【2024年最新】IT導入補助金とは?申請条件や変更点を解説
最終更新日:2024-06-23コロナ禍以降、人の動きが変わりさまざまな面で効率化が図られています。
企業としては、人手不足の解消やテレワークなどの業務効率化にIT導入が欠かせません。
しかし、IT機器の導入には多額の費用がかかります。
コストの面で躊躇している経営者の方は少なくないでしょう。
こうした課題を解決するために設けられているのが「IT導入補助金」です。
ここでは、IT導入補助金の申請条件について詳しく解説しています。
2024年より拡充された条件とさらなる業務効率化についても言及しているので、経営者の方にとって非常に参考になる記事です。
ぜひ、最後までお読みください。
目次
IT導入補助金とは
IT導入補助金とは、中小企業や個人事業主を含む小規模事業者などに向けた ITツール導入の補助金です。
2017年に開始され、時代のニーズに合わせて拡充や変更されてきました。
2024年度は、前年秋に開始されたインボイス制度に特化した枠が新設されています。
小規模事業者への手厚い支援が特徴で、インボイス対応のITツール導入などに高い補助率を設定しています。
IT導入補助金の3つのメリット
IT導入補助金の主なメリットは以下の3つです。
- 小資金でのITツール導入が可能
- 返済不要
- 業種を問わず対象が幅広い
それぞれについて解説します。
小資金でのITツール導入が可能
少なく見積もっても数十万円、場合によっては数百万円もするITツールを小資金で導入できるのは大きなメリットでしょう。
IT導入補助金は総じて補助率が高く、通常枠と呼ばれるソフトウェア購入費やクラウド利用料(最大2年分)、関連費用などの半分を負担してくれます。
2023年度のデジタル化基盤導入類型では、50万円以下のITツール導入に対し、75%もの高い補助率を設定しています。
高い補助率は、IT導入補助金最大のメリットです。
返済不要
IT導入補助金は返済不要です。
貸し付ける融資金とは異なり、不足分を補ってくれる補助金ですから当然と言えるかも知れません。
ただし、不正な申請であったり計画変更の手続きや事後報告を怠ったりした場合、返済を迫られることもあります。
IT導入補助金は条件に適合し、ルールを守りさえすれば返済不要の補助金です。
業種を問わず対象が幅広い
IT導入補助金の設立目的は中小企業や小規模事業者の支援です。
そのため、補助対象となる業種は幅広く、中小企業から小規模事業者、ベンチャーやフリーランスなど、ありとあらゆる業種・業者を網羅します。
しかも小規模になるほど補助率が高くなる配慮もされ、個人事業主でも申請しやすくなるのがポイント。
人口減と資源の枯渇が叫ばれる昨今、あらゆる業種・業態においてITツールの導入なくして業務運営は成り立たないといっても過言ではありません。
IT導入補助金を大いに活用すべきでしょう。
IT導入補助金の3つのデメリット
制度としては申し分のないIT導入補助金ですが、導入にあたっての手続き等で以下のようなデメリットが生じます。
- 事務作業が煩雑
- 後払いになる
- ITツールが限定される
それぞれについて解説します。
事務作業が煩雑
IT導入補助金には、申請準備と申請後にかなりの事務作業が生じてしまいます。
まず申請準備としてIT導入支援事業者の選定、そして導入するITツールの確定と導入後の事業計画を策定し、提出しなければなりません。
また、gBizIDというデジタル庁管轄によるアカウントを取得するのに2週間ほどの時間を要します。
申請段階でのこれだけの事務作業は考慮しておかなければなりません。
さらに、申請が受理され補助金が支給された後も、3〜5年にわたって事業実施の結果報告をしなければなりません。
IT導入補助金の申請前後に、これだけの事務作業が必要になることを認識しておくことが大切です。
後払いになる
IT導入補助金の受け取りは、申請内容の実施後に支払われます。
したがって、ITツールの導入費用はひとまず自社で負担しなければなりません。
資金繰りの厳しい企業にとっては難しい判断を迫られます。
IT導入補助金を申請する前に、ITツールの導入費用をひとまずは自社負担できるかどうか確認しておくようにしましょう。
ITツールが限定される
IT導入補助金は、補助金を受けられるITツールが限定されてしまうデメリットがあります。
なぜなら、申請はIT導入支援事業者を通して行われ、それぞれの事業所ごとに登録しているITツールが異なるからです。
選定したIT導入支援事業者に、使いたいITツールが登録されていない可能性もあるので注意しましょう。
事前に、どのようなITツールを導入したいかを明確にし、使いたいITツールが登録されている事業者かどうかをチェックする必要があります。
【2024年】IT導入補助金の拡充事項・変更点
IT導入補助金は毎年、時代のニーズに合わせて適宜条件の拡充や枠の新設などの変更が行われています。
2024年度は下記の2点が拡充・変更となりました。
- インボイス支援枠の新設
- 小規模事業者への高率補助
それぞれについて解説します。
インボイス支援枠の新設
2024年度のIT導入補助金は、2023年10月からスタートしたインボイス制度への対応を支援する枠が新設されました。
インボイス制度に対応した取引のデジタル化推進、新たな会計ソフトや受発注ソフトの導入支援、新規デバイス・レジなどの購入補助を目的とします。
インボイス制度スタートによる煩雑な会計処理に悩んでいた小規模事業者や個人事業主の方にとっては非常にありがたい変更点といえるでしょう。
小規模事業者への高率補助
IT導入補助金は、そもそもが中小企業が小規模事業者の支援を目的としています。
その最たる施策として、2024年からのインボイス枠の新設に伴い、小規模事業者に対して一部高い補助率が設定されています。
これは、インボイス登録で負担の増えた小規模事業者や個人事業主の方を強力にサポートするためです。
インボイス対応類型枠での50万円以下のITツール導入の補助率は、中小企業の75%に対して小規模事業者は80%ともっとも高い数値を示しています。
IT導入補助金全体としての申請条件
IT導入補助金の申請には、全体として以下のような条件を満たさなければなりません。
- 国内事業である
- gBizIDプライムアカウントの取得をしている
- セキュリティアクションをしている
それぞれについて解説します。
国内事業である
IT導入補助金を申請するには、日本国内で事業運営している法人、もしくは個人事業主でなければなりません。
まずは、国内で法人登記された事業者・事業主という前提のもと、生産性向上のためにITツールを導入するという明確な目的の提示が必要です。
個人事業主やフリーランスもOKなので従業員数に対する下限はありませんが、業種によって上限が設けられています。
gBizIDプライムアカウントの取得をしている
gBizIDプライムアカウントとは、デジタル庁管轄による企業データのアカウント認証制度です。
つまり、企業はgBizIDプライムアカウントを取得することで、IT導入補助金を始めとしたあらゆる行政サービスへのアクセスが可能になります。
gBizIDの公式サイトからのオンライン申請、もしくは郵送でも申請可能です。
セキュリティアクションをしている
セキュリティアクションとは、オンライン上での取引に関し、自発的に情報セキュリティ対策を講じていると宣言することです。
IPAによる「情報セキュリティの対策ガイドライン」をベースとした2段階の取り組み目標のどちらかをクリアし、その証として取得した「★一つ星」または「★★二つ星」のロゴマークを表示します。
注意すべきは、セキュリティアクションはIPAが認定するものではない、という点です。
したがって、「IPA認定」「一つ星(二つ星)取得」などの表示はNGとなります。
表示する際は、「一つ星(二つ星)宣言」としなければなりません。
【2024年版】IT導入補助金の枠とそれぞれの条件
2024年最新のIT導入補助金には、以下の5つの枠が設定されています。
- 通常枠
- インボイス枠(インボイス対応類型)
- インボイス枠(電子取引類型)
- セキュリティ対策推進枠
- 複数社連携IT導入枠
それぞれの概要を紹介します。
通常枠
通常枠とは、中小企業や小規模事業者の方が、それぞれの課題やニーズに合ったITツールを導入し、業務効率化・売上アップを計るためのサポートをする枠です。
以下が概要になります。
補助対象者 | 中小企業・小規模事業者 |
補助率 | 1/2以内 |
補助額 | 1プロセス以上:5万~150万円未満 4プロセス以上:150万~450万円以下 |
補助対象品・システム | ソフトウェア購入 クラウド利用料(最大2年分) 導入に関わるオプションやコンサルなど |
インボイス枠(インボイス対応類型)
2024年度に新設されたインボイス枠は、インボイス対応の会計ソフトや受発注ソフト、またはPC・レジなどの端末導入の支援を目的としています。
補助対象者 | 中小企業・小規模事業者 |
補助率・補助額(会計・受発注・決済ソフト) | 50万円以下の場合:中小企業は3/4、小規模事業者は4/5 50万円超〜350万円以下の場合は2/3以内 |
補助率・補助額(PC・タブレット等) | 10万円以下 1/2以内 |
補助率・補助額(レジ・券売機等) | 20万円以下 1/2以内 |
補助対象品・システム | インボイス対応のソフトウェア 導入に伴うオプション・コンサル |
50万円以下のソフト導入に対し、極めて高い補助率が設定されているのが特徴です。
インボイス枠(電子取引類型)
インボイス枠(電子取引類型)とは、取引の発注者がインボイスに対応した受発注のソフトウェアを導入し、受注者の中小企業や小規模事業者が無償で利用できる場合に、その導入費用を支援するものです。
この場合、発注者には大企業も含まれます。
補助対象者 | 中小企業・小規模事業者・その他の事業者 |
補助率 | 中小企業・小規模事業者 2/3以内 その他の事業者 1/2以内 |
補助額 | 350万円以下 |
補助対象品・システム | 受発注ソフトクラウド利用料(最大2年分) |
セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠とは、サイバー攻撃の潜在的なリスクに対処するためのさまざまなリスク低減策を支援するための枠です。
なお補助対象となるサービスは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)による「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」からの選択となります。
補助対象者 | 中小企業・小規模事業者 |
補助率 | 1/2以内 |
補助額 | 5万~100万円以下 |
補助対象品・システム | ITツールの導入費用 導入に伴う及びサービス(最大2年分) |
複数社連携IT導入枠
複数社連携IT導入枠とは、サプライチェーンや地域DXなど業務上つながりのある複数の中小企業・小規模事業者が、連携してITツールを導入する場合に支援するサービスです。
生産性の向上を目的とした複数社へのITツール導入を支援し、かつ効果的に連携するための経費やコンサルタント費用も補助対象となります。
補助対象者 | 商工会議所などの商工団体商業活性、観光振興の担い手となる中小企業者又は団体複数の中小企業・小規模事業者によるコンソーシアム | |
補助対象品・システム | 補助率 | 補助額 |
ソフトウェア | 3/4以内小規模事業者は4/5以内 | 50万円以下 × 構成員数 |
2/3以内 | 50万円超350万円以下 × 構成員数 | |
PC・タブレット | 1/2以内 | 10万円 × 構成員数 |
レジ・券売機 | 1/2以内 | 20万円 × 構成員数 |
消費動向等分析経費 | 2/3以内 | 50万円以下 × 構成員数 |
その他経費 | 2/3以内 | 200万円以下 |
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多くの企業でITツールの導入が進み迅速な情報共有が可能になりました。
一方で人口減少に歯止めがかからず、労働力不足は深刻化しています。
さらなる業務の効率化、M&Aも視野に入れた事業展開を考慮しておく必要があるでしょう。
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【まとめ】IT導入補助金の条件を確認し事業拡大を目指そう
本記事では、IT導入補助金とはどのようなものか、申請条件や変更点について解説してきました。
IT導入補助金は、ITツールによる業績改善やインボイス制度をはじめとした新制度対応に取り組む中小企業・個人事業主を支援する補助金です。
申請できるツールにはさまざまな選択肢があり、それぞれの枠が設けられているため申請時に迷うことはありません。
もはや、業務効率化とサービス品質の向上、労働生産性アップはITツールなしに実現できない時代。
積極的にIT導入補助金を申請し、企業が抱えている課題を解決していきましょう。
さらなる業務効率化、企業と業界の躍進を目指すなら、当然M&Aも視野に入ってきます。
企業経営者の方には、広い視野と柔軟な思考が求められます。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。