。
そのため買収費用は必要になりますが、そのような初期投資を大きく削減できる点が、後継者のいない会社を買うメリットです。
買収を行う際に掛かる費用は主に「買収費」「仲介手数料」「デューデリジェンス費」「登記費」「税金」などがあります。
買収にかかる費用は、買収を行う企業や事業により変わりますが、個人が行うM&Aでは50万円〜500万円程度が目安です。
デューデリジェンス(DD)とは、売手側から提出された資料に基づいて、価値やリスクを調査することを指します。
このデューデリジェンスは義務ではありませんが、買収後に簿外債務を発見したり不適切な財務管理などを防ぐためにも実施しておくべきと言えるでしょう。
また、デューデリジェンスについて詳しく知りたい方はDD(デューデリジェンス)とは?意味や種類、実施するタイミングについて解説にて解説しています。
後継者のいない会社を買う注意点
後継者のいない会社を買う場合は、以下の2点に注意する必要があります。
- 簿外債務のリスクがある
- 従業員や取引先を引き継げない可能性がある
それぞれ解説していきます。
簿外債務のリスクがある
後継者のいない会社のみだけではなく、M&Aを実施する際は簿外債務のリスクに注意する必要があります。
簿外債務とは、貸借対照表に記載されていない債務のことです。
これが発生する原因は、主に中小企業と上場企業の会計基準が異なっているため。
中小企業の財務諸表は、税務会計の基準に基づいて作成される事が一般的です。
そのため税務会計の基準では、支払額が定まっていない「今後発生する費用」については費用化されない事が多く、簿外債務が発生することになります。
このようなリスクを最小限に抑えるためには、デューデリジェンスなどの調査を実施することが大切です。
また未払い残業代や退職給付引当金などの偶発債務と言われるものも確認する必要も。
これらの発見できていない簿外債務は、買収価格に反映されていないため、このような隠れ債務に注意が必要です。
不安な要素がある場合は、M&Aの専門家に相談を行うことでリスクを低減することができるでしょう。
従業員や取引先を引き継げない可能性がある
経営者の交代によって、従業員や取引先が離れてしまう可能性も考慮しなければなりません。
この注意点も、後継者のいない会社のみならずM&Aを実施する際には気を付ける必要があります。
経営者の交代は、従業員にとってとても大きな要素です。
これから経営方針がどう変わるのか、従業員の待遇はどのように変わるのかなど、不安に思う要素が多いはず。
買収前から従業員とコミュニケーションを取り、今後の方針を示しておくことで、リスクを防ぐことができます。
また取引先についても、ゼロから信頼関係を築く必要があるためそれなりの労力を割く必要がある点には注意が必要です。
後継者のいない会社を買う方法
会社を買う方法は主に以下の3つの方法があります。
- M&Aマッチングサイト
- 事業承継・引継ぎ支援センター
それぞれ解説していきます。
M&Aマッチングサイト
M&Aマッチングサイトとは、企業の合併や買収(M&A)を支援するためのオンラインプラットフォームです。
これは売却を希望する企業と、買収を希望する企業または投資家をマッチングさせるためのもの。
また法人のみならず個人でも利用できるサイトも数多くあり、比較的安価な金額で利用することができます。
M&Aマッチングサイトによりますが、デューデリジェンスやM&Aに詳しい専門家による「法務」「財務」「税務」などに関する助言を受けることができます。
事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターとは、事業承継・引継ぎのワンストップ支援をする目的で設置された国の機関です。
事業承継・引継ぎ支援センターに登録を行うと案件の承継を受ける事ができ、M&Aの専門家による助言やマッチングについての支援を受ける事ができます。
また、この機関で行われている事業の1つに、後継者人材バンクというものがあります。
これは、後継者不足である売手企業と起業家を引き合わせて、M&Aなどを通して事業承継を推し進めるための事業です。
このような事業承継・引継ぎ支援センターは、全国各地にあり、どこでも相談ができます。
税理士などの専門家に無料相談できる点がメリットですが、直接的にM&A仲介や交渉をしてもらえるわけではない点には注意する必要があるでしょう。
まとめ│事業承継は増加傾向にある
ここまで後継者のいない会社を買う事について解説してきました。
日本では、少子高齢化やコロナなどで、親族内継承の減少やコロナによる業績悪化にともない後継者の減少が起きています。
これまで会社を買うという行為は、大企業が行うイメージがありましたが、最近は個人が会社を購入し、ビジネスを成功させる例も増加傾向です。
後継者のいない会社を買うメリットは主に、ゼロから事業を始めるのに比べて低いリスクとコストで始められること。
一方で注意するべき部分は、簿外債務のリスクや従業員または取引先を引き継げない可能性がある点です。
後継者のいない会社を買うには、M&Aマッチングサイトを利用したり、事業承継・引継ぎ支援センターを利用するのが一般的。
後継者不在によって優れた技術やノウハウが消失してしまうのは、経済にとってもマイナスと言えるため、国は事業承継を推進するために様々な施策を行っています。
このような施策の認知が進み、現在では事業承継の件数は増加傾向にあると言えるでしょう。
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