エグゼキューションの意味とは?オリジネーションとの違いや注意点を解説!
最終更新日:2024-05-17M&Aにおいての「エグゼキューション」には、どのような意味があるのでしょうか。エグゼキューションとは、M&Aにおいて、一連の事務手続きやその管理などを表している言葉です。
日本語では「実行」を指した言葉となっており、事業承継などを検討している場合には、手続きを円滑に進めていくためにも覚えておきたい用語のひとつ。
エグゼキューションは、M&Aを行う上で、非常に重要な役割を果たすものとなります。また、混同しやすい「オリジネーション」との違いは、どのようなことなのでしょうか。
そこで今回の記事では、M&Aにおけるエグゼキューションの意味や手続き・流れ、注意点について詳しく解説していきます。
目次
エグゼキューションの意味とは?
エグゼキューション(Execution)の意味は、日本語で「実行」です。M&Aにおける「実行」とは、どのようなことを指しているのでしょうか?
それが、2つ以上の会社がひとつになること。「合併と買収」ですので、売り手側企業と買い手側企業の合意のもと、交渉段階からクロージングまでの「M&Aにおける中盤〜後半部分」の業務を指した言葉です。
主に、仲介業者のアドバイザーによって使用されている専門用語ですが、M&Aをスムーズに進めていくために内容を理解しておくと良いでしょう。
M&A業務の中でも、専門的な知識が必要となる重要な部分となりますので、会計士または弁護士などの専門家に依頼することがおすすめです。
オリジネーションとの違いとは?
エグゼキューションと混同しやすい言葉のひとつに「オリジネーション」があります。エグゼキューションとオリジネーションの違いは、どういったところにあるのでしょうか?
オリジネーションとは、一連のM&A業務における「前半部分」を指している言葉です。エグゼキューションと同様、仲介業者が使用する用語となっています。
案件の発掘や「売り手側」「買い手側」双方にふさわしい相手を探し出すマッチングを行い、M&Aの提案を行っていく業務です。
オリジネーションについての詳細は、M&Aにおけるオリジネーションの意味とは?目的や流れ・注意点について解説!の記事で紹介しています。気になる方はチェックしてみてください。
M&Aにおけるエグゼキューションの業務と流れ
ここからは、M&Aにおけるエグゼキューションの流れについて確認していきましょう。
一連のM&A業務における「中盤〜後半部分」を占めている重要な役割を果たしているため、非常に長い工程となっています。
エグゼキューション業務は大きく分けて、下記の7つです。
- M&Aストラクチャー(スキーム)の検討を行う
- 企業価値の評価(バリュエーション)の実施
- 交渉
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスを行う
- 最終交渉および最終契約を締結する
- クロージング
ひとつずつ見ていきましょう。
M&Aストラクチャー(スキーム)の検討
オリジネーションの段階で、売り手側・買い手側双方のマッチング後は、どのような方法でM&Aを進めていくのが適切なのかを検討します。
M&Aでもっとも多く使われる方法は「株式譲渡」となっていますが、それ以外にも「合併」や「事業譲渡」、「会社分割」などがありますので、最適な手法を選ぶことがポイントです。
ただし、交渉中にスキームを変更しなければならないケースもありますので、いくつかのプランを準備しておくのが良いでしょう。
企業価値の評価(バリュエーション)
どの方法でM&Aを進めていくべきか決定した後は、企業価値の評価をします。
売り手側企業には、どれほどの金銭的な価値があるかについての判断が行われるのです。
企業価値算定は、買い手側の企業にとってもっとも重要な判断材料となることは間違いありません。
一方で、売り手側の企業も、自社の価値を正確に知っておく必要があります。なぜなら、価格交渉の際に、強い根拠を示す材料となるからです。
企業価値は、目に見えている資産だけではなく、将来性や知名度・ブランド力などの不確定要素も加味された金額となるのが特徴と言えるでしょう。
交渉
交渉は、まず双方の経営者同士で行われることとなります。
交渉の内容は、条件についてや売買価格・今後のスケジュールなどの調整が一般的です。また、従業員の雇用・取引先についてなど、具体的な内容も話し合われることとなります。
ここでは双方の経営者の人間性なども注意深く観察し、信頼できる相手かどうか、M&Aを進めても良い企業なのかを判断することになるでしょう。
経営者同士の話し合いがうまくまとまらなかった場合、この時点で交渉が決裂する可能性もあります。
基本合意書の締結
交渉の際に話し合われた条件に双方が納得した場合は、基本合意書の締結が行われます。これは、他社と交渉されないための「独占交渉権」を得るためや、今後のスケジュールの見通し・秘密保持などを目的として締結されるのが一般的。
しかし、これが最終的な決定とはならないため、後の「最終交渉」の際に変更することも可能です。
デューデリジェンスを行う
基本合意書の締結が完了したら、続いて行われるのがデューデリジェンス(DD)です。
デューデリジェンスとは、買い手側の企業が売り手側の企業について「財務状況」や「経営戦略」など、さまざまな角度から綿密に調査すること。
これから買収する企業に何か問題点はないか、将来性はあるのか、予想しているシナジー効果は発揮できるかなどをチェックしていきます。
DDは非常に範囲が広く、エグゼキューションの中でも専門性の高い部分となっていますので、信頼できる専門家に調査を依頼するようにしましょう。
最終交渉および最終契約を結ぶ
デューデリジェンスで調査を行った結果に問題がなければ、最終交渉・最終契約へとうつります。
問題があったときには、売買価格についての再検討が行われたり、最悪の場合には交渉が決裂する可能性も。
最終契約書が締結されたら、その後は条件や売買価格の変更などができなくなります。これで、M&Aが成約することになるのです。
クロージング
エグゼキューション業務の最後は、クロージングです。ここでは、締結された最終契約書に基づいて、経営権や事業などを移管したり対価の支払いなどが行われます。
どの方法(株式譲渡・事業譲渡・合併など)でM&Aが行われたのかによって、クロージング手続きは大きく異なります。
漏れのないよう、細心の注意を払って進めなければならない業務です。
M&Aにおけるエグゼキューションの注意点
エグゼキューションの流れについて確認してきましたが、ここからは注意点について解説していきます。
- 売り手・買い手どちらも納得できる形で合意を行う
- スケジュール調整が重要なポイント
- 専門家のサポートを得ること
ひとつずつ見ていきましょう。
売り手側・買い手側が納得のいく形で合意を行う
注意点の1つ目は、双方が納得できる条件で合意を行うことです。
M&Aを行う上で、売り手側と買い手側の要求がピッタリと一致することはまずあり得ません。どちらの企業も、譲れる条件を提示したり許容範囲を設定することが必要です。
どちらの企業にとってもメリットを生み出し、納得できる形で合意することが大切。そのためには、密にコミュニケーションを取り、何度も交渉を重ねることが重要です。
スケジュール調整が重要
注意点の2つ目は、スケジュール調整をしっかりと行う点です。エグゼキューションは、コストはもちろん、非常に多くの時間が必要になるため通常業務に影響を及ぼすケースも少なくありません。
交渉などの業務にかかりっきりになってしまうと、会社の売上が下がってしまったり取引先に迷惑をかけてしまう可能性も。
本来の通常業務を滞りなく行えるようなスケジュール調整をし、円滑にエグゼキューションを進めていきましょう。
専門家のサポートを得ること
M&Aを成功させるためには、専門家のサポートが欠かせません。
企業の価値算定や契約書の作成、交渉方法などは、専門的な知識が必要となります。特にデューデリジェンスにおいては、税務や法務なども関わってくるので、信頼できる仲介業者を探すようにしましょう。
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まとめ|エグゼキューションはM&A成功への重要なプロセス
本記事では、エグゼキューションの意味やオリジネーションとの違い、流れや注意点について詳しく解説してきました。
一連のM&A業務においての「中盤〜後半部分」を指した言葉であり、非常に専門性の高い内容であることがわかりましたね。
専門家のサポートを得ながら、スムーズに進めていけるようしっかり準備しましょう。
また、スケジュール調整も大切です。通常業務に支障が出てしまうと、会社の業績が下がったり、取引先の信用を失う可能性もあります。
無理のないスケジュールを組み、専門家と力を合わせて円滑なM&Aを進めていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。